ネタバレ感想 吉田創 『ガールズ&パンツァー プラウダ戦記』2巻

ガールズ&パンツァー プラウダ戦記 2 (MFC)
ガールズ&パンツァー プラウダ戦記 2 (MFC)

 大体の内容「カチューシャの改革は続く!」。この漫画は地吹雪のカチューシャの戦車道大会優勝を勝ち取るまでのタイポグラフィとして、マジで西住みほ時代前史をこの地に確定しよう、という術策を張り巡らしてきている作品となっています。マジでここまでやる気があったのか! という、自分が持っていた侮りを認識させられるくらいに、この漫画はマジです。そんなとにかくマジな漫画。それが『ガールズ&パンツァー プラウダ戦記』なのです。
 この漫画が、TVシリーズへと時間が向かっていくがゆえに、こなさないといけないプランというのは実は沢山あった、というのもまた確認させられます。何があるって? 様々ですよ。
 まず軽めの二つは、カチューシャの基本ムーブ、ノンナ肩車と、お昼寝です。この漫画を読むと、あそこまで不退転戦鬼だったカチューシャがそういうことする!? と思うのですが、未来である原作ではしっかりしているので、そこに対してやっていかなければなりません。ならばどうする? 解はあるのか?
 ここは素晴らしい解が出ます。つまり、カチューシャ主導ではなく、ノンナ主導だった、と。どちらも理路はしっかりしています。
 肩車についてはカチューシャ、当然あのちんちくりん。それが普通の人たち、それも戦車道の為に鍛えている、それに追いつくには普通では間に合わない。なのでノンナオンなのです。そうすれば間に合います。というのです。理路!
 ノンナオンと書いているのにいくらなんでも、と思われるかもしれません。しかし、この巻でノンナがカチューシャを肩車したシーンで、1P1コマで行われたそれの擬音がブッピガンだったのです。本当にブッピガンだったので一瞬何をされたのか分からなかったですよ。分かった後は噴出しました。もう、そう合体するのが当然起きることだった、もうちょっといえばその合体が私の完全体だまである、至極当たり前の特別なことだったのだ、って呈なのです。噴くしかない。
 それが、ちょっとおかしくない? 笑われない? というカチューシャに対して、そんなことはないですよ。と言いつつ、実際皆の所に行ったら笑われそうに、というのを、ノンナの所十三ビキッ顔で一瞬にして黙らせた辺りに、ノンナの本気を見ました。お前がしたかったのかよ!
 もう一つのお昼寝もノンナ主導です。どうしてもちみっこな為、エネルギーの絶対量が他の人より少ないカチューシャ。そのエネルギーを回復する為に、お昼寝をするべきだ、とノンナが主張して、ついでにシエスタは大人の女の作法ですよ、まで言っていいくるめるのです。その効果もカチューシャが理解したので、原作でもお昼寝している、という解なのです。理路! ついでに子守唄も最初からやっていたのも判明し、ノンナ好きにやり過ぎじゃねえか? という気持ちにも。ある意味原作のノンナと地続きなんだなあ。
 そういうコメディな部分だけではなく、何故カチューシャが2年生でプラウダのトップになったか、という部分の解答も行われます。これは3年がいなくなって、楽しく戦車道! を標榜する2年がトップになる、というので上下関係を、と2年生が1年生をシメる練習試合が行われるのですが、これに1年が勝ってしまう、というので2年の隊長がへこまされる形になるのです。
 しかも、この練習試合、カチューシャとノンナがいない中で行われるという、本当にガチで叩き潰す気だったんだな、案件なんですが、それに負けて失意の隊長に、カチューシャが代替案を示して、実質的にトップを取る、という形になっていきます。お互いにとっていい方向に、2年隊長は戦車道の普及の為に頑張ってほしい、というカチューシャの案は実際図に当たるんですが、それはさておき、そういう訳で、カチューシャはプラウダのトップに立ちます。
 さておき。
 そもそも、の所を話していないのにお気づきでしょうか。そもそも、なんで1年はカチューシャとノンナ抜きで勝てたのか? という部分です。これはこの漫画の根幹の部分です。簡単に言うと、カチューシャとノンナだけが不退転戦鬼では、ダメなのです。
 どういうことか。つまり、プラウダの戦車道チーム全てが、不退転戦鬼にならないといけないのです。戦車道は、二人でするのではない。チームで、大人数でしないといけない。そして勝つには、チーム全体が強く、不退転戦鬼になる必要がある。
 その為に、ノンナのつてで、リアル軍人、おそらくPMCでしょうけれど、が特別な教官として招聘されます。その地獄のしごきを受け、プラウダ戦車道チーム1年は、精強になり、2年をカチューシャとノンナ抜きで撃退できるまでになったのです。
 この地獄を通過したチームの面々は、強くなるというのが楽しくなる、という地点に到達しました。楽しく戦車道する、という2年の方針に、違うアプローチながら到達してしまったのです。2年生の面目丸つぶれまではあります。しかし、だからこそ、2年の隊長はカチューシャにその隊長職を譲ったのでありました。
 さておき。
 そういう地盤堅めをしたカチューシャは、戦う相手の調査へ向かいます。そう、黒森峰に潜入だ! カチューシャはあのナリなのですぐばれる、ということでノンナが中から、カチューシャは外から、という役割分担で黒森峰を探りますが、これはどうなるやら。本当の怪物というまほさんの力量話とか、みほさん登場! とかまだまだ前史として見所があるので、カカッとそれらが見たいなあ、と思うのでした。