感想 守姫武士 『リリィ・リリィ・ラ・ラ・ランド』1巻

リリィ・リリィ・ラ・ラ・ランド 1 (MFC キューンシリーズ)
リリィ・リリィ・ラ・ラ・ランド 1 (MFC キューンシリーズ)

 大体の内容「乙女と百合と秘密と鍵」。
 お互いに自室のスペアの鍵を渡し合う。
 それが愛の告白となる六花紋女学園に通う灰掃小咲さんはある日、開かずの間に人がいるのを目撃。
 その次の日にその部屋の鍵が下駄箱に忍ばされていた小咲さん。それが何を意味するのか分からない、というところでその学校の秩序とも言えるお茶会の面々が、その鍵を見ていきなり色めき立ち、そして「どうぞ私と番を」と。
 そういう訳で、5人の美少女といきなり番って! と言う話。それが『リリィ・リリィ・ラ・ラ・ランド』(以後リリララ)なのです。
 守姫武士、と聞くとそれなりに古のきららオタなので、『お願い!神サマ』を思い出します。
 あれはかなりのおバカ百合。
 しかしその気持ちに対する真摯具合は高く、だからこそ好きな漫画でした。2巻乙ではありましたが、百合好きな人にはかなり刺さる漫画でもありました。
 そんな百合に対する真摯な守姫先生が、コミックキューンで百合漫画を描いていたのか! という程度のアンテナの感度でしたが、それでも確実に百合なら確実に信頼できる、と思うくらいには守姫先生への信頼度は高かったので、カカッと買って読んだわけですが、いやあ良かった。
 同日発売だった奥たまむし『どれが恋かがわからない』(以下どれ恋)
*1が1話の段階で詰め込んできていたのに対し、こちらは話の流れが緩やか。いきなり番に、という展開はありますが、そこに一つの解決を見せるまでを、1巻を使ってやっている感じです。
 これに関しては、作品の性質の違い、というものがあります。どれ恋は、どれが主人公がいいと思った恋なのかわからない、という為に、超短期間で怒涛の如く、そして癖のある美女を叩き込むことで主人公を混乱させる性質を持っています。だから、1話で恋候補が出来る必要があり、なので詰め込んだ構成なのです。
 対してリリララはその辺が結構ゆったりとしています。その基本ベースが5人の美少女に番に、というポイントがあり、そこから派生して、美少女の人となりを見せていく、という話の運びとなっています。
 なので、1巻で掘り下げられたのは葦之原ゆうさんと露羽霧乃子さんだけ、となっています。後3名はまだそれ程の掘り下げはない。それで掘り下げ不足か、という点に対しては1話の段階でどういうキャラか、というのは見せているので、当面その感覚で見ていけばいい仕儀となっております。
 さておき。
 何故お茶会の美少女たちは小咲さんの手に入れた鍵に過剰反応したのか。そしてその為にお茶会として集っていたという風な節もある。という謎がこの漫画には植わっています。それは小咲さんが夜中に見た影と何か関係があるようですが、それでも何故それが小咲さんに鍵を送る形にしたのかも分からない。この辺の謎が解けるくらいには、この漫画には続いて欲しいぞお! ってくらいこの漫画好きなので、今回感想を書いている次第です。
 さておき。
 ある意味ハーレム漫画なこの漫画ですが、ハーレム漫画は主人公がいい意味でも悪い意味でも、どちらにしてもどっちかに振れていないといけないものですが(偏見)、この漫画の場合は小咲さんは大変気が利くいい子で、それはこの漫画の初手で、お茶会面々に鍵を渡そうとして袖にされた子をこのまま悲しいままにしては、とするとことかで感じられます。それにお茶会という秩序が、この秘密の鍵のせいで壊れてしまう! となるとこもいい子です。何気にお茶会の面々に慕い心はあるけど、自分がそれを壊すのは、というのですよ。並みの子なら入れ食いのウハウハだな! ってなるとこです。
 でも、それをしない。本当にいい子なんです。推せる主人公です。だからこそ、お茶会面々も、1巻最後に一つの結論に達するのですが、それは読んで確認して頂きたいところです。
 と言う訳で、リリララ、いけますわよ! というプレゼンのような違うような感想でした。百合に対して真摯な漫画家さんの百合ド直球漫画ですので、ド直球が欲しい人にはマジでオススメなのです。今のコミックキューンの百合推しの強さも感じることができる、いい百合漫画です。
 そう最後に付言して、この項を閉じたいと思います。