この項について
俺は今、好きな漫画について語りたいんや! という衝動に駆られて書いていく項になります。某ピエ郎さんリスペクトというか、精神的メンターにしつつ、好き勝手に語っていくのです。
基本、好きな漫画についてなぜ好きなのかという形で書いていきます。君が好きだと叫びたい! そういうノリでおます。この熱い思いを受け止めて欲しい。
そういう衝動で、今回は平方昌宏『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』(以後デビザコ)について語ってまいります。
『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』とは
地獄で暴力最強となり最強の悪魔となったデビィさん。弱い相手はもう飽きた! 強い相手はどこにいる! とばかりに人間界にカチコミをかけた彼女は、人間界で最初に会った凄六郎に、人間界を賭けた勝負を挑む。
のだけど、デビィさん、暴力以外の部分は実はクソ雑魚! 心理戦とか無理龍! ということで、頻発に人間界を賭けた戦いをしていくけど、全然勝てないデビィさんのクソ雑魚っぷりを楽しむ漫画。それが『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』なのです。
キャラクター漫画家、平方昌宏
唐突に平方昌宏先生の特性について語りだします。
平方先生、というとデビュー作『新米婦警キルコさん』が特にピッっと来る方が多いでしょう。個人的には『街コロマッチ+』も好きです。水泳の奴? 知らない子ですね……。
というおためごかしはさておき、平方先生において世評では、キャラ造形は抜群に上手い、というのがあると思います。妄想かもしれませんが、とにかくそういう呈で話を進めます。
キルコさんのキルコさんや知秋さん、街コロの市長及び秘書さんとかが、特にキャラクターの魅せ方が良く、このキャラ見ていたいな、と思わせるところが強い漫画家さんが、平方先生だと言えるかと思います。
その平方先生が、持てる力を十二分に発揮している漫画。それがデビザコな訳です。
弱点を逆手に使う
平方先生はキャラクター造形及び描写は抜群です。しかしストーリー面でやや弱いところがあり、中々長期連載が出来ていませんでした。今までのジャンプだとそのまま消えていく世界でしたが、今はジャンプ+があります。この趨勢に乗るように、デビザコを連載し始めて、そしてそれがきっちり軌道に乗った、というので、ジャンプ+様様、という話は置いておくとして、そこで施行されたのが、一話完結型のデビザコだった訳です。
基本ベースを作っておいて、一話完結でさくっと終わらせる。これが平方先生の弱点を補完する効果を発揮します。ストーリーをすると微妙に感じるけど、それが出てこない一話完結。キャラが出てわちゃっとして終わる! 毎度キャラの魅力を出して終わる、という形だからこそ、平方先生のキャラ扱いの上手さが十二分に出て、しかもそれが積み重なっていくことでキャラ造形も深化していく。この施策を考えた人は、平方先生からなのか編集の人からなのかはともかく、天才じゃないかと思います。すいません、天才って使いたかっただけです。
さておき、この漫画の真芯であるメイン悪魔っ子たちについて、一人ずつ軽く語っていきましょう。単行本表紙が丁度いい感じなので、それを貼りつつやっていきます。
悪魔っこ世にはばかる
デビィ・ザ・コルシファ
地獄の中で最強の悪魔と呼ばれる強強悪魔ながら、主に頭の顔の変化が分かりやす過ぎるせいで腹芸や心理戦が激弱いという、攻めは激強、守りは激弱、萌え。というタイプ。毎度六郎に勝負を挑むも完敗続き、だけど徐々に特に戦わなくても良くなってないかこいつ? って感じにも。普通に人間界を楽しんでいることも多くなっています。
古の言葉ボンキュッボンな体つきで、その上で足とかはスリムという人間だとあまりありえない体形ですが、平方先生もその辺一瞬考えて、でも悪魔だからいいか。という割り切りをした話が大変好きです。悪魔だもんね。
レイズ・ユ・リスキィ
デビィさんの後輩にあたる空間の悪魔。悪魔の出入獄を管理するとこの人で、空間転移の力を持っている。わりとレアな能力っぽく、デビィさんが人間界に来る時は大体レイズさんがその担当している。礼儀正しく品行方正という悪魔感がないのも特徴。
真面目っ子というのはそれはそれでよく、その部分がきっちり出ているキャラですが、デビィさんがコスプレをする回においてデビィさんをコスプレさせると捗ることに気づいた辺りでちょっと雲行きが変わりました。何気に鼻血キャラ属性も。真面目なのに……。
ディアブロ・スター・メルティプリン
デビィさんと幼馴染で悪魔騎士団長の魔剣の悪魔。高圧かつ厳しいタイプで、デビィさんをしばしば叱責する。
ただ、見た目かっこいいクール系お姉さんタイプながらカワイイ物に弱いという明確なチャームポイントも。カワイイを前にするとあまりにキャラが変わるので、いい二面性だ! と、いいチャージインだ!おじさん化させられます。最近はその癖が周りに了解されたので、隠すこともなくカワイイを堪能するようになっています。可愛い。
見た目意外と露出高めですが、地味に眼帯っ子なのが個人的にポイント高いです。眼帯っ子、いいよね……。
キャラクター漫画家の出す普通キャラ
悪魔っこは皆可愛くて皆いいんですが、それに対する六郎というのは、大変地味な存在に見えます。
特に能力もなく、善良ですが特徴はそれくらいなもの。この漫画のキャラクターとしては大変普通な存在です。
だが、しかし! まるで全然! 普通の漫画の普通キャラとは程遠いんだよねえ!
と、某4台詞を使うくらい、この漫画における普通キャラ六郎というのは存在感があります。
普通なのに存在感がある。これは全然矛盾しません。特に、キャラクター漫画においては、そこはむしろ打つべき布石として存在する地点なのです。
というのも、濃いキャラクターがひしめきがちなキャラクター漫画では、その濃さが積み重なっていくうちにキャラクターの味が分からなくなるという弊害があるからです。この辺の慣れは人間のシステム障害みたいなとこなのですが、それに対する効果として、普通キャラを置く、という手法があるということです。
例えばであげるなら、内藤泰弘『血界戦線』シリーズのレオことレオナルド・ウォッチが特に分かりやすく該当するかと思います。『血界戦線』1話及び2話目の最初の事件において、レオの普通なところが事態を収拾することになりますが、この普通さ、というのが『血界戦線』のあの灰汁の強いキャラクターの中にあって、すっと輝く形になっている。当然、レオには特殊能力がありますが、その普通さが最新巻である『血界戦線B2B』10巻でも炸裂しています。
普通とは、場所によっては普通ゆえに輝く。それが六郎にも当てはまるのです。
六郎はその普通さで、濃い漫画であるデビザコで輝くわけですが、単純に普通なだけではないのもまた、この漫画が平方昌宏漫画であることを思い出させます。周りのくどさを減じて、旨味とする普通キャラとして六郎はあります。
実の所、六郎も中々に色んな側面があります。格ゲー回で大人げなくデビィさんをはめ倒すとこなどは特にそうで、六郎にも色々怒ることあるんやな。と思わさせてくれました。こういうとこが出てきたのも、連載が続いて積み重なりがあったがゆえ、と思うと、連載が続くのってありがたいんやな……。ってなります。
とりあえず、普通だけどちゃんと存在感がある、ということでFAと思っていただきたい。