感想 はまじあき 『ぼっち・ざ・ろっく!』1巻

ぼっち・ざ・ろっく! (1) (まんがタイムKRコミックス)
ぼっち・ざ・ろっく! 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「陰キャならロックをやれ!!!!」。帯の文の分際でパワフルなので、今回はそこから。これが陰キャでなければ世の中の陰キャは全て陽キャである、というレベルで対人スキルの無さを露呈するぼっちちゃんこと後藤ひとりさんのロックはどっちだ。そう言う中々な世迷言を発するのが『ぼっち・ざ・ろっく!』なのです。
 とにかく、この漫画は陰キャの帝王でギターヒーローの後藤ひとりさんを、時にこの子大丈夫かなあと温かく、時にこの子もう駄目だなあと生温かく、見ていくのが基本となります。話が進むにつれて登場する人が大体駄目という方向にふっきってくるのですが、それでも後藤ひとりさんのぼっち能力の高さが一際目を引く為、わりとそれくらいなら大丈夫です。と何が大丈夫なのかよく分からない反応してしまい、なんとなくやり過ごしていたらこんな結果だよ! という大衝突をかましてくるので、そっちも侮れません。というかベースのリョウさんが、大体の言動が酷いわりに悪びれないにも程があるからついつい逃してましたけど、こいつもかなりやべえな!? という危険球だったりするのですよ。最終的に4人体制になりますが、ぼっちちゃんがボッチ拗らせすぎ、リョウさんが人生履き違えている、というのでバンドの半分がやべえやつで構成されている、いやギター兼ボーカルの喜多さんもギター出来ないのに出来るって豪語してでも結局ばっくれた過去があるし、しかもそのバンドに舞い戻っている、つまりぼっちちゃんとこのバンドだよ! だから大概か。と思うと四分の三がやべえやつです。終わったな(このバンドが)。
 という感じで何もしなくても自然と崩壊するんじゃないだろうか、という暗黒なバンド<結束バンド>がなんのかんのやっていくのもまた、この漫画の妙味です。徹底的陰キャ、腕はあるけど傲岸不遜、その二人と組むというそれ自体がヤバい選択肢を選んだ人、ギター出来ずばっくれ。色んな個性が噛み合って一つのバンドを形作る、というのを地で行くやつですが、でもぼっちちゃん基本的に陰キャの無慈悲な女王なのでそこを攻めたら一瞬で崩壊しそうなんだよなあ……。そういうことをするやつが出てくるのかというレベルでほっといても自滅しそうな雰囲気もあるけど……。基本的に対人メンタルが激弱いのが過ぎて今まで生存していたのが不思議だし……。というか、本当にこのバンド大丈夫なのか!?
 さておき。
 この漫画は当然ですが、ぼっちちゃんの成長物語です。今更当然ですがじゃねえよ! ですが、まあ待ってください。陰キャを拗らせに拗らせて対人スキルレベルがむしろ虚数軸に位置するぼっちちゃんですが、それでも少しはマシになっていくのですよ。マシに……、マシに? とここで私がブレたらどうしようもないので、マシになったと声高に言っておきます。マシになったんですよ! 最初は大型段ボールの中に入ってライブに、という即席の状態であるのを差っ引いてもお前おかしくねえか? という対応を見せたぼっちちゃんですが、二回目のライブではライブ中に空中分解しかけたバンドをギター一本でまとめにかかるという、おお! な見せ場を作ります。一応ギター自体の腕前は良い、けどそのド級陰キャ性能のせいで他人と合わせるということをしていなかったゆえにバンドになるとド下手、というのから大返し、ですからね。そこでのぼっちちゃん超頑張ってる! というのは、そこまでのぼっちちゃんの駄目さ加減を堪能したからこそ感じられる無闇なドライブ感! な訳ですよ。この瞬間の為にこの漫画読んでて良かったまであります。本当に良かった……。←泣きが入っている
 さておき。
 どうでもいい話を最後にすると、ぼっちちゃん、基本的に端正なお顔、というのが作中の共通認識です。が、読者側からすると、しょっちゅう顔面崩壊でよそ様では見せられない危険球になるので、偶にいい顔、と言われるとアイエッ!? クレイジー!? ってなってしまいます。正気か!? ってなるんですよ。この作画崩壊顔は本当に異次元人というか、とりあえずこの次元の顔ではないので、これがもとは可愛い? ってなると重篤な認識障害を起こすレベルです。例示したいところですが、まあぐぐれでいいでしょうし、それに興味を持ってこの漫画を手に取る人が出ればいいや! と無茶苦茶を書いて、この項を閉じたいと思います。