ネタバレ?感想 船津紳平 他 『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』10巻

金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(10) (週刊少年マガジンコミックス)
金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(10) (週刊少年マガジンコミックス)

 大体の内容「とうとう最後だ、金田一……!」。金田一少年シリーズの裏面、犯人たち視点のギャグより漫画、10巻にて完結と相成りました。こんな出オチ漫画が10巻も! という事実と、やはり名作か……。という感慨をもって、締めの言葉としたいくらいの漫画。それが『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』なのです。
 今回は良かった回は最初の金田一の友達が、高遠の筋書きで殺しをする話と、最後の歴代死亡犯人の声援の中で殺しが行われる話です。一つずつ見ていきましょう。
 金田一の友人が、というまたその関係か! 金田一の友達に罪を償わせたい、死を持って! という人多過ぎないか案件、『黒魔術殺人事件』は、しかし高遠プロデュースな為、内容がこりっこりです。
 そもそも怪しい人枠で、実際に人を殺したいけど呪うだけ、という人がいて、その呪いに沿って殺人を犯す、ということで、見立ての時点でその呪うだけの人が超怪しい! となる。
 しかもその人が呪いが成功しているヤッター! ってなって調子ノリノリな為、こいつ犯人じゃない方がおかしいだろ、という雰囲気を出すことに。
 その上で、そいつも毒殺して、一家まるごと復讐成功! という絵図だから、本当に完成されています。トリックの方もきっちりしており、流石の高遠プレゼンツです。
 しかし、そのプレゼンツには欠点がありました。それは、金田一を呼びなさい、という高遠の悪い癖が発動したことです。そして、犯人のちょっとしたミスで、金田一に事件は解決されてしまいました。
 おそらく観察力超S級の金田一じゃなければ気づかずスルーだったところなので、マジで金田一呼ばなければ……。案件です。本当に高遠がつやっつやする為だけだったので、マジで高遠の悪い癖が過ぎます。それに比べれば高遠がなんか矛盾すること言ってた歴年の謎を、忘れんぼ……! の一言で片づけたグッジョブすら霞んでしまいます。マジ高遠マジ……。
 さておき、『犯人たちの事件簿』最後の事件、『獄門島殺人事件』。これは今までにない味わいになっています。ラストなので、死んだ犯人たちがこの事件の犯人を見守るオーディエンスになっているのです。
 『オペラ座館・第三の殺人』でも似た形はありましたが、今回は死んだ犯人たちが寄ってたかって応援するため、わりと俺は今何を読んでいるんだろう。という立ち位置の確認をしだす羽目になりました。死んだ人をここまで活用する漫画、というのもちょっと無いかと思います。
 なので、話としてはわりとすんなりな形なのに、死んだ人オーディエンスのせいで妙なパワーがある回となっています。腰にキている!で、そうそう、くるくる。とかやられてどうしろってんだよ! 笑うしかねえじゃねえか!
 ということで、犯人たちの事件簿、この巻にて終了となります。最後に軽く総括すると、やっぱり『金田一少年の事件簿』は凄かった。そのあまり、行間を埋めただけでここまでの作品が生まれるのだから、どんだけ凄かったんだよと。でも、その隙間をきっちりと埋めつつ、殺しという題材なのになんか楽しかった、というそれはそれで倫理的にどうよ? な作品とも、この『犯人たちの事件簿』はなっていたかと。でも、基本的に犯人さんたち皆超苦労して、それでも事件は成立しなかった、というので、ある意味倫理観は崩れきってはなかったのかな。となんとなく思うなどします。金田一コンプライアンス問題もありましたけどね!
 とかなんとか書いて、この項を閉じたいと思います。