ネタバレ?感想 コットンバレント 『CreepyCat 猫と私の奇妙な生活』1及び2巻

CreepyCat 猫と私の奇妙な生活 1 (星海社コミックス)
CreepyCat 猫と私の奇妙な生活 1 (星海社コミックス)

 大体の内容「コメディとゴシック! そういうのもあるのか」。絵柄のゴシック様式風と内容の奇妙さのバランスが非常高いレベルでは釣り合っていない、のだけどそれこそ狙いだろう。そういう漫画なのが『CreepyCat 猫と私の奇妙な生活』なのです。
 とある屋敷に越してきたフローラさん。その屋敷をなんか知らんがいきなり譲り受けたらしく、全然来歴が分からん、という中で、その屋敷にいた怪しい猫、クリーピーキャットとその町の人達や良く分からないやつらとバタバタやっていく。そういう内容となっています。
 この漫画、基本的にコメディなのですが、それはゴシックホラー調、あるいはクトゥルフ様式みたいな不気味な雰囲気を、しかしベタな猫コメディで食らいつくした感じ、という謎の存在感を発揮しています。特にこの漫画の中心であるクリーピーキャットはゴリゴリの奇妙さ、クリーピーがしっくりきすぎるけど、基本猫、というのでそこの落差がかなりデカいのです。
 それでいて、やっぱりこの猫、只ものではないと感じる所も多々あり、そこがホラー要素でありつつ、その後に落とされる部分でもあって、結局ドタバタコメディ化する、というのがこの漫画の様式美となっています。
 クリーピーキャット、やっぱりかなりおかしい猫で、というか本当に猫なんだよな? と思うところもあったりします。わりと初手からフローラさんを捕食するかのように動いていたり、オチがホラーなのかコメディなのかなシーンを演出したり。でも結局フローラさんとは仲良くしていて、その不気味な存在感と猫らしい挙動で、変なほっこり感が醸成されていたりもします。
 そんな訳で、この漫画はゴシックホラー的な不気味さの中に、わりと力強いクリーピーキャットやフローラさん他を配置することで、なんだか珍妙なコメディ漫画として成立しています。特に他のクリーピーキャット、ひめちゃんやこころちゃんが出てきてからは元のクリーピーキャットに最初の不気味さ以上のパワフルさが追加された感じで、結構力強いボケやオチをかましてくるようになりますし、猫的挙動も増えます。その為、かなり謎の存在なクリーピーキャット達に、妙な現実感というか、猫! という印象が濃くなっていき、それでいて謎の存在ムーブもコメディムーブもどちらもするので、そことホラー感とのソゴが強くなり、でもそこがこの漫画の面白さだ、と言える状態にまでなっています。
 このままコメディ推しでもいいのでは、と思ったりもしますが、きっちりとホラー雰囲気、ゴシック風を吹かせてくるのはやめませんし、そこをやめないからの味でもある、というのも理解出来るので、この傾向のまま続いてほしいものだと思う、吉宗であった。
 八代将軍はさておき。
 この漫画がホラーチックでありつつコメディとしてしっかりしているのは、案外フローラさんが単に線の細い女の人ではなく、結構図太いししっかりしている点にもある、と思っています。というか、2巻辺りからクリーピーキャットの挙動に慣れ過ぎておかしくなっててもそこまでビビらなくなり、
クリーピーキャットが巨大化してベッドが壊れた!
クリーピーキャットの上でおやすみなさい
 という順応とは恐ろしいのー! と古川登志夫声がでてしまうくらいの順応っぷりを見せたりします。まあ、流石に寝ているクリーピーキャットが空を飛んで、というのには肝を冷やしてましたが、それでも同じくでかくなったクリーピーキャットのこころちゃんと喧嘩しそうなのを止めたりもしているので、やっぱり順応……。という感じです。
 とはいえ、まだ結構あちこちに不穏なところが出てきていますし、クリーピーキャットは変わらず不気味なとこを出してくる。それでいてかなり頭のおかしいボケた展開も出す。このバランスがとれているようないないような、がこの漫画らしさ、と言えるのではないか。そう思う、吉宗であった。
 と、八代将軍が二度目なので、まとめとしては、ホラーのようでかなりコメディ、それが『CreepyCat 猫と私の奇妙な生活』なのです。として、終えたいと思います。