感想 宮原るり 『恋愛ラボ』14巻


恋愛ラボ 14巻 (まんがタイムコミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「あのヤンともあろう者が……こんなにも無様に……」。五人五様の恋愛模様が楽しい形になってしばらくが経った『恋愛ラボ』。いの一番にきっちり恋仲になったリコナギを続くように、結構いい所までいっていたり、積極的になったりとする面々の中、お互いの恋愛ポンコツ具合のせいで進展んでいるのか後退しているのか分からないマキヤンの明日はどっちだ。それが『恋愛ラボ』14巻の骨子なのです。
五人五様の恋愛を見るのが大変楽しい今作ですが、どれも一筋縄ではいかない、という感じだったのが一転し始めてきています。それは一番こじれていたリコナギがカップルとして成立したので、その波及効果のような状況になっているからです。特にスズレンとエノハルは良い感じです。エノハルはまだ関係性がカップルじゃないだけですが、スズレンはスズさんが積極性を出してきたのが好印象と言えるでしょう。あのスズさんが! 積極的に! この漫画もいい加減長い連載なので読者の方も年齢がいい具合に上がり、スズさんが我が子のように見えてくる状態なので、引っ込み思案だったスズさんがこんなにも、というだけで「なんだかとっても、ありがてぇじゃねえか……。」とCV稲田徹してしまいます。
そんな皆の上向きが、更に波及したのがサヨカレです。彼氏さんが女といたところに遭遇してしまったサヨさん。もう知らん、と切り捨てるんですが、でも一々もやもやして、それをエノさんたちに指摘されて更にもやもや。というのからの展開が素晴らしく、年貢の納め時という言葉がこんなに似合う展開も無いな、という状況に結実します。ここの面白いところは彼氏さんも長年サヨさんの彼氏面ゆえに肝が据わってしまっていて、サヨさんが女の子と彼氏さんが一緒にいた、というのに怒ったことが嬉しかった、とか言い出す辺りでしょう。流石にサヨさんの彼氏面するだけはある。そう戦慄すらしました。
さておき。
13巻がリコナギの巻だった、とすると14巻はマキヤンの巻と言えるでしょう。今回の巻では、恋愛に関してお花畑だったからポンコツなマキさんと、そう言うの意識してなかったせいでポンコツなヤンとのポンコツ試合が繰り広げられます。
まずヤンがリコナギ成立によって、僕、リコ好きだったんだ、というのに気づいたけど、でもこの感情が恋なら、マキさんにも同じこと思ってねえか? とも気づいてしまうということで僕、二股を……、というので話がねじくれてしまいます。ついついマキさんに対して(イマージナリー)二股してたと言うのも悪手ですが、更にマキさんも勘違いしてリコさんともう一人を自分ではなくナギなのでは? とか考えだしてしまうのでもう駄目。お互いがお互いを好きではあるんだけど、どちらもその矢印の想定が違う方に向いてしまって話が空転します。
そこがいいんだ……。目前なのに足踏みどころか四股踏んでいるような謎のムーブ。たまらん。流れでそろそろ大丈夫な位置につけてきてはいますが、まだまだ予断を許さないと言っていいでしょう。まさか、塾の先生のことが!? って流石に落ち着けお前ら案件でしたし。
さておき。
13巻がリコナギ。14巻がマキヤン。なら15巻はどうなるでしょうか。エノハルになる可能性が高い、と踏んでいます。ハルが、なのです。その時エノさんはどうするのか。はたしてはたして。ああもう、15巻早く出ないかなあ!
とかなんとか。