ネタバレ感想 よしむらかな 『ムルシエラゴ』17巻

MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ- 17巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ- 17巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

17巻の感想

 大体の内容「事件は”針千本”から”魔弾の射手”へと」。ぶっちゃけ、この事件が推移して題が変わるというタイミングの演出が大変ツボになるくらい優れていた、というだけでこの巻が語り切れてしまうのではないか。という錯乱をさせるくらい美味い演出もしっかりあったのが、『ムルシエラゴ』17巻なのです。
 17巻は珍しくメンズの活躍が光る巻です。それは、千代ちゃんとこの組の構成員で出所してきた善八のいいキャラ具合、ちょっと古めの任侠感が強いとことか、今回の犯人の相当な強さとねじくれ加減とかもですが、でもここはちょっと地味なところでツルさんの挙動の話をしたいと思います。
 と言って、それ程派手なことはしてません。暴力団事務所に突入した時に、突き付けられた拳銃を瞬時に掴み返して相手に向ける、というムーブをしただけです。
 ええ、わりと無茶です。
 ツルさん、今までも実力者めいた雰囲気はあったものの、そういう部分がしっかりとクローズアップされることはありませんでした。話の雰囲気とかで、これは結構あるんじゃないか、という憶測のみが個人的には高まっていたのですが、それが、この超地味な一コマの動きで、いきなりその凄みを表現しきってくるのです。
 そんなことできるんや!? という衝撃の瞬間だったんですが、本当に地味な一コマなのでするっと見落としてしまいかねません。気をつけましょう。ツルさんは凄いのだ。
 それ以外でも、前述の善八が強い、というのを出す前にさらっとその善八と因縁がある、というのを見せて、その流れで後から善八強いを見せてからの、ツルさん、もしかしてこいつと渡り合ったの!? とするとこも地味にテクいです。なんだこのツルさんアゲ。
 さておき。
 今回の巻はメンズが結構目立つ感じで、なのでウーマンズの目立ちは相対的に少なく見える。
 などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。というくらいには、基本女子世界なのがムルシエラゴです。
 この巻で最も目立ったのは玄流さん。ではなく玄乃さんです。玄流さんの危機に、最終ページに出てきた! 
 というかある意味玄流さんだからずっといたんですが、それはさておき、やっぱりお前消えたりしとらんかったんか! 案件です。色んな意味でヒャッホウ! な案件です。いやそれはもう、今出てないだけで、玄流さんが危なくなったら出てくるんだろうなあ、とは思っていましたから出てきて嬉しいまであります。
 でも、それはそれで玄流さんを別の意味で、お縄という意味で危険にさらすのでは? とも思ったりしちゃいますが、でも凶キャラが出るとこできっちり出てくるってのは最高ですね。ある意味で魍魎の一条武丸みたいな、その存在だけで反則なので、さてこの犯人、生きて帰れるや? であります。次の巻が気になりますわー!
 さておき。
 この巻が女性陣の目立ちが少なく感じたのは、黒湖があんま仕事してないから、という部分も大きいかと思います。ぶっちゃけ、今回の巻における黒湖はお話への絡みが少なく、添え物でとりあえずいる感が強く、そこに男性陣の目立つとこが多いのも重なった感じです。そうか、やっぱり黒湖って主人公だったんだな。という理解がすこすこ進みます。出番が少ないと、女性陣印象も薄くなるんだなあ。
 その黒湖のこの巻最大の見せ場は、おまけ漫画ではなかろうか、とも思われます。ある日のことで、千代ちゃんが寝ている黒湖の○○○○(あえて伏字)を見て、ふつくしい……。となるとこですね。光り輝いている演出が入るほどの美しさ、ってどんなの?! 感が強いものの、顔が凶悪な以外は女性的な部分がしっかりあるんだなあ、黒湖……。
 さておき。
 最後にどうでもいいことですが、この巻でのサブタイトルの変化、というのが超好きです。
 <針千本>というものから、それにばってんがついて<魔弾の射手>になる、というだけなんですが、ここの描き方が大変良くて、でも書くのでは大したことしてないように読まれちゃうなあ、というので、中々言いづらいんですが、でも超好き。とは言えるのでとりあえず超好きと言っておきます。やってることは派手なとこ全くないんですがね。いいんですよ。動画で見たい。
 ああ、これの為だけにアニメ化しねえかなあ。などと書いて終わりとさせていただきます。