ネタバレ?感想 カコベン 『ハルメタルドールズ』1巻

ハルメタルドールズ 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
ハルメタルドールズ 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「そんな彼女はメタルモンス」。彼女、鐘町チズさんはポップでキュートなシンガーソングライターを志す、一介の女子高生。しかし、彼女にはある秘密があったのです。それが、歌声が弩級デスボイスだということ!
 という、通常の意味においてギャグ漫画にしかならない性能を持ちつつも、案外きっちりJK&バンドものとしてなりたっているという、そんな不思議な作品なのが、カコベン『ハルメタルドールズ』なのです。
 今のきららMAXが有頂天で留まることを知らないのは皆さんもご存知でしょうが、その中にあって独特の存在感を放っているのがこの漫画です。
 基本として、チズちゃんさんがポップシンガーになりたい、というのに出る声がデスボイス。その上ギターをアンプに繋ぐと性格が豹変してメタル向きになる(婉曲表現)、という漫画です。
 その方向性から某DMCなどを想起してしまいがちですが、あちらが一本ネジが飛んだ音楽漫画だったのとは違い、更に女の子バンドでメタル、という倍満を積んだ青春漫画になっています。
 そう、音楽にかける青春! チズちゃんさんはメタルなのが超いやいやだけど!
 しかも、音楽にかけるその理由が、一時期にちょっとだけ爆上がったハルというシンガーにまた会いたい、友達だったあの子に! というので、エモさが爆裂しています。歌っていたら、また会える気がする。というやつです。その為にまい進する。青春だね!
 だがしかし! まるで全然! チズちゃんさんの歌声はポップスとは程遠いんだよねえ! というのが、実はこの漫画の要になりそうなアトモスフィアがあります。
 そのデスボイスと豹変する性格ゆえに、メタルバンドを立ち上げようというかなめさんに目を付けられ、メタラーへの道を決定づけられるのですが、その途上である、とあるハコでの演奏を、ハルが見ていた! となるのです。
 かなめさんも、ハルには、もしかしたらこっちの方が早く会えるかもよ? とは言っていましたが、それが本当になりかけていたのです。その為に、バンド名も、この漫画の題名<ハルメタルドールズ>にした甲斐があったのか? という状況です。

 莫迦かてめえら!? それだけであるわけねえだろうが!

 ということで、勝手に感じていることなのですが、チズちゃんさんの言うハルという存在というのが、実際に存在するのか? と。そこが不思議なのです。
 そもそもネットのシンガー系のだったハルさん。というだけで存在の怪しさを感じてしまうのは無理からぬと思っていただきたい。そのハルさんと親しかったというチズちゃんさん。でも、いつの間にか会えなくなって。そしてそのハルが、メタルの魔窟にやってきていた、とチズちゃんさんは言う。
 しかし、本当にハルはそこにいたのか? 他の人は見たのか? もっと言えば、それがチズちゃんさんの虚言なのでは?
 そういう感じ方をしているのですが、これが正答なのか誤解なのかは、今後次第なので、壮大に伏線貼りまくって惑乱して欲しいと思います。←面倒臭い読者
 さておき。
 最後に個人的な認めをすると、ドラム担当のドラム初心者マコトさんが大変好きです。でかくてでかくて怖そうでありつつ、可愛いもの大好きでチズちゃんさんが表では可愛くて好きで裏では可愛怖くて好き、というもう駄目だなこいつ。助からないよ。って状態になっているのがいいです。
 怖そうでありつつ、案外いい人なのもありますが、このチズちゃんさんへの傾倒があって、メタルバンドのドラムに初心者としてエントリーしててもやめられない辺りがくっそええんですわ……。ちゃんとドラムを練習して少しずつモノにする努力家でもあるし、何この子。俺のツボ押さえすぎ……? ってなります。久しぶりに、ドつぼだぜ……。
 さておき。
 メタル魔窟で場の主導権をもぎ取ったハルメタルドールズ。そして、その場にハルが? というので、さて、本当にハルがいるんですかってね! となる読者を今後どう翻弄してくれるのか。そういう面倒な読者楽しみも入れてくるのが、『ハルメタルドールズ』なのです。