感想 雪本愁二 『サメガール』4巻

サメガール(4) (アフタヌーンコミックス)
サメガール(4) (アフタヌーンコミックス)

 大体の内容「色々状況が錯綜し始めてき過ぎ!」。
 クジラさんの暗躍、イルカボーイの錯綜、シャチさんの暴走、夏蔵の女装。それら色々なものが一つに収束し始める。
 というよりは、やっとこ巨大海洋生物の謎と、一花さんの存在がどういうものかというのが仄めかされてきたという格好ですが、それ以上にあの人誰ー!? という形で次の巻に橋渡しされて、混乱に拍車がかかる。
 それが『サメガール』4巻なのです。
 5巻に向けて放たれた矢については、見てください! で済ますとして、何故夏蔵が女装をしているのかについて話をしないといけません。
 これについてはテッポウウオガールが、イルカボーイが女装しているので一花さんが勘違いをしている。ならば夏蔵も女装をすればいい。という脈絡が全くない話をしだして、その流れで結局女装することになってしまいました。
 常識人ムーブが多いテッポウウオガールが突如混乱の引き金を引いた形です。
 しかしその前段階でも、イルカボーイが男の証明を見せて証明しようとしたりとしていて、かなり混乱がある展開で、訳が分からん! と思わされていました。
 この混乱の展開のまま、更にいろいろな情報がぶち込まれ、惑乱、という段階に到達しているのが、今のサメガールと言えるでしょう。
 とはいえ、その夏蔵の女装の件でイルカボーイのことを男と認識し、ついでに夏蔵の女装姿こと夏子に親しみを覚えたことで、一花さんは半ば理性が崩壊しているのでは? というレベルに到達してしまいまいした。
 まあ、今までのイルカボーイの求愛が女性同士のじゃれ合いではなく、そして夏子=夏蔵に好きって言ってしまって、というのが同時に来たらそりゃあ混乱するわ。というのは理解出来る形です。
 ついでに、情勢の混乱についても水鏡さんがまとめに入り始めており、流石に次の巻でさっぱりと理解出来る形にはなるんだろうとは思います。
 状況の錯綜の一助というか主因のシャチさんとクジラさんと話をつけ始めたので、たぶんクジラさんが変なことして大混乱になりそう、という予測が立ちます。
 それくらいクジラさんはヤバなんですが、ちゃんと話聞く可能性がないかと言うとあるかもしれないとも思わせる辺りが絶妙にあれなやつです。このラインにあるやつが一番ヤバイんですよね。理路をぶっ飛ばすタイプですよ。
 さておき。
 この漫画は一花さんと夏蔵のマリアージュが主軸で、イルカボーイとかは些事、と思っていました。しかし、今巻収録の話で、イルカボーイにもめがあるのでは? という新たな軸がぶち込まれました。
 一花さんがイルカボーイの好きの意味に気づいたり、イルカボーイ達人型海洋生物の過去の、特にイルカボーイの視点における一花さんが好きになった経緯が描かれたりで、第三軸としてイルカボーイが存在しても問題なくなっているのです。
 とはいえ、イルカボーイの好きは一花さんのサメガールとしての強さ、格好良さなので、夏蔵のように弱い部分、可愛い部分についてのそれではない、というのが現状描かれています。
 そういう意味では夏蔵のアドバンテージはある、のですが、イルカボーイがそこに気づく可能性もある訳で、それな上に気持ちをダイレクトに伝えすぎるくらい伝えるアプローチは夏蔵にはないものであることも加味すると、案外この三角関係がきちんと成立するのでは? という亜空の考えを持ってしまいます。
 実際、一花さんは先述の通りイルカボーイが男だと知って混乱しているので、可能性にゼロはない、という言葉を思い起こさせられます。
 でも、一読者としては、やはり一花さんと夏蔵がいい感じになってほしい(婉曲表現)のです。そう言う軸でやってきた漫画ですし。
 ですが、その派生というか、振れ幅として、イルカボーイが、というのもそれはそれで哀れを誘う、過去話までされて当て馬としてしかというのは、なので、なんかいい道をイルカボーイが見つけてほしいなあ、という思いを持つに至っています。
 そう言う風に思うのは、それだけキャラクターに入れ込んでいる、ということですから、そういうキャラ漫画としてはやはりちゃんとしているなあ、と思ったと記載して、この項を閉じたいと思います。