坂崎ふれでぃ 『サバゲっぱなし』3巻

サバゲっぱなし (3) (サンデーGXコミックス)
サバゲっぱなし(3) (サンデーGXコミックス)

 大体の内容。「ウェルカム、初心者さん!」。木枯ニコさんもだいぶサバゲにはまってまいった今日この頃。そこに、サバゲ、ちょっとやってみたいという知り合いが。そこを俄然勧誘していくのが、『サバゲっぱなし』3巻の主たる内容なのです。
 とはいえ、そこばかりがこの巻の見所ではございません。というかこの初心者勧誘が花咲くのは4巻なので、そこについては4巻で語りたいと思います。となると、どこの話をするのだ? という状況ですが、なに、安心してください。この漫画は基本ネタまみれなので、取り上げる所はどこでも語れるのです。
 この巻ではニコさんがだいぶ初心者とは言えなくなってきた、というのがまず挙げられるポイントでしょう。そして満喫しています。満喫も満喫、超満喫です。特に、だいぶやってきたがゆえに、カッコよさが足りない! という地点に到達しておられて、もうかなり中級者になっているんだなあ、と感じさせてくれます。そのカッコよさの極限が、カッコよく死にたい! になっていて、それを実現する方向に話がいっちゃいます。
 でも、このかっこよく、というのは、サバゲ全くしないけどとんでもなく共感できたりします。かっこいいってのは重要だぜって、ダッチも言ってた。(言ってません) こういう、趣味事でかっこよさを考える、というのは一つ踏み込んだ感がありますヨネ。ただプレイするだけでは、全く満たされなくなったというある種の病気でもあるんですが、でも、それをやりたいしやろう、という地点に行くというのは、適当では出来ないこと。だからこそ、ニコさんは中級者という部類に足を突っ込んだんだなあ、と感じたのです。
 とはいえ、そこで統一感がないと訳が分からなくなる、というのをちゃんと提示しているのもこの漫画の良心でしょう。自分で言いだして周りも巻き込んだけど、でももうちょっと世界観統一しよう。と言い出すのは噴くところですけども。
 後、サバゲやっててゲーム要素重点かリアル要素重点かで迷わない? という話から「悪いな。これも仕事なんだ」って言われて撃たれるという、カッコよく死ぬ形にもっていく回も良かったです。皆楽しそうにサバゲするなあ、というのの一つの際であったかと思います。
 さておき。
 趣味物漫画としてのこの漫画は、基本陽性なので趣味にまつわる暗黒というのは全く無いのですが、でもよく考えると、趣味なのに暗黒に持って行く方がおかしいんじゃないか。という立ち位置にも見えます。
 毀誉褒貶のある趣味というのもありますが、でもやる方がその貶めの方に加担しちゃいかんよなあ、というのを、なんかそういう話がないので逆に考えてしまうというか。
 一応、暗黒面はあるにはあるんですが、物欲に負けてどんどん装備を買ってしまうとか、そういうタイプの、はっはっはこやつめ感のあるものだったりします。そこも、やっちまったなあ、というのが趣味の違いがあっても分かるものがあって、むしろ楽しいというのが、なんとも面映ゆい。趣味のやっちまった自慢ってのは、自虐だけどだからこそ他人からすると楽しいものなのですよ。そうやってネタとして落とし込まないとやってられないというのもありますが。
 この巻で趣味全開の行き過ぎを感じたのは、最初にやるフィールドはどこがいい? というのをツイッターアンケートした結果の1ページ。皆の言いたいことを書き連ねたそれは、皆一家言あるんだなあ、というのが如実に出るもので、ああ、趣味に全開な人たちっていいなあ、というのを、感じずにはいられませんでした。そのページマジで読むの大変だったのも含めてね!
 そういう趣味を、いろんな方向で全開で楽しむ漫画、それが『サバゲっぱなし』なのです。