大体の内容。「カップルできんと読者不安よな。瀬尾告ります」。というと、野崎くん読者クラスタならガタッ! と立ち上がるし、どっちが!? どっちが!? ってなるでしょうが。落ち着けどっちもだ。そんな内容なのが椿いづみ『月刊少女野崎くん』11巻なのです。
瀬尾の兄妹、つまり僚介さんと結月さんが今回告ります。とはいえ、前者は、馬鹿僚介! お前まだ積み立て無かろうが! ですし、後者は、えっ? わりとそういう気持ちあったの結月さん!? という状態です。それがうまくいくはずがないのは、この漫画なので当然と言える形です。
もうこのまま永遠にこの話続けられてもいいんだぜ、俺はよお! という椿先生の顔が見えるようなのが今までの遅滞でしたが、そこにとうとう梃子が入れられたのです。ですが……。
まず僚介さんの方は、都先生が自然な付き合い方とは、うごご……となっていたところでちょっとやってみよう、という話になる段階でお前に気持ちねーから! 今後は分からんが今は全く発生してないから! なのですが、それでも律義にやる辺りが僚介さんです。後、やっている最中がほぼ漫画のネタにしている都先生も都先生です。この関係性は、いつか発展するのか? というあわいは残しつつ、その回の流れで自然にフった感じになっているので、僚介さんの未来は暗いです。いや、逆に脈はあるのか!? って読者側は思う流れなんですけども。この辺のムーブの特殊さは堪りませんね!
さておき。
瀬尾若松ペアについても書いておきましょう。とうとう自分=ローレライという図式を若松に知らしめるべきか! となった瀬尾さんが、ある意味一世一代の告白をする回なんですが、ここで割とあり得ないと思っていた、告白でドキドキする瀬尾さんという絵が見られます。お前にそんな人間らしい感情が!? というわりと酷いことを思いましたすみません。
しかし、瀬尾さんが照れるとはなあ。そういうのとは縁遠い、そもそも色恋に対して縁遠いタイプだと思っていたけど、こんなところで乙女な部分を見せてくるとは。個人的にはかなりのダメージがありました。←ダメージ?
さておき。
さて告白の方は、となりますが、これはかなり範囲の広い感じになりました。告白の結果が範囲が広い、という意味不明のワードが出るくらいな展開だったのです。すっげえ照れが入って笑え! お前がローレライかよって! とかされると踏んでいた瀬尾さんに対し、若松くんは確かに笑いましたが、嘲笑するようなそれではなく、受け入れる笑みだったのです。この笑みの許容範囲が広い、と命名したいと思います。
つまり、ローレライなんですね、な笑みなのか、また馬鹿言って、という笑みなのか、どちらとも取れる、非常にあわいのある表情だったのです。瀬尾さんは後者と取ったようですが、前者の可能性も、読者としては持ち得る。そういう笑みだったのです。若松くんが腹芸をするとは思えないので、翻弄しようとしてしているのではない、と思えば、前者可能性は結構あるかと思います。まだ、作中では不明なので、妄想ですが!
さておき。
そういう爆弾があるからなのか、「誰が主人公か提示しないと読者不安よな。佐倉動きます」する場面が多かったのがこの巻のもう一つの特徴でしょう。千代ちゃんが幸せならそれでいいけど、それでいいの? という場面が多かったという意味でもありますが。特に二人羽織のとことか、本当にお前それでいいのか? おいぃ? な展開でした。
サイン会かあ、でもそもそも顔ばれするとまずいよな。なら千代ちゃん代役に、という野崎の発想自体はわりと穏当なんですが、それが二人羽織に到達した時点で異常な展開へと突き進みます。最終的に二人羽織だから食べる系しようとしだす辺りで、お前ネタ職人じゃないんだから……。という感想しかでない事態に。二人羽織楽しかったです、じゃねえんだよ野崎! 千代ちゃんも唯々諾々と受け入れない! ちゃんと落とすところは落とさないと! という、ある意味いつも通りなところもあったり、後、鹿島掘ペアが進展したのかしてないのか分からない位置にまたぶっこまれたりもしたのも、『月刊少女野崎くん』11巻なのでした。一番カップルに近いように見える鹿島掘ペアが亜空のムーブしだした……!
とかなんとか。