感想 福地翼 『ポンコツちゃん検証中』1巻

ポンコツちゃん検証中 (1) (少年サンデーコミックス)
ポンコツちゃん検証中 (1) (少年サンデーコミックス)

 大体の内容「地球のピンチ!? でも夢咲さんの可愛さの前では霞むね!」。地球にピンチが迫っている! 一年の間で能力を見極めるのだ、夢咲さん! というお話ながら、ポンコツ系美少女夢咲さんと目力あり過ぎ系男子水戸くんが大変可愛いので大変ニヨニヨできる漫画。それが『ポンコツちゃん検証中』なのです!
 この漫画は、能力モノでありつつも、夢咲さんは、可愛いですよ! という部分を猛烈くクローズアップして、しかし能力モノとしての素地も全然忽せにしていないどころかそれが夢咲さんの可愛い、水戸くんの可愛いをマシマシにしつつ、唸らされる展開へと持っていくという、漫画技術の粋を魅せられていると発言したいレベルのものとなっております。タツジン!
 とにかく、この漫画は能力モノと夢咲さん及び水戸くんの可愛いという二輪状態です。まず能力モノとしての側面について語りましょうか。
 というのも、この漫画は、夢咲さんの能力で1年後に降ってくる大隕石をどうにかしろ! という基本の筋を持っています。その上で、夢咲さんは毎日日替わりで様々な能力を授けられる、という、能力モノとしては変わり種の設定をかまし、それを日々検証する、ということで夢咲さんと水戸くんが触れ合っていく、という方向性を持っているのです。
 日替わり能力! これは中々多くない設定です。ネタとしては思いつくものの、能力を毎度考えないといけない、なので展開が安定しないと採用が見送られる形になりやすいものですが、この漫画では色々検証して隕石対策を考える、というお膳立てがあり、それ故にむしろこれ以外の設定ではこの漫画は成立しないだろう。そう思わせるくらいには、優れた設定となっております。
 ただ、これはある意味危険な設定でもあります。日替わりで、ということは毎回毎回違う能力を考えつかねばならない。そういう地獄の設定であるからです。しかし、それは杞憂でありましょう。何せ作者は福地翼。相手を眼鏡っ子好きにする能力という、極まりきった能力を考え付いた漫画家です。その事実だけで、この漫画に対する全幅の信頼が沸き上がってきます。それが、福地先生を追い詰めることになるかも、とは思いつつも、一つ安心できる材料であるのもまた確か。福地先生なら、福地先生ならきっとやってくれる……!
 後、アポカリプスが1年後というのも、この漫画を特徴づけています。日替わり能力、出来て360回程度、という一応の縛りではありますが、それでも360種類……。広大過ぎます。この能力の様態を、毎日きっちり確認していく、というのがこの漫画な訳ですが、毎日だろ……。一日一日やっていくのか……。
 というのもそうですが、これを毎日、夢咲さんと水戸くんがこなしていく、というのでもうバディというかボディじゃん? レベルで二人はどうなっていくのか、という興味をそそります。1巻段階でも相当お互い意識しまくっている二人が、この後どうなっていくのか……。妹に舐められだした後藤ひとりさん並に気になるところです(ぐるぐる目)。
 そう、もう一つの軸である、夢咲さんと水戸くんが可愛いも、この漫画の大事なところです。
 基本、夢咲さんが大変可愛いなあ! というのを、能力モノとしてやっていきつつ魅せてくる漫画ですが、それにしたって夢咲さん可愛すぎか! 水戸くんも可愛すぎか! 案件なのです。
 夢咲さんはポンコツに可愛いお顔に豊満ボディ、更に関西弁という要素の多重事故で、能力使ってあたふたするところが可愛い。食べたいまである。その為の漫画ですから、それは理の当然。
 しかし、水戸くんの可愛さはどうだ! 親譲りの目つきの悪さと強めの口調のせいで、誤解がある彼ですが、その実は実直でいいやつであり、その上で夢咲さんが、可愛い!? そして頼られている!? というのでアップアップする可愛さがあるのです。その照れたり血を吐いたりする様、可愛い……。
 まだ好きとか嫌いとか最初に言い出したのは誰なのかしら、という感じで、夢咲さんとの仲は使命感が強いのですが、その内夢咲さんにおぼれていってしまいそうな雰囲気もあります。地球を守る、というのより、夢咲さんのいる地球を守る、という方に使命感を感じている描写も出てきて、付き合い始めたら、ぐずぐずやな! と思わされます。そこがいいんだ……。
 ということで、能力モノとしての側面と、夢咲さんと水戸くん可愛いなあ! の側面で回していく漫画。それが『ポンコツちゃん検証中』なのです。