感想 ビリー 『シネマこんぷれっくす!』2巻


シネマこんぷれっくす!(2) (ドラゴンコミックスエイジ)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「小津さんが熱川君に更にフォーリンラブ。他何本も」。案外男気というか、度胸がありますよね、熱川君。死ね部のあの面々と渡り合おうというなら、そうもなろう! そんな部分を見たりしつつ、死ね部の暗黒の活動を確認する漫画。それが『シネマこんぷれっくす!』なのです。
今回も盛りだくさんでお届けられるシネこんですが、どれもこれも馬鹿な青春って感じで微笑ましいです。あるオタバレが全くもってそのオタの人の傷にしかならないという駄目まった展開の9本目『御池が叫びたがってるんだ』、花村さんのカンフー馬鹿っぷりがだが奴は、弾けたしつつ、黒澤さんの便利ぶりが光り輝き過ぎて爆笑する10本目『ブルース・リー・バイフラワー』、宮川さんの男の影!? からのお婆さんのぶっこみ具合が出来る女を感じる11本目『キャッチ・宮・イフ・ユー・キャン』、黒澤さんの便利ぶりが違う意味でも弾けろ! しつつ、新たな恋路が発露している12本目『くろさわさんが通る』、邦題ネタに翻弄されながらも、しかし朱に交われば赤くなるを地で行きすぎぃ! と感じる13本目『ガクトと部屋の中の消しゴム』、定期的にある、お前観てないのかよおっくれてるー! 回の15本目『ヒンディー・余暇』など、大変バラエティとバカらしさに富んだラインナップとなっております。
ここで14本目の話をしてないのは、今ここに記すからです。ということで14本目『血の昼休み』です。部室棟にある倉庫でホラー映画の話になる回ですが、ホラー苦手な小津さんがやーめーてー! しているのにあまり気にせずホラー映画について話す形に。新旧のホラー映画をカカッとまとめて話す形としては最良のものがありますが、小津さんのホラー耐性の低さというか、リテラシーの部分が『ブレイド』でも駄目というので、それはむしろどこまでが大丈夫なんだ? と思わせられます。『ブレイド』駄目だったらホラー要素全部駄目じゃん! しかし、熱川君の、ホラーに感情移入するな。は、けだし名言だったかと思います。そうそう、あれ感情移入したら酷い目に遭う話が基本なんだから体持たないって! でも、『貞子VS伽耶子』に興味が出てでもホラー! ってなってる小津さんなので、案外慣れたら見れるようになるのではないか。『貞子VS伽耶子』は実際どちらの要素もおざなりにせず、きっちりと仕立て上げた上でぶつけて最後トンデモのオチにぶっこまれる名作ですからね。見る価値はあります。そしてオチでぽかーんするといい。そうなる人たちを、私は映画館で見ました。あれは中々に得難い経験でしたよ……。
さておき。
この回はホラーネタをしつつ、学校の怖いうわさにも肉薄します。でも、正体見たり枯れ尾花。やっぱり……。という言葉が自然に出てくるものでした。でも、それが分からんうちに怪しい影! というのに対して俺が行ってくる、とする熱川君は男気がありました。小津さんがトゥンクするくらいには。多分にストックホルム症候群ですが、この積み重ねが今後生きてくる、といいなあ。まだ小津さんはその気持ちに懐疑的だけど、どうせなら好き好き大好きSSDになってほしい。そういうのみたい。
ということで、今回も映画ネタでバタバタした漫画でしたが、14本目みたいにホラーネタを短い尺できっちり仕立て上げる手腕は中々のもの。オチのどこまで伝説を積み上げるんだ……。感も相まって、やっぱりある意味得難い青春の経験だぞ、顎人。といいたくなるのでありました。
とかなんとか。