ネタバレ感想 小野中彰大 『魔法少女にあこがれて』1巻

魔法少女にあこがれて 1 (バンブー・コミックス)
魔法少女にあこがれて 1 (バンブー・コミックス)

 大体の内容「魔法少女に憧れて、いたんだ間違いなく」。ただ、それは憧憬というより背徳の愉悦の為だったのだ。そういう話なのが『魔法少女にあこがれて』なのです。
 柊うてなさんは街にいる魔法少女三人組、トレスマジアに憧れる女の子。でも遠い存在だなあ、となっていた彼女に、一大転機が舞い降ります。ぱっと見魔法少女のお付きぽいマスコットに、声をかけられたのです。
 やった、私も魔法少女! と一瞬上がる柊さんですが、そのマスコットは冷静に言います。僕と一緒に悪の女幹部をやってよ!(意訳)と。そういうことで始まる、柊さんの悪の女幹部道ですが、マスコットも適当に声をかけた訳ではありません。彼女、柊さんに内在する、魔法少女に対する感情に目を付けたのです。それは憧憬ではなく、虐げたいという背徳的Sっ気!
 憧れるからこそそれを虐げたいというその気持ちが、トレスマジアとの初戦から爆発! 植物触手で捕まえてからのスパンキングに突入! そして、自分の中のSッ気に気づく柊さん、でしたが、すぐにこれは夢だ。夢じゃ夢じゃ、夢なのじゃあー! と現実逃避。気が付いたら家のベッドの上でやっぱり、とおもったらそこでマスコットはいるから現実なんですよ! という1話目の仕上がり具合が素晴らしい。変身ヒロインに嗜虐性を刺激されたことのあるヒューマンには、その気持ちが分かり過ぎて困るという副作用もありますが、むしろこれネタ持つのか? という老婆心も出てしまいます。Sッ気で行くと行き過ぎるとどうなってしまうか。リョナ癖のある向きとしては、その点が気になります。
 とは言いつつも、大丈夫だろうなあ、という予断はあります。
 それは魔法少女三人娘が個別でそのSッ気に対する反応があるからです。普通、逆に虐げたい、虐げて欲しいの三者三様なのです。特にマジアアズールさんは目隠しプレイされてから、して欲しいという性癖が植わってしまいます。まだ本人は気づいてないですが、これをもってすると、して欲しいから仲間を売る、という展開も考えられる為、そうなったらこの漫画どうなっちゃうんだろう。とまた老婆心が出てきます。普通の魔法少女物では中々お出し出来ないタイプの話が、ある意味エロゲかこれは、みたいな状況が生まれる余地がある、というので、そういうのが大好きなワタクシとしてはむしろ歓迎ウェルカム! ではあります。でもお前それでいいのか? でもありますが。
 この巻に関する周辺で個人的な嗜好の話をすると、やっぱりロウソクプレイはいいですね……。昔から好きなシチュなんですが、それがなんでいいのか分からないんです。でも、どこかで性癖としてかなり深く植わっている。なんだろう、この気持ち。というのをこの巻で、それも大変良いものとして摂取させていただきました。ロウソクプレイはいいぞ……。次に見れることはそうそう無さそうだけど……。
 そんな、魔法少女とか変身ヒロインに違う意味ではぁはぁした事がある向きには、マジでお薦めできる、という、お薦めの範囲が酷く狭い漫画。それが『魔法少女にあこがれて』なのです。