感想 小林銅蟲 『やせましょう 40歳漫画家が半年で15㎏本気(マジ)ダイエットした記録』

やせましょう 40歳漫画家が半年で15kg本気(マジ)ダイエットした記録 (イブニングコミックス)
やせましょう 40歳漫画家が半年で15kg本気(マジ)ダイエットした記録 (イブニングコミックス)

 大体の内容「こんなのダイエットじゃないわ! ただの羽根の付いたカヌーよ!」。だったら漕げばいいだろ! というボケはさておき、ちょっと謎なダイエットの世界に体当たり過ぎ、体張り過ぎで迫る、そんなダイエット実録漫画。それが『やせましょう』なのです。
 前作、『めしにしましょう』で料理のハック、あるいは魔改造みたいなのを作っては食っていた小林銅蟲さん。当然、体はブクりとなってしまいました。なので、ここはやせよう! という企画が勃発したのも、色んな意味でむべなるかな。しかし、それは中々修羅の道だったのです。
 形としては半年の内の1か月ずつ、一つのダイエット法をやる、という縛りでやっていくのですが、初手から脂質摂取ダイエット、というのでこの漫画がヤバくなるのは目に見える形となっています。
 というか、いくらなんでもダイエットの振れ幅大きすぎませんか!?
 脂質摂取、サプリメントファスティング(ちょっとした絶食)、GLP-1、というどれも話半分しないといけないやつやないか! なとこがある一風変わりのダイエット法。それを一ヶ月ずつ体験していく、というのがこの漫画の趣旨なはずでした。
 でした、というのが何故入るかというと、小林先生が基本的にお題目に唾吐くタイプなのです。且つどこかハックできるところはないか、とやりだす為、ダイエットというミッションに対して何故かサイドミッションが発生するという、それはちゃんとダイエットの効果が出ているのか? となる場面が目白押しです。
 単行本1冊でまとまっているのに目白押しされる訳なので、読んでいるタイミングでは『めしにしましょう』並みに変な情報のるつぼとなっているのです。ある意味、それだからやってられたという部分もあるんでしょうが、それにしたって情報が、情報が多い……! というものでありました。
 最終的にはサイドプランを打つ隙間がないライザップに突入して、結果痩せる訳なんですが、それまでやってたの筋量も落としてたから駄目だった! と大返しかましてくるので困ります。あんたのサブプランも問題があったのでは? という言葉をしたくもなります。
 さておき。
 全体的にヤバそうなダイエット法をしっかりやってたこの漫画において、その中でもヤバイと思ったのは糖質絶対ダメの脂質摂取ダイエットと、食欲無効化のGLP-1。
 前者は糖質なくてもやっていけるのか、と思わせておいてここで食わんと死ぬ! とか、頭に糖分が回らないからネームも出来ねえ、とか、糖質、多くても駄目だけど少なくても駄目なのね! と大悟を得らえました。
 後者は本当に食欲が消えるらしく、食わんでも大丈夫じゃねえか? 食う気しないし、ってなったところで風邪をひいてやっぱり食べるのって大事! でもそれの欲求が出ないと……。というので、あんまり効果的過ぎると逆効果にもなるのね、とやはり大悟が得られました。
 そして、最終的にライザップで肉体改造、となってみると、やはり運動と食事のバランス……! と思ったら計量後に色々、とあって上がったり下がったりで、ライザップをもってしても……! な状態に。
 でも、その後はダイエットを趣味とする、という斜め上な境地に行って、なんとか体重維持出来ている、という〆でした。趣味化する、というのは人にも寄りそうですが、そういうのが好きな人はいいんだろうなあ、なんて最後の大悟を得て、この漫画を閉じるのでありました。