ネタバレ?感想 おしおしお 『しかのこのこのここしたんたん』1巻

しかのこのこのここしたんたん(1) (少年マガジンエッジコミックス)
しかのこのこのここしたんたん(1) (少年マガジンエッジコミックス)

 大体の内容『おしおしお膳、1200%!』。おしおしおって知ってるかい?昔きららで粋に暴れまわったって言うぜ。という感じにきらら読者、あるいはキューン読者の精神に根深いダメージを残しているおしおしお先生の新作。それが『しかのこのこのここしたんたん』なのです。
 お話としては、脱ヤンして皆に慕われる優等生に! という虎視虎子さんが、鹿の擬人化というかなんというかいやそもそもこいつなんなんだ? な鹿乃子のこさんに元ヤンであることを暴かれそうになり、気が付いたらシカ部の部長になっていました、というもの。
 中抜きほぼしてないのに何言ってんだ感が強過ぎますが、基本的にストーリーは添え物、と覚えておいていただきたい。それがおしおしおに対する行動の最初の一歩です。対策なしに突撃するとタヒにます。たぶん。
 いきなり警告文みたいな導入ですが、それくらいおしおしお先生というのはSAN値を下げてくることに定評があります。とにかくボケのパワーが強過ぎるのです。この1巻でも、飛ばし具合は飛ばしており(重複表現)、三話目で学校の体育館が大爆発しました。
 バトル漫画とかではないのです。萌えギャグ漫画です。でも、のこさんの角を投げたら、体育館が吹っ飛んだのです。とここでいきなり新情報、のこさんは鹿の擬人化みたいなので角があります。それは光ったり爆発したりします。そも着脱可能な時点で我々は何を見せられているのか、というものですが、その着脱も場合によっては頭の5割くらいを持っていきます。
 訳分からないですね? 読後の自分も大概何を見せられたのか分かりませんでしたが、おしおしお先生の漫画とは大体そういうモノなので、覚悟してください。人によっては読む麻薬とまで言うやつですからね。ヤバイですよ。と何度も警告してしまうのもしょうがないと思っていただきたい。
 何故こうもおしおしお先生はヤバヤバのヤバなのか。絵柄相当可愛い系で、表紙の鹿の子のこさんも大変可愛い。でも漫画での登場は鼻水から、というのでもうどういう球だよ! と語気を荒げざるを得ません。球の出所が分からない、というかあるいは審判が投げた……? というくらいの球です。
 この導入からも分かるように、おしおしお先生の漫画というのは壊滅的です。絵柄からのギャップで攻めてくる亜空のボケ。虎子さん以外にツッコミ役がいないがゆえに虎子さんに過大に押し付けられる、そのボケは、なので凶悪としか言いようがありません。シカ部設立の件などは、誰もシカ部という謎部活について突っ込むことなく進む為、気の毒を通り越して、さもありなん、と納得してしまいました。そうなるのよね。
 という風に、この漫画のボケは侵食度が高いです。一話目で鼻水エントリー、三話目で体育館裏で決闘しようとしたら体育館ごと爆破、とされているので、連続して読むと程よくSAN値が下がって、そうなるよね。というそうはならんやろなとこなのに納得してしまうのです。つまり、気を抜くと負けます(何に?)。
 そういう破壊力と浸透力の高い危険な作風のおしおしお先生ですが、きららを抜け、キューンを抜けてマガジンエッジに行ったのは何かの前触れではないか、という気がしてなりません。世の中に、何かヤバイことが起き始めているのではないか? というかこの漫画普通に流通していいのか? 誰か裏から手を回しているのでは? というお気持ちが爆裂します。完全にキバヤシ級錯乱ですが、それくらいのパワーがある。入れ所が間違っている点を除けばよー! な作品。それが『しかのこのこのここしたんたん』なのです。