この項について
基本ギャグ漫画を求めていたら、予想外におシリアスでド直球の格ゲー物という、謎のラインにぶっこまれて困惑している淑女皆さん、わしもじゃ、わしもじゃみんな! という傷をなめ合う道化芝居をしたくなる昨今、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
という枕はさておき、この項はジャンププラスで絶賛連載中の『ゲーミングお嬢様』のワンワードを最少のリスクで最大のゲインを! する項となっています。それを言うなら蜂です。
と謎煙幕をしつつ、今回もやっていきましょう。
その前に前回はこちらですわ
第三十三回「メイン」
メインで
メインとは。メインで使うキャラクターのことです。ほぼ絶対、格ゲーマーはメインキャラという概念をもっています。あるいは、メインキャラを持っていない格ゲーマーは存在しない、まであります。色々使える人でも、やはり本当のメイン、こいつは絶対的に使えるという自信を持つキャラクターというのが存在するのです。
この漫画の場合、隆子様で言うならリュウ、転子様ならザンギエフ。現実なら板橋ザンギエフさんは当然ザンギエフ、ときどさんが豪鬼。
かように、メインキャラはある種一線を越えると、その人の代名詞になります。それくらい、メインキャラというのは重要なものなのです。
では、メインキャラというのがあるのはどういう意味合いがあるのか。と錯乱される方もおられますでしょう。それについて迂遠に解説しますと、メインがいると格ゲーが楽しく、そして強くなります。
迂遠と言いながら完全に煙に巻くムーブですが、いやしばし待たれい。これには深い訳があります。本当に、メインキャラを持つと楽しいし強くなるんです。繰り返していますね? 説明します。
これは、そのキャラの理解を深くすることで、ワザマエ! が伸びていくということであり、このキャラカワイイヤッター! することで使っていて楽しい気分になっていくのです。
何故か。
ちゃんとメインと据えてしっかりそのキャラを知ることが、そのまま腕前に多大な影響を与えていくことになるからです。腕前が上がれば、ゲームは大概楽しくなるものですが、格ゲーはその部分が強くあるタイプ。理解し、強くなれば、勝てて楽しくなってくるのです。
その腕前を上げる、という部分は、そのキャラを使い込むことで自然と上昇するものが多いのです。というのも、そのキャラの技の性能や機動がどのようなものか、というのが対戦の場で探り探りでやるのと、DOWNLOADED(理解した)してやるのとでは、どちらが強いか、というのは、自明、とすら言えます。
これは他のゲームでも同じことが言えるところです。筆者『スプラトゥーン』大好き侍ですので、スプラのことで言うと、分かっているブキ、というのは動きが自動化されていくのです。
どの辺りで撃てばいいか、どう機動すればいいか、どこに陣取る動きをすればいいのか、そもそも基本の動きがどうすればいいのか。
これらが、その都度考えるのではなく自然に、本能的に使えるようになれば、その動作のことを考える分を、違うことへの意識に使えます。
それと同じように、メインキャラというのは、ごく自然にその適した動きが出来るようになっているキャラ、ということなのです。
一々、この技をどこでどう出して、というのをその場で考えているより、それを意識せず使いながら相手の動きを見れる、という風にあれば、後者の方が強いのは火を見るよりも、です。そして強くなれば、格ゲーは楽しく、あるいは苦しくもですが、あるようになるのです。
まあ、そこまでキャラに知悉してないからといって、メインキャラと言ってはいけないことはありません。ですが、メインと据えるというのは、そのゲームに対する自分の立場を明確にする、という側面もあります。
隆子様が顕著ですが、格ゲーにおいてキャラ選択というのは、そのまま思想信条にまで発展するケースがあります。そのゲームを、こいつの持ち物だけで戦います、という宣言であるからでしょう。ちょっと前にザンギ本田は人生の無駄発言などもありましたが、あれも一種思想性の戦いであります。無駄とする思想と、無駄じゃないとする思想のぶつかり合いでした。
ということで、行き過ぎて宗教性すら生まれてくる面があるのがメインキャラという考えです。逆に言うと、それだけ、キャラクターの分だけ思いがある、とも言えますが、それでも隆子様レベルまで入れ込む、というのは視野狭窄過ぎると言えるでしょう。
しかし、それゆえに、その姿は美しく見える、という側面もあります。純度を高めれば高める程、凝縮をすればするほど、それは美しく見える。そういう面は、普通はそこまで出来ないがゆえに、やたら人の気持ちをざわつかせます。美しさは時に精神を激しく揺さぶる。そういう類の化生と、今の隆子様はなっている感があります。
このまま意地の美の化生として、リュウでどこまでやっていくのか。そういうのが見たいけど、それはそれである一方の視点過ぎる気もします。この漫画はまだ他の視点も出来る。出来るのだ! と勝手に買っているので、そっちもちゃんと見せつけて欲しいと思います。
そういうメインの鬼、隆子様に対しての蹴子様の方は、という話をしたいのですが、それもそれで長くなるので次回に持ち越しです。次回は「サブ」をお題にして、徒然ていきたいかと思います。というか明日上がってても不思議じゃないですが、でもまあ、感じ感じ。
ではまた!