ネタバレ感想 柴田ヨクサル 『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』2巻

東島丹三郎は仮面ライダーになりたい (2) (ヒーローズコミックス)
東島丹三郎は仮面ライダーになりたい 2(ヒーローズコミックス)

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 大体の内容「V3とライダーマンが! どっちもなりきりだけど!」。ということで、俺の魂がV3な人とカフェのマスター、ミツバさんがその正体、いやまあなりきりなんですが、を現わしたら、色々あって怪人も姿を現すことに。その激闘の記録が、『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』2巻なのです。
 今回はライダーになりたい人達が、本当に現れたショッカーと一悶着というのが基本的な展開として扱われ始めている端緒な感じを受けました。きっちり戦闘員を倒していたら怪人が、というお定まりのパターンになっているというか。その辺は人間型特撮では基本だから、踏襲している、という事なのだろうと思うのですが、この漫画の場合、基本的に鍛えただけで改造人間とかではない只の人が、そのパターンに乗っているのが面白く、またちょっと怖いところです。戦闘員程度なら倒せるけど、怪人にそれがそこまで通用してないのと、怪人側は殺す気になったらサクッと殺せる、というのを雰囲気で出しているのとで、この巻後半の怪人戦はちょっとした緊張感を、読者側が感じてしまいました。ライダーなりきりやってる連中はそこまで考えてないというか、わりと薄氷なのにガンガン踏み込んでいるというか、とにかく馬鹿なので余計に怖い思いをすることに。この辺の温度差というのがこの漫画の持ち味である、ともいえるかと思います。
 さておき。
 今回はV3の人が出てきたのですが、こいつが東島さんと同じくらいトンチキなやつ、つまりくるくるぱーですが、そのガチ具合もまた東島さんと同じくらい、つまりくるくるぱーです。一番トンチキなのは、東島さんですらお面を被って仮面ライダーだ、と言うのに、全く素の状態のままで俺はV3だ。と言い切るところでしょう。変身ポーズは取ったからもうこっから先はV3だぞ。という精神性なのです。そして最強のライダーはV3だ、という信念が固すぎて、子供の遊びでV3代わって! といっても全く代わらず、中二になって代わって欲しい弟とガチ対局することになるという段でもうこいつバカすぎだろ、という感想がもろっと出ます。そこまで固執した弟さんもですが。でも、そこで兄に利き手と逆のを腕を折られ、これでお前はライダーマンだ。という謎の薫陶をうけ、ライダーマンになる弟のミツバさんもかなりのくるくるぱーです。しかも現在に至ってはライダーマンが一番熱い、という発言もしだして、やっぱりこいつもくるくるぱーなんだな。と感じさせます。ある意味では、怪人の方がましである、という突き詰めるとヤバい線すら浮かんできます。*1
 そんなV3の人と一戦してしまう東島さんですが、ぱっと見おっさんと兄ちゃんが喧嘩しているだけなのに、周りのライダーバカには一号対V3に見えて、と表現され始めてもう駄目。確かに魂は一号だしV3だしなんですが、でも結局一般人ですよね? というのを覆い隠してしまう表現であります。絶対に居ない、とは言えないにしても大っぴらにここまでの奴はいないからいいようなものの、もし居たらかなり問題が発生するぞ! とも。ある意味フィクションだからこそ許される架空人物っぷりと精神性っぷりに脱帽すらします。居なくてよかった、こんな人! 安心してみられるフィクション最高!
 さておき。
 ショッカーが実在する、それもかなりの数が、というのが今回しっかりと明るみにでましたが、本当にそこらの普通の人にショッカー戦闘員が擬装している、それもかなりの数が、というので、原作ショッカーもこれくらいひっそりとやっていればライダーに勝てたのでは? という気がしないでもないです。いっつも派手なことするからなあ……。
 しかし、ここまで密やかに、しかし確実に勢力を伸ばして、この漫画のショッカーは何がしたいのか? という部分っは全く未知数です。怪人の言動からすると、まだ密やかに進めないといけない、という制約があるみたいですが、そこまで隠匿して進める計画とは? あるいは、こっちのショッカーの方もショッカーがいないから作った、とか言い出してしまうのでは? と若干の怖気がふるっちゃいます。仮面ライダーになりたくて、怪人を後退させる普通の腕力を得た東島さんと、対極の存在がいるのでは? ショッカーになりたくて、怪人を作る科学力を手に入れたのがいるのでは? いや無いか。
 とかなんとかいきなり正気に戻って、この感想を終えたいと思います。

*1:実際怪人も、俺の方が良識があるぞ。という言い出したりしますし。