ネタバレ?感想 ノッツ 『好き好きだいちゅきつよつよソード』1巻

好き好きだいちゅきつよつよソード 1 (電撃コミックスNEXT)
好き好きだいちゅきつよつよソード 1 (電撃コミックスNEXT)

 大体の内容「好意で剣が強くなる!」。その好意がどのような形であっても……! ということで、好意で剣が強くなる漫画。それが『好き好きだいちゅきつよつよソード』なのです。
 ある呪いがかけられた国を救う為に、王女ウラニャが密に好意を持っている剣士エトロン君に、好意を向けると強くなる好き好きだいちゅきつよつよソード*1を持たせ、いざダンジョン攻略、という話ですが、エトロン君に対する好感情を持つ人が他にもいて、というので話が錯綜しだしますし、その後で加入のパーティーメンバーも色恋が異常になっていて、どんどんと話が進まないけど進んでいるという無茶苦茶になっていく漫画でもあります。
 エトロン君とウラニャ王女、そしてヒーラーのディモパさんの三角関係も結構錯綜する、ウラニャ王女が洞窟探索についていけないので、好意を送る手段はあるけど実際の場で好意を流すのはディモパさんの方が上回るとかするんですが、ここに近衛隊長の知り合いのルネさん(サイコパス気味貧弱錬金術師)とウサチヨ(近衛隊長のストーカーで色々あって女体化する)が加わることで話の規模がでかいはずなのにすごい狭いとこで話が進みまくるという亜空の展開を見せてきます。
 基本、男女関係でコメディする漫画ですが、当然エロい方向に向かうこともあります。それもエトロン君がエロい目に遭う形になります。エトロン君以外ほとんど女の人しかいないのに! なんだこの漫画。という案件です。ディモパさんとかエロい目に遭いそうなのに、一番エトロン君をエロい目に遭わせているので、全く油断が出来ません。
 とはいえ、このバタバタした展開は嫌いじゃないわ! ではあります。ディモパさんが出てきた辺りではまだ弾けてないんですが、ルネさんとウサチヨが加入する回から展開のあわただしさが一気に増します。エトロン君、ウラニャ王女、ディモパさんの三角関係と、ルネさんとウサチヨとウサチヨのストーキング相手の三角関係が絡んで訳が分からないくらいのドタバタが発生していきます。
 正直、最初の方はちょっとウラニャ王女があれだな? だったんですが、そこに更にあれのやつらがぶち込まれて、一気にギアが上がり過ぎて訳が分からない盛り上がりを見せます。ルネさんとウサチヨ導入の街の騒乱回は本当にウサチヨは半裸で走り回るし、ルネさんはサイコパスなとこをガンガン見せるし、なんかゴーレムが出てきて街が大混乱! でもう無茶苦茶でした。この漫画のやべーやつなはずのウラニャ王女が突っ込みに回り続けるというだけで、この回の無茶苦茶さはしっかりしすぎているというやつでした。これで新キャラの顔見世としてしっかりしているというのでさらに無茶苦茶です。あーもう無茶苦茶だよ。
 とはいえ、それでも話はちゃんと進んでいくという部分もあるのがこの漫画をトンデモとしたいところです。話のすっとこどっこいさが際立っているのに、ダンジョン攻略は進んでいっているのです。2Fでわちゃわちゃだったのがエトロン君が発情したらいきなり4Fまでサクッと行ったり、そこの四天王を色々あって懐柔して次の四天王のいる8Fへの攻略の糸口が見えたりしてます。まともに攻略しないが、まともじゃない攻略はする。そういう面構えです。その顔、イエスだね!
 にしても、この男女関係のごちゃごちゃさ、というのがなんか懐かしいなという思いをしていたら、そういえばノッツ先生と言えば、『クルミくん NO FUTUER』の作者だった、というのを思い出しました。あれも男女関係がごちゃごちゃしていたなあ、そして似た雰囲気だったな。というので、そういう意味ではこのごちゃごちゃさもあの頃からの延長線上なのか、と思うとなんか感慨深いものがあります。あんな無茶な漫画の延長線がまだあったっていうのだけで、それで満足するしか、ないじゃないか……。と、最後なんか不満足みたいな恰好になりましたが、大変よい男女関係漫画。それが『好き好きだいちゅきつよつよソード』なのです。

*1:本当の名前はあるが、この名前の圧が強すぎて同じシリーズも同じ名称に