対ありでした。のワンワードを勝手に解説してみる の5

対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~  1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

最大リターンを取りつつ
 画面端への運びに成功!!!

この項について。グルガン族の男は静かに語った。

 この項は、江島絵里『対ありでした。~お嬢様~は格闘ゲームなんてしない~』の補助線という立ち位置を勝手に得ようというクソタレ頭の悪い目論見でやる項になります。
 格ゲーの用語は、その深度ゆえにぱっと見理解不能なところがあるので、そこをカカッと解説する手はあるかと思ったのです。
 という、この項の成り立ちもそこそこに、今回のワンワード解説いってみましょう。

第五回「最大リターン」

 最大リターンとは、その時の最大ダメージのことです。リターンのところにルビでダメージ、とあるように、大体はダメージ量の大きい行動についていう言葉となっています。
 しかし、これについてはワンクッションあります、先に書いたように、その時、というワンクッションが。
 格ゲーはダメージを与えていくゲームであり、それに対してコンボという仕組みも出来て、そこに最大ダメージコンボ、というのもある、あるいは即死コンボというのすらあります、訳ですが、しかし、常にそのキャラが持つ最大ダメージのコンボというのは入れられません。即死級超威力ともなると、出来るお膳立てが色々必要になるからです。
 格ゲーも昔からかなり進歩し、色々なシステムが組み込まれています。大ダメージを与えるなら、それらを使わないといけなくなります。
 それらを総動員するだけでも大変ですが、これに画面端限定やカウンター限定などの状況限定をしていって、初めてそのキャラの最大ダメージコンボ、というのは成立するのです。
 逆に言うと、状況によっては、それよりも安い、威力の低いコンボしかできないということでもあります。この、ある状況におけるコンボでの最大ダメージこそ、最大リターンということになるのです。常にそのキャラのフルポテンシャルのコンボ、というのは早々狙えないものだと覚えておいてください。
 で、使われた部分での最大リターンは、白百合さまのキャラのダッシュに低リスクのコパン、つまりしゃがみ弱パンチを狙って当ててからのコンボ、となります。このコンボ、実際安いと思います。
 というのも、当てやすい小技からのコンボ、というのはダメージが減衰していく率が高く設定されているのが常だからです。これをコンボ補正というのですが、これについては注釈を確認して頂くとして*1、ここでもっと大きいゲインは狙えたのでは? という疑問もあるかもしれません。
 しかし、ここの理路としては、まず相手が飛び道具を撃ってくるかもしれない、というのがあるのです。フェイントからのダッシュは確度は高い、けど常にそればかり狙ってくる訳でもない。
 こういう時に、リスクとリターンを計れば、中攻撃などの隙のある技は、飛び道具が刺さる、つまり当たる可能性があって少しばかりリスクの方が高い。且つ、コパンを差し込むなら、ある程度相手のダッシュを見てからでも可能である、という綾さんのプレイスキルもあっての選択ではないだろうか、と言っておきたいところです。
 つまり、隙が少ないから読みが外れてもリスクは少なく、その上である程度予断のあるところに置いておける。そういうコパンからの、最大のリターン、コパン中強ゴアスティンガー、となったというシーンな訳です。
 このシーンからは、綾さんの上手さがしっかり描写されているのが分かる、というのは、上記の通り。相手のダッシュを刺すコパンを、きっちり読み通りにしていますからね。ゲージが溜まったらフェイントを入れてくる、というまで読み切って、そこでここ! ときっちり最少リスクのコパンを置く。そしてそこからの最大リターンを取る。
 というか書いてて思いましたがやっぱり綾さんマジうめえですね……。最少リスクだったとはいえ、きっちりコパン刺せてるし、読み通りとしても焦らずコンボもミスってない。熟練とはこういうのを言うんですね……。
 とかなんとか。

*1:コンボ補正は、コンボを入れていくと、どんどん攻撃の元の攻撃力が減っていく、というシステムです。それも、リスクの少ない攻撃はより減衰する、という風になっています。格ゲー初期は元の威力がそのまま当たっていましたが、ほぼそのままの威力でチェーンコンボ出来た『ヴァンパイア』辺りからこのままじゃいかんね。となって、実装されていったという認識があります。うろ覚えなのであれですが、とにかく、『ヴァンパイア』のチェーンコンボは超減るので、ヴァンパイアの動画とか見て減り過ぎ! って言ったらいいと思います。後、『鉄拳』初代も超簡単に即死コンボ持っていけるので、それらを見ると補正やむなし、となると思います。そういう、超威力に対する回答として、積み重ねから生み出されたのがコンボ補正なのです。