森長あやみ 『みっちゃんとアルバート』1巻

みっちゃんとアルバート 1 (バンブーコミックス)

みっちゃんとアルバート (1) (バンブーコミックス)

 大体の内容「うちには宇宙人がいます」。可愛い顔してハードパンチャー。そんな言葉が似あう漫画。それが『みっちゃんとアルバート』なのです。

 このお話の幕開けは、ある日唐突にクマ型宇宙人アルバートに出会うことでコンタクティーになってしまった花室みつこさんが、そのアルバートと同居生活を送っていく、というものです。なんでアルバートが同居? というのは、1話目で落雷によってアルバートの宇宙船が破壊されてしまったからです。とりあえず関わってしまったし、ということでなし崩し的に同居に至る訳ですが、1巻も後半になるとその辺すっかり忘れてないか? な状態になってしまいます。普通に生活し過ぎなんですよね。これはよくある形ですが、実家に連絡を入れる回が唐突にインサートされるなど、その辺をちゃんと理解してこの状況を維持しているのが分かったりするから、この漫画は侮れません。

 さておき。

 基本的にノリとしては地球知識に偏りのあるアルバートがその点でボケてみっちゃんさんが突っ込む、という風にみせつつ、強度がおかしいネタ、例えばアルバートにコーヒーがかかったら、それがシミになってアルバートが寝られなくなる、という、え? なんでシミ? お前どういう生命体? などをぶっこんでくるかなりの怪作仕様となっております。そのコーヒーシミの件も、解決がコインランドリーでアルバート丸ごと洗う、というので扱いが雑! 案件でした。丸洗いできるんだ……。そしてそうすると漂白されて人格なくなるんだ……。やっぱりどういう生命体……。

 さておき。

 そういう凶悪なネタでは、ゆるキャラで相撲、のはずがオクタゴンで格闘ファイト! の回がマストと言えます。ゆるキャラが格闘ファイトの段階でもう既に訳の分からないものですが、鳩のゆるキャラのお兄さんが、その着ぐるみを来たらいきなりポポプポと言い出してくるという、キャラに忠実なんすね……人格が消えたのかと……。な展開から最後の、アイエッ!? と言ってしまうキャラクター真実によってエンドするというある意味投げっぱなしがぶちかまされます。こんな一回限りのキャラにそういう訳の分からないネタをぶっこむの止めてくれませんかねえ! と叫ばずにはいられない。そんな回となっております。

 かようにネタがエッジ効きすぎて、研いでもないのにぶっ刺さる仕様なこの漫画ですが、それが癖になると堪らなく愛おしい漫画にもなりえます。特にアルバートの微妙にキモイ感じや、通常的なクマではなく、ディフォルメして丸い体に足が生えている辺りの、何とも言えない雰囲気と、偶にやっぱりぬいぐるみなのでは? というムーブをするのがツボに入ると何故か可愛いすらあります。それでいてボケは破壊級で、これが渾然一体となっている。この唯一無二の境地を、今後森長あやみのテリトリーと呼びならわしたいくらいです。中々ない位置ですよ、これは。

 とかなんとか。