ネタバレ感想 浜弓場双 『おちこぼれフルーツタルト』1巻及び2巻


おちこぼれフルーツタルト 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)


おちこぼれフルーツタルト 2巻 (まんがタイムKRコミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「このアイドルはもう駄目だ!」。東小金井にあるラットプロダクション第四寮、通称ネズミ荘。そこに集った駄目駄目なアイドル達の奮闘劇。それが『おちこぼれフルーツタルト』なのです!
などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。
さておき、この漫画の要約の段階でもう駄目だ! ってしてしまいましたが、1巻序盤辺りは普通と言うと変ですが、おちこぼれアイドル感というのが強く、こっから頑張るんね! という風に思っていた時期が俺にもありました。
いや、頑張るんですよ。頑張るんですが、頑張りでどうにかなる範囲の状態じゃないのです。ネズミ荘再建の為にかかる費用が1億! というので初っ端から無理臭が漂っています。アイドルがいくら凄くても、1億て!
ですが、それでも奮闘するのがフルーツタルトです。そこまではいい。ただ、話が進むほどに、皆のアトモスフィアがおかしくなってきます。
序盤からメイン5人の一人、桜依乃さんが女の子に囲まれて作詞が進む―、とかなり始めたりしていましたが、1巻終盤に5人目となる緑へもさんがかなりヤバ目に依乃さんスキーであり、一応ユニットの和はみ出さないものの、要所要所でこいつ、ヤバい! という挙動を見せます。ステージで愛過ぎて妙なアトモスフィア出したり、レコーディングで気持ちを込め過ぎてネットリした歌と言われたり。怖い!
他三名、関野ロコさん(元子役。ちっちゃいのがコンプレックス)、貫井はゆさん(売れないミュージシャン。歌上手くないっぽい)、前原仁奈(売れないモデル。あまりにボンキュッボン)もこれまた要所でヤバい感じを出してきて、なんか要所でヤバいとこ出す奴ばっかりだ! このアイドルもう駄目だ! と何度も言いたくなる思いに囚われます。
そこに、更に先輩アイドル、クリームあんみつは、ロコさんの妹さんがいるのですがこれがロコさん偏愛。その一人に対し残り二人が双子でドSとドMという完成されたユニットとなっております。勿論、ドSがドMを攻めます。それもかなりテクニカルに。こっちももう駄目だ! そういう駄目だアイドル漫画。それが『おちこぼれフルーツタルト』なのです。
さておき。
そう言うパーソナリティがヤバい面子が多いこの漫画ですが、その部分だけで押さない点も光る点です。駄目なアイドルが状況で更に駄目に追い込まれていくという、負の連鎖が行われているのです。
それが一番出るのは、2巻における作っちまったぜ……、CD三千枚……。事件でしょう。タヒんだな……。という状況に追い込まれたフルーツタルトですが、ここでまあ右往左往するのです。ステージやって三千枚売れて勝利! なんて普通の事が起きますが、しかしそこに至るまでのどうしようもなさは特筆ものです。その部分の七転八起も見どころ。
しかし、それゆえにこのアイドルに対して、普通とは違ったファン意識を持ててしまいます。表も裏も、というと陳腐ですが、裏も裏のド裏中心の姿を見ていると、あれ、この子たちのこれ普通に流してた方が面白いんじゃないか? という錯覚にすら陥ります。そう言う意味では、この漫画は成功している、とすら言えますが、それでもやっぱりこのアイドルはもう駄目だ! と思わずにはいられないのでした。3巻はもっとヤバいんだよな……。今後どうなるんだろうか……。