ネタバレ?感想 木々津克久 『フランケン・ふらん Frantic』3巻

フランケン・ふらんFrantic 3 (3) (チャンピオンREDコミックス)
フランケン・ふらんFrantic 3 (3) (チャンピオンREDコミックス)

 大体の内容「これを萌え系としようとした秋田……」。現在ではメディカルホラーという謎の立ち位置にこの漫画を置いている秋田書店というかチャンピオンREDですが、本当に初手は萌え系の一つとして売り込もうとしていたのだ、という点はやはり歴史として覚えておかないといけないことだ。そう思う吉宗であった。
 という八代将軍はさておき、今では完全にホラー扱いのこの漫画。でも木々津先生は意外と萌えの部分も残しているのが中々面白い状態です。
 一応、木々津先生もメディカルホラーなのは了承済みというか、ですよね、という感じで色々とメディカルな話をしてきますが、偶に本当に萌え要素をぶっこんでくるのです。木々津先生のセンスというか、意志が普通ではないので、それが大変分かりにくく、且つ灰汁が強くなるのですが。
 それがはっきり分かるのが、第14話。ふらんさんのある意味親族のガブリ―ルさんを、ある事の為におびき寄せるという話ですが、そこでの残虐超人であるガブリ―ルが、天使博士の言動に対しては非常にセンシティブに動く、という部分に大変高度な萌えを見ました。半年に一度は天使博士のとこでメンテしないと、原爆並みの破壊力を発動してしまう、という無茶な内容を挟みつつ、しかしそれなのに天使博士のところにいかなかったのは、天使博士が流石に歳なので、いつかは違う人がメンテをしないとな、というのであるいはすねて? というのでもう。
 メンテさえすればかなりの長生っぽいガブリ―ルと、普通の人間だからそう遠くない時期に死んでしまう天使博士、というその非対称性と、なんのかんの天使博士のことが気になる、死にそうだという偽情報で簡単に帰られないところから全てを踏みつぶしつつ帰る、というガブリ―ルのある種のツンデレがワタクシにはびち刺さってきます。ガブアマ、堪らん!
 そういうねじくれきった萌えを出してくるのも木々津先生ですが、ねじくれきって精神的ブラクラになりそうなハートフルをいれてくるのも木々津先生です。
 それが一番出るのは第16話。とあるカップルの恋路、そして人生に、ふらんさん考案の筋電位のが活躍する話ですが、カップルの女性の方が全身不随に、というのでそこを筋電位システムで動かせるように、はいいんですが、それが最終的に無頭症の子供もそれで、ということになっていき、感動的に見える話なのにやたらこれはこれで、いいのか? という混乱をぶっこんできます。最後の絵などは本当にこれで良いのだろうか? でもこれはこれで幸せなのだし、いや幸せとは?
 この巻最後の話である第17話も、精神的なブラクラです。不老不死の妙薬! という話ですが、そういうのがあるとすれば、それはどうなるか、というのをきっちり考えたらこうなるのか……。身も蓋もねえ……。ホラーといってもSFホラーの味わいでした。つか、子を食らうやるかお前……。
 そういう風に精神的ブラクラかましてきます。ある意味の精神的グロ。これよこれ! これこそ木々津味! それも120%の! そういう意味では、今回も木々津克久漫画としてしっかりとやっているのが、『フランケン・ふらん Frantic』3巻なのです。