ネタバレ?感想 イダタツヒコ:広江礼威 『BLACK LAGOON 掃除屋ソーヤ― 解体!ゴアゴア娘』5巻

BLACK LAGOON 掃除屋ソーヤー 解体!ゴアゴア娘(5) (サンデーGXコミックス)
BLACK LAGOON 掃除屋ソーヤー 解体!ゴアゴア娘(5) (サンデーGXコミックス)

 大体の内容『ロアナプラ、ちょっと魔窟過ぎねえか?』。胡乱ではありつつも現実的なヤバさだったロアナプラですが、アリスな人が来てからそれが顕著になっていますが、ある意味シェアワールドなのにここまでホラーめいた胡乱さの奴が矢継ぎ早に出没! ゴアゴアック天国! して大丈夫なのか? とそこまで歳でもないのに老婆心は立ち上がってくる。それが『ゴアゴア娘』5巻なのです。
 アリスめいた人の血族が集い始めているのもあれだし、それに対して出された対抗策が意味不明な性能だしで、全体的にスラッシュホラーめいた無茶さに足を突っ込んで抜けなくなっている今作ですが、それ抜きでもきっちりインパクトの残る、ロットン・ザ・ウィザードが本物に逢う回は中々に白眉でした。
 盗んだ金をめぐって殺し合いが終わった所についたロットンですが、そこで生き残った男、エンジェルの中二病に刺さり過ぎる様で一々ロットンが悶絶する、という訳の分からない回。わりとガンギマリなとこがあると思われたロットンに、あまりにガチ中二だとぶっ刺さる、というのが楽しかったです。
 冷静に見て恥ずかしい、ではなく、天然で完成された中二を前に刺さりまくって悶絶するロットン、という中々謎な映像もいいんです。しかしやはりエンジェルが決まりきっているというか、一々どの場面でも絵が様になり過ぎるのでもうダメ。名前を言う所で、背後の壁の血の跡がきっちり天使の羽に見える、というのは、ロットンでなくてもあまりの出来すぎに戦くしかないです。
 ロットンも、その天然での中二にあまりに尊いと思ってしまって、金を置いていくなら見逃す。とバリバリにリスクを取ろうとするのですが、エンジェルは当然のようにそれは出来ない、ってなってさあどうする、と思ったら高い所だ。というので、もう更にダメ。
 その後の顛末も、あまりに出来すぎていたんだけど、結局そうなるよな。になってて結構切なかったです。それでも絵は本当に出来すぎで、ここまで中二病にぶっ刺さり過ぎる回ある!? ってレベルでした。
 この回の良さは、出来すぎもですが、ロットンが意外と自分の中二に弱みと言うか、真正を見たら霞むとか思っていたのかなあ、と言う点。高い所から口上して、という中二と、ちゃんと防弾チョッキは着ている、という現実的な面を併せ持つロットンだからこそ、本物を前にしてあまりに出来すぎで尊くなったんだろうなあ。とは察せられました。ある意味では本物にはなり切れないというのが心底理解しているからこそ、エンジェルの出来すぎ具合が良かったんだろうなあ。
 ということで、ロアナプラが元々治安が劇的に悪い程度だったのが、この漫画のおかげでどんどんヤバイやつが集まっている街に変貌しつつあるんだけど、本編にフィードバックできねえだろこんなの! という感じなのでこの漫画の扱いが今度どうなるのかが大変気になります。最悪無かったことにされるかもしれない……。全部ソーヤーが1話目からの延長で見ている幻影なのかもしれない……。
 まあ、流石にそれはないとは思うんですが、それでもその可能性があるくらい胡乱な奴らが集まり過ぎなロアナプラに明日はあるのか。ロアナプラシェアワールド計画がどんどん予想外の方向に進み過ぎではないのか? 君、私は多少はと言ったんだ。あれはパーフェクトでないかね。レベルのヤバさになっていないか?
 またしても老婆心が出てくる、それが『ゴアゴア娘』5巻なのでした。
 とかなんとか。