ネタバレ?感想 服部昇大 『邦画プレゼン女子高生 邦キチ!映子さん』Season4

邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season4 (マーガレットコミックスDIGITAL)
邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season4 (マーガレットコミックスDIGITAL)

 大体の内容「邦画縛り、破れる! でもある意味邦画だったのでしょうがない」。ということで、初めての邦画以外プレゼンも飛び出しつつ、どんどん洋一の方向性が迷走し始める。そんな愉快なSeason4。それが『邦画プレゼン女子高生 邦キチ!映子さん』なのです。
 洋一の方向性は毎度おかしかった気がするのはさておき、今回では映子さんがナチュラルに家にくるという事態や、ヤンヤンにこまっしゃくれた大学生かとか言われるなど、外部要因でアップダウンした感があります。
 特に、映子さんに対しての気持ちというのが、だが奴は、弾けた。というレベルに到達しつつあります。
 顕著なのは、映子さんがビジネス書を読むとか言い出した辺りで、こいつがこのまま変な勧誘に飲み込まれたら……! という、んなわけねーという地点を想像して、ダメだ! ってなってるとことか、最高に頭おかしいです。
 お前、映子さんの凶悪な邦画プレゼンがそんなのに飲み込まれると思ってんのかよ! 案件ですが、でも確かに方向性が噛み合うとそういう方向にも行きかねない、と思ってたらやっぱり邦画絡みで読んでた、というオチでした。そこに対する熱量、本当に凄いな、映子さん。という納得度です。
 他にも、特撮部の眼鏡っ子(オーソドックスな眼鏡外すとタイプ。でもわりと濃いめ)と昼食を共にして和気あいあいしている映子さんを見て、同年代の友達出来てよかったよかった、という妙な立ち位置を見せていたのも印象的です。特撮部部長と同時に同じことを言っていた辺り、あの二人の親和性というか、方向性違うだけで同じタイプなんだなあ、と妙に納得するところでもありました。特撮部部長、あいつも方向性おかしいからなあ……。
 方向性というと、映子さんが珍しく邦画以外を見た、というのも、この漫画の方向性面を心配したくなる事態でした。とはいえ、それがフランス版『シティーハンター』だったので、映子さん的には邦画判定になっていたのが印象的です。完全に『シティーハンター』だった、というはまだしも、映子さん、『シティーハンター』世代なんですか? という雑感がぬぐえなかったですが。まあ、令和で女子高生なのにVHS買ったとか言い出してますからね、映子さん。そういう意味では豪の者だし、知っているのは当然なのかもです。
 さておき。
 なんとなく洋一が一人の所に映子さんがやってきている、という事態が二回もあったのが、この巻の洋一と映子さんの関係性を見る上で重要なポイントである、と今、勝手に思い始めました。
 というか、洋一があまりに奥手なので、映子さんが自ら出張っている、という視点を灰塵にする映子さんの怒涛の邦画プレゼンはやはり圧巻です。案外照れ隠し要素もあるのか、とも思うんですよ。正月に恋愛映画、当然映子さんプレゼンなので一風変わった(婉曲表現)ですが、を一緒に! って言いだす辺り、そういうのが無いようでもないな、とは。
 でも、持ってくる映画がネタ度濃すぎるというか、いつもの映子さんプレゼンなので、そこんとこで目くらましされてきます。一応、ちゃんと振袖きて正月の初詣に一緒に、って段階で他の人とは絶対に違う気持ちがこもっているのは見て取れるし、洋一発端とはいえ、恋愛映画を持ち込んでくる辺りも、何やら考えさせられるところです。
 などと、その気になっていた俺の姿はお笑いだったぜ。
 というくらいに、『デンデラ』回で、洋一の家に当然のようにいて当然のように王様のブランチの映画コーナー見て当然のようにさきイカを食っているところは凄かったですね。それ、もう何段階かしてからするムーブじゃあありしませんか!? 振袖デートしたからもうそこんとこすっとばせるんですか!? という。
 馴染むとかそういうのを一気に踏み越えておりました。そりゃ洋一の方向性がおかしくもなるわ。という気持ちにもなりますよ。というか、映子さんの距離感が分からない! 映子さん自身も分かってないんかもしれませんが! でもあの詰め方おかしくない?!
 とかなんとか。