ネタバレ感想 とよ田みのる 『金剛寺さんは面倒臭い』4巻

金剛寺さんは面倒臭い (4) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
金剛寺さんは面倒臭い(4) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

 大体の内容「愛、それは超新星爆発スーパーノヴァエクスプロージョン)!」。ということで、今回もラブの話が痛快GANGAN行進曲されるのが、『金剛寺さんは面倒臭い』4巻なのです。
 ラブの話以外はほぼ些末だ! という呈でありつつも、その些末を完全に使いきる様はまさしく豪快というものであります。下の方でちらちらしていた話が最後に大まくりして一つの人生に結実したり、元の連載の方では選んだルートで分岐になっていたのをそのまま採録したり、1ページ5コマを組み合わせて話を作っていったりと、漫画表現の出来る! できるのだ! という部分を痛快GANGAN行進曲掘っていく様も、決まりに決まっています。でも、それもまた些末なのだ! という顔つき。とよ田みのる先生のスキルの高まりと作品のテンションが軌を一にして、無茶苦茶な漫画でありつつも、筋はしっかりしている。という支離滅裂になってしまう出来栄えです。改めて思うけどこの漫画おかしい!
 さておき。
 4巻ともなるとテンションが落ちてくる、という部分はあるものです。この漫画においても、奇をてらい方に円熟が見え始めていますが、それでもトンでいるのは、時間軸の使い方が縦横無尽だからでしょう。4巻でも、最初の話のおっぱいタッチいいですか? の話がいきなり一年かっとんでそこで再演するとか、最後の話の10年がかっとんでその10年に何があったかというのをカカッと書き表すとか、それでいてその10年前付近にあった地獄VS極楽という謎ワードがぶっこまれて、5巻ではまた時間が巻き戻るっぽいので、もう何が何だか。それでも、それもやはり本筋とは関係ないッ!! のであり、子供の出産以上にはならなかったというので、尚更訳が分からないので本当にもう、バカ。
 さておき。
 先述の通り時間が高速で入れ替わる関係上、この巻でいきなり出産の話とかになるのですが、そこがまたいいんだ……。その前段階で、樺山君とネガティブな気持ちでも繋がれて、という金剛寺さんの感じ入りを挟みつつ、樺山君が長生きで、金剛寺さんは先に逝くだろう、というので子供を己の分身として、と言い出すんですが、それで子供が生まれたら角持ち。これは私の代わりじゃない。という地点に到達するのです。理詰め人間だった金剛寺さんが、理詰めではなく、本当に愛おしいものとして子供を確認した、というのがもう個人的にビンビンときました。この子は、この子だ! というね。そこに到達できたというのもまた、この漫画の素晴らしさだよなあ、と。自分の殻が、愛によって形を変えていく、というのが極まったシーンだった、と言っていいんですが、しかしそんな大きいイベントを、前倒しにしてよかったんですか!? という気にも。でも、この漫画の流れとしては、結婚とか、そういう部分はまだ残している訳で、しかしそれもまたキングクリムゾンして時間を吹き飛ばして前倒ししてきそうと思うと、全く予断を許さない漫画だよなあ、と。そこがいいんだ……。
 さておき。
 しかし、地獄VS極楽は気になります。耳目引きまくりのワードなのに、出産程ではない、とされているけど、絶対大事なので、それがどのように展開されるか、というのを今から楽しみに待っている状態です。次巻予告では全く関係なく世界一美味しい! ってやってるので、本当に些末として片づけられる可能性が高過ぎて本当に、本当に楽しみです。
 とかなんとか。