ネタバレ?感想 津留崎優 『SA07』1巻

SA07 (1) (まんがタイムKR フォワードコミックス)
SA07 (1) (まんがタイムKR フォワードコミックス)

 大体の内容。「井の中の承認欲求モンスター、大海を知らず、が、知っても貪欲に」。茉愛さんは承認欲求の固まりな、イラスト系専門学校の生徒さん。野望は高く、夢高く。だけどそこで現実を知る。でも、まだまだ! と挫けずやっていく。と書くと普通の話なのに、なんで俺の読後感は違うんだろう。そんな変な雰囲気を纏った漫画。それが『SA07』なのです。
 この漫画はまんがタイムきららフォワードに掲載されている漫画です。なので、可愛い女の子カワイイヤッター! な雰囲気になる。などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。と言いきってしまっていいくらいの作品です。一応、基礎のところは前述の茉愛メインで進みますし、綺麗どころもちゃんと、いや茉愛さんが綺麗じゃないって訳では……! ごほん、茉愛さん初めきれいどころもちゃんといますから、フォワードの漫画であることを最低限の保証はしています。
 ですが、二点で、この漫画が凡百なきらら漫画ではない、とこちらに知らしめてくるのです。その一つが、亜空のムーブをする茉愛さんであり、もう一つが伊藤(男)などの男勢の存在感です。
 茉愛さん、故郷じゃあ取り巻き3人いて姫ムーブしてたんですが、当然上京すればそれはリセットかけられます。でも、生粋の承認欲求モンスターである茉愛さんは、専門学校でもそのムーブが端々に出てきます。まあ、それはいうて可愛いんですよ。基本美人さんですし。
 ですが、ここでひとつアクシデント。一目惚れ、しちゃった! のです。同じクラスの寡黙系メカクレ君、宮田くん(男)に、ドキューン! と! そこから軽いストーキングムーブをかましつつ、どうしようどうしようと、茉愛さん。なんと、この子取り巻きはいたのにそいつらを恋愛対象として全く見ていなかったのです! サークラしてない! は伊達じゃない! と慄く案件です。高校生なんて軽々に恋しちゃう年頃だろ……。それを承認欲求だけで乗り切ってたのか……!? 承認欲求モンスター!!
 ということで、宮田くん(男)に強引に付き合って下さい! というムーブをいきなりかました茉愛さん。当然、え、いや、わかんねえ。と拒否されてしまいます。そりゃまあ、同じクラスになって間がないのにいきなり、ですしね……。でも、ここで簡単には諦めないのが茉愛さんのいいとことわるいとこ。いきなりが駄目なら、積み重ねたる! というムーブに移ります。これがどうなっていくのか、というのがこの漫画を気にする一因となっています。
 もう一つのこの漫画をノーマルなきらら漫画とさせない点は、伊藤(男)などの男性キャラの存在です。恋する相手としての宮田くん(男)という存在もそうですが、伊藤(男)などは茉愛さんを初手でサークラ気質の姫キャラだと見抜いた、ある意味眼力のある男です。そして、ちょくちょく茉愛さんと対峙していくキャラになっていくのです。
 ちょっと宮田くん(男)に対するムーブがホモじゃねえのか……。までありますが、そうなれば確かに宮田くん(男)を守る為に動くナイトめいたところもあり、妙に納得するんですよ。でも、いうて伊藤(男)はエロゲ―もきちんと嗜む普通のオタ男子。それを硬派という仮面で隠しているけれど、流石にホモじゃねえのか……。ではないのです。ムーブとタイミングがあれでこっちが勝手に惑乱させられているだけなのです。今の所は。いつかグラっと揺らぐ可能性もありますが。大丈夫なはず。
 さておき。
 最後に個人的な好きキャラの話をするいつものターンですが、カガリさん(女)がいいですね。基本的に超美人、という天に愛されているのに更に絵も上手い、という天は二物を案件ですが、その実態はドの強いオタクである、というのが大変いいのです。ドの強いオタなので、カワイイは大好き。だから茉愛さんもカワイイ案件でお近づいてきますし、ドの強いオタなのでエロゲ―もたしなみ、その部分が伊藤(男)にある、というのを先天的にかぎつけ、オタ話しましょうぜめーん。と切り崩していったりします。当然、公衆の面前でも同担がいればオタ語りをしだすことにちゅうちょがありません。基本キャラの濃いこの漫画でも特濃のお方です。
 一番の綺麗所がこれ、なので、この漫画の内容は推して知るべし、なのかもしれません。一応、勉強のパートもちゃんとあるし、専門学校漫画というまた微妙なラインをきっちりと説得力を持って描いている、という部分には大変好感が持てるというか、こういうものの基本ラインは守るのはいいですよ。ついでに俺の味も出す。というのも込みで、大変いい。アーッ……イイーッ……。
 と、どっかの変態ニンジャめいてきたので今回はここらへんで。