感想 船津紳平:他 『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』5巻

金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(5) (講談社コミックス)
金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(5) (週刊少年マガジンコミックス)

 大体の内容「帰れ! 金田一! ……え、帰…った…? かーらーのー」。という金田一フェイントが炸裂する回が二つあるという大フェイント巻。それが『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』5巻なのです。
 今回は三つの事件が展開されますが、それぞれ見所があるので、ここに見ていくことにしましょう。

黒死蝶殺人事件

 今までの事件の犯人さんたちに共通するものは何か、という問いに対しては、メンタル強い、が一つ答えになるかと思います。犯人の皆さん、死ぬ気で犯罪を完成させようと奮起しておりました。ということで、今回はそれのアンチテーゼ、メンタルが弱い犯人、というのがネタとして投入されます。
 一応、今までの犯人たちと同じで頑張るのですが、考えたネタが一つ、また一つと齟齬が出てきてしまい、精神的に追い詰められれて最後には全くのノーモーションで殺す相手にプロポーズするという錯乱の境地に到達します。原作でもあいつなんでいきなり求婚を? って思った所を、本人も分からねんだよ! というある意味ぶん投げで処理してくるところが大変面映ゆい。悪いと言えば悪い手なんですが、本当にあいつ何を考えていたんだ? と混乱した案件だったので、追い詰められて暴発した、というのは一つ答えとしては納得出来たりするのでありました。後、コノハチョウネタをきっちり実写でしてくるという意味不明のこだわりも決まって、個人的には好きな回です。

飛騨からくり屋敷殺人事件

 首狩り武者の呪われろ! のムーブが自分の周りで一瞬キラームーブになっていたので大変好きな回である、飛騨からくり屋敷殺人事件。そのムーブの方は出ませんでしたが、珍しい共犯者含みの回で、その分見せる場というのが色々あって面白い回でした。どう考えても共犯者の方にフィジカルネタが多い、という部分や、どう考えても怪しい枠を二人でしたおかげでトリック的にはそこはすんなり、でもやっぱり怪しいからバス乗るのどうなるかだったりしてたのも良かったです。
 ただ、共犯者がいるのが、それを追っていた金田一を殴り気絶させてしまったせいでバレ、ついでに共犯者が高所恐怖症であるというネタが金田一の細かいところをきっちり見ている観察眼でバレ、事件は解決されてしまう形になったのが悲しい所。一回は金田一帰ったのにね……。

怪盗紳士の殺人

 怪盗紳士に罪をなすり付ける! というお話。なすりつけ相手があまり干渉出来ない点をついて、ミチミチに罪をなすりつけるんですが、それでも干渉されて、自分の絵を盗まれたから髪の毛切ったりしてと奮闘します。しかし、怪盗紳士に対する発言が、男、と言ってしまったのが運の尽き。怪盗紳士は女性である、というのがきっちりと登場してみせてきて、ああ、あの発言忘れていれば……。という金田一にそれは不可能なことを期待して、でも一応時間切れが来て、やった! となりますが。……と、思ったか? と金田一が帰ってくるという金田一フェイントがさく裂します。そしてどういう人脈? というネタをぶっぱなされ、あえなく敗北となりました。終始自分の手でどうにもできないところで翻弄された格好で、それが不憫でした。

さておき

 次は個人的に色々あった異人館が! どういう風になるかなあ、と期待してこの項を閉じたいと思います。