ネタバレ?感想 服部昇大 『邦画プレゼン女子高生 邦キチ!映子さん』Season5

邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season5 (マーガレットコミックスDIGITAL)
邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season5 (マーガレットコミックスDIGITAL)

 大体の内容「そりゃ青春だもん。海くらい行くさ」。映子さん視点ではどうなのかはさておき、洋一視点ではかなり青春しているこの二人。青い春がやってきているのか!? となるのが邦キチSeason5です。
 時は移り変わっているようで、しかし作中の時間の進みはゆっくりです。なんかアカデミー賞ネタ二、三回くらいやり終えている気がしますが、時間はまだ夏なのです。夏なのです!(狂気に満ちた目で)
 ということで、夏なら海くらい行くのです。それも洋一と映子さんの二人で! 他に人を入れず! これが僕ヤバなら三回くらい「やった!?」ってなるところですが、この漫画は邦キチなので、そういうことは起きません。でも、かなり青い春を感じる場面が多いです。そもそも映子さんがビキニなんだ! というので、洋一と一緒に海に行くから折角だし、の段階で映子さん? 映子さん!? ってなるところでもあります。
 夏、ビキニ、邦画。そこで何もある訳がなく……。ということで、やっぱり映子さん、洋一に対して好き嫌いとかではなく、なんか信頼があるなあ、という地点に着地するのが海回の凄い所です。いや、その信頼って好き嫌いより上でねえか!? なんですが、そこんとこには深く立ち入らないのがこの漫画の作法であります。
 とはいえ、洋一の方でも少し自分の中で何かが変わっている!? と言う提示になっていたのも良い回である所以です。映画の話をするより、女の子と海にいる事実が楽しい!? というエポックメイキング。それもよりにもよって映子さんとで! というのが味わいがあります。この漫画ではちらちらと洋一が映子さんに気があるのか、俺は!? ムーブをしますが、海回は特にその影響下にある回だったかと思います。その後で夏映画を見ましょう! の回で映子さんがアンニュイな仕草してて、え、あの夏は!? ってなってるとこも、お前は後方彼氏面か! という雰囲気があって大変いい。相手が映子さんである、というある種のピーキー部分も、慣れてきたのか、いやむしろこいつ可愛くないか!? ってなっているのでもう駄目。おわた。
 さておき。
 ここでどうでもいい話なんですが、もう特撮部の部長と洋一は莫逆の友になっている感があっていいです。夏映画、でどっちも『時をかける少女』アニメを持ってくる辺りが、こいつら実は親友なのでは? 感を助長します。どう考えても仲いいだろお前ら。絶対認めないけど、卒業式とかでかなり薄い本が厚くなるな……、なムーブしそうです。いや、本当にしそうだぞあいつら……。
 さておき。
 この巻で一番映画紹介のキレがいいのが、実写『ドカベン』かと思います。噂でしか聞いたことがない実写『ドカベン』ですよ。それを見た、というだけで映子さんに頭が上がらないというか、脱帽です。前にVHSデッキを手に入れた、というので、そっち方面の発掘が進んでいるのだ、と思うと、マニアックに掘るとVHSに行きつくんだなあ、という謎の感慨を得てしまいます。どっかの男のリトマス試験紙の人も、どんどんDVDスルーのをしているし、日本の小説を遡行すると明治に行くのと、何かしら似た要素なのか。時の流れの中で消えていったものの中にこそ、何かがあるのか。そんな妄言が出るくらい、実写『ドカベン』、及び実写『野球狂の詩』回はその辺見たい気がするような気がする、という邦キチ症をり患する回でありました。
 さておき。
 この漫画もだいぶこなれてきましたが、偶にそんなネタある!? みたいなこともするので油断がなりません。それが一番出ているのは、当然『鍵泥棒のメソッド』回。というか邦キチ記憶喪失回です。
 記憶喪失ってお前! ですが、導入も締めも雑ながら、その雑さと、邦キチに邦画をプレゼンするという亜空の展開がクセになるやつです。というか、締めの雑さが堪らん……。好き……。
 と妄言を垂れ流しながらこの項を閉じたいと思います。