ネタバレ感想 野上武志 『ガールズ&パンツァー リボンの武者』14巻

ガールズ&パンツァー リボンの武者 14 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
ガールズ&パンツァー リボンの武者 14 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

  • 前巻の感想

hanhans.hatenablog.com

 大体の内容「対戦の前のお約束。それは潜入調査だ!」。そうか、その手が……。と、己の不見識を恥じ入る感じで、本当にその手がありましたな! という大洗に潜入展開するのが『ガールズ&パンツァー リボンの武者』14巻の展開なのです。
 しずか姫が潜入なんて出来たっけ!? となり、BC自由連合の時もそれほど潜入じゃなかったから、たぶん無理だろうなあ、と思ったら本当に無理だったけど、大洗女子はいい子ばかりなので問題なかったでござるの巻。
 いや、本当に大洗女子の面々はいい子さん達です。アリクイさんチームなんか、潜入! ってわかってても楽しく遊んであげていましたし。だからって勝手に張りぼて建築して某島由紀夫の檄飛ばしさせてあげてたのはやり過ぎですが、まあそれくらい皆いい子なのです。
 なので、カメさんチーム、つまり生徒会の面々が改めて西住みほ以外視点から見た『ガールズ&パンツァー』を語ったりするのも、そのいい子の射程内です。いい子だからこその、何故あれが出来たのか、について謎ー。ってなるのもまたむべなるかな。西住みほ以外視点だと、本当に何故勝てたのか、何故大洗を守れたのかが、謎、という地点があるのだなあ、と感じ入ったりします。それを言っちゃうのも、またいい子なのですが、それはさておき。
 いい子が居れば、当然悪い子もいます。会長、作中ではほぼ元ですが、杏さんとかですね。草の者を使って、良い感じに上澄みだけ見せて満足させる作戦をかましている辺り、相変わらず策士です。
 とはいえ、策に乗らなかった黒森峰や、策の更に内側に迫るムカデさんチーム、そしてガルパン意味深ポジでお馴染みの継続のミカさんには通用しない形ではありました。
 その通じなかったムカデさんチームが、西住みほにとうとう出会う! という流れは大変ようございました。アンコウさんチームが大体神格化っぽいムーブでビビられてたのには笑いましたよ。ちょっとキャラ立ち過ぎ!
 とはいえ、アンコウさんチームは立身伝の存在として見られるのもおかしくないくらい、ちょっと性能おかしいというのは、ガルパン見てきた人なら大体納得していただけると思います。特に五十鈴さんと冷泉さんのそれはマジで極まっていたので、神格化されても仕方ないとは思います。おかしいよねあの子ら。
 さておき、そんな神格化の強い面々に対して、最も神格化されていた西住みほさんに対して、12巻辺りから揺り戻しが始まっていた訳ですが、この14巻に至って、西住みほという存在は、特に鈴さんにとってはだいぶ解像度が上がってきています。カメさんチームの証言、大洗の戦車道に強制された辺りや対プラウダ戦での負けてもいい発言*1などの、西住みほという存在にとっての戦車道というのがどうなっていたのかという変遷の情報を得ても、まだ解像度に隔たりがある。と鈴さんは言います。確かに、そちらは暗い話としての見栄えであり、そことは違う、明るい側面もあるのでは? というのは慧眼です。
 そして、西住みほに出会い、その解像度がしゃん、とした鈴さん。だいぶ納得してる感じに見えました。
 ではしずか姫はどうか? となります。
 こちらは闘志バリバリですよ。みほさんに、戦さ場にて、って言っている辺り、完全に相対者として照準が定まった感じです。しずか姫の中でも、西住みほが実在として形作られた、と見ていい啖呵です。
 しかし、ここで一つ、両者の間で意識の不一致があること。諸賢なら気づかれておられるでしょうが、みほさん、単なる練習試合だと思っているのです。先ほどの戦さ場発言に対して、戦車で、と返している辺り、まだ全然ゆるい感じに練習試合だと思っている感があります*2
 しかし、対戦相手の方は捲土重来というか、ここで戦車道勢力に楔を打ち込まん! という気概でやってくるのです。温度差が全然違います。
 この温度差が、果たして対戦にどのように影響するのか。
 テンション差で一気に押して倒してしまうのか。
 なんのかんので西住流ガチ勢でスイッチが入るとヤバイことでお馴染みの西住みほの底力が見えるのか。
 次巻が待たれます! というかフラッパー買うか!?
 とかなんとか。

*1:ここの証言の時の、鈴さんのかわいそう発言からして、鈴さんの中でどういう感じに西住みほがあるか、というのが分かる感じです。

*2:ここで戦車で、と返す辺りがみほさんの西住流ガチ勢っぷりがうかがえたりもしますが