ネタバレ?感想 とよ田みのる 『金剛寺さんは面倒臭い』5巻

金剛寺さんは面倒臭い (5) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
金剛寺さんは面倒臭い (5) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

 大体の内容「これをもって大団円! 次回に続く!」。という最終回を迎えたのに続くという、わりと正気を疑われる、『ドラゴンボール』世代でもWHAT!? な漫画。それが『金剛寺さんは面倒臭い』なのです。
 毎度型を破り過ぎて原型がとどまってない面もあるこの漫画ですが、今回は最終回の向こう側に行こう、というまた型をビリビリに破りだしました。とはいえ、そこまでの道中はちゃんと最終回に向けての歩みであり、だからこそ最終回の向こう側にカカッと進まれて訳が分からないよ。とインキュベーター台詞がするっとでてくるのです。
 それにしてもこの漫画の大ネタ、4巻最後にお出しされた神VS鬼の話がまさかのダイジェストだったのは本当に笑いました。そこに向けてちゃんと盛り上げていたので、まさかそのはしごを神速で畳んでくるとは思いませなんだ。普通なら、台詞ばかりである説明回というのでケーッ! となる場面でも、何があったんですが教えてください何でもしますからー! というか、説明してください。僕は冷静さを欠こうとしています。状態に叩き込まれます。この辺のテクニカルさ、その鋭さが常識の埒外で、本当に説明中心の回なのに満足してしまうという亜空の立ち回りをされます。この無茶苦茶さを堪能する為に、1巻から買ってもいいのでは? と錯乱してしまうくらいのものなのです。いやあ、ヤバイマンガはヤバイ。
 とはいえ、そこはこの漫画においては些事の部類です。中心は金剛寺さんと樺山くんの恋、そして愛の話です。最終的にこの巻で結婚式までいきます。そこがメインです。そこに行くまでが平坦ではないのですし、些事の方が見てえよバカ野郎! なんですが、でも、この漫画は金剛寺さんと樺山くんの恋、そして愛の話なのです。だから、金剛寺さんが徐々に開放的、あるいは抑えていたものを解放していく部分に樺山くんが関与して、二人の愛が育まれていく様が、この漫画の基本でしたが、それが今回は結婚まで行くわけですよ。プロポーズとかもする訳ですよ。でもプロポーズの段階で一大事になって、と思ってページめくってハラハラしてたらいきなり結婚式ですからね。本当に頭がおかしいというのはこの漫画のことを言うことだと思います。
 というか本当に、最終回(最終回じゃない)の今までの情報を一気に手繰ってハッピーエンドなんだ! という実際そうなんだけど、その真顔で言われると文句つけたくなりますけどねえ!? 具合がちょっと常識では語れないレベルです。樺山くんが自身の罪を語り、それで金剛寺さんが揺れ動くけど、でもそれでも君と生きたい、ってなるとことか本当にいいんだけど、素直にいいって言っていいのか迷ってしまう。でも名シーンである。そのせいで頭がくらんくらんしてきましたよ。ちくわ……。
 それにしても、金剛寺さんと樺山くんが結ばれる、というのが、ほぼ天命としてつながってきていて、というのが大変良いものだったなと。もっと過去に、色んなしがらみや差別などを越えて、そう言う光の道があった。それが金剛寺さんと樺山くんにもあり、というかそもそも金剛寺さんがそういう光の先の一つである、というのが明示されて、壮大! ってなりました。最後を迎える前にカカッといれた要素でしたが、綺麗に決まっていたのが印象的です。ぽっと出のネタやん! ではあるんですが、それでも決めてきた辺りがとよ田先生の辣腕、あるいは豪腕なのです。すげー。←語彙が
 さておき。
 そのメイン筋からすると重要なような違うような、な旅行編の趣きも良かったです。基本、金剛寺さんと樺山くんが旅先でジャンクに食って、近い環境で寝る、どうでもいい話ではあるんですが、このどうでもいいことこそが重要なんだよ! というのを、金剛寺さんの心の檻が解放されていく様を描くことで見せつけてくるの本当に凄腕過ぎるんでやめてくれませんか! ってなりました。基本緩い話なのに、重要なタームをカカッとぶっこんでくるんだからもう。堪らん。
 さておき、次の巻で最終巻になる、のか分からないところですが、完全な蛇足編がどうなるのか。公募されたネタの一回目がエビフライエフェクト、って送った奴天才過ぎるだろ! 案件ですが、これどうなっているんだろうか……。期待して6巻を待ちたいと思います。