何故格ゲーはもっとでかいシノギの匂いにならないのかしら。

【PS5】ストリートファイター6

この項について

 格ゲー歴がスト2SFC版からという割と古い時期からやっていて、いまだに格ゲーが大好きな限界格ゲーオタなワタクシですが、なんで格ゲーはもっともっとでかくならねえのか、という気持ちがある時もまれにあります。
 一応、格ゲーの灯が消えていないのが不思議な時代もあったのは理解しています。そこから今の状態までに、と考えるとマジで小野さんとか原田さんとかに足を向けて寝れないのですが、それでももっと跳ねても、白竜が「でかいシノギの匂いがするな!」ってなってもいいと思うのです。格ゲーはそれくらいのポテンシャルがある。ですよね、猿渡さん!
 誰じゃ!? という話の振り方をしつつ、今回はなんで格ゲーがもっと跳ねないのか、という部分について勝手なことを書いて楽しもうと思います。癒すぞ、俺を。(某るい先生の名台詞を知らないのかよ)

壱:格ゲーむずすぎるんじゃないか問題

やることが・・・・やることが多い・・・・!

 格ゲーがむずい、と言われると、大半の格ゲーマーはそうだね、でも慣れれば、と言うと思いますが、実際問題格ゲーの操作は難しいのが現状です。
 操作の難しさは煩雑さというか、ボタンによる攻撃の割り振り、およびコマンド技にあると勝手に言い切ってみます。
 一つ目のボタンによる攻撃の割り振りの面は、2D格ゲーだと立ち、しゃがみ、ジャンプの三形態、近距離と垂直ジャンプも入れると六形態。これにボタン数が4~6というので、つまり最少12から最大36まで基本となる攻撃がある、という状態です。最新のスト6だと6ボタンと立ち、しゃがみ、ジャンプなので18種です。
 これの恐ろしいのは、その18種が全て違う性能をしている、という点です。場合によってすべて使わなくてもいいことも多いですが、それでも主要な技をピックすれば12種くらいの使用が必要になってくる。もうこの段階でマジムリ……タイガアパカしょ……。となるのは理の当然ではあります。
 また、レバー入れ技やコマンド技も更にここに刺さってきます。大体の2D格ゲーで必殺技が3~6種とかあり、それにボタンの種類も絡んでくる。更に超必殺技とかもあり、それらもやはりすべて性能が違う、というのをやってくる。更にキャンセルとかスパキャン、投げやガード行動や特殊行動などもあり、1キャラに対して知るべきことがギュウギュウ詰めなのです。
 そして知るだけでも大変ですが更にそれを運用しないといけない。知っていてもちゃんと適宜に使えないといけない。更に他キャラとの兼ね合いを考えていかないといけない。操作の複雑なゲームってのは他にもありますが、大体順繰りに覚えていけばいいことがほとんど。後から増えていく形です。格ゲーのように一気にギュウギュウ詰めの情報をカカッと覚えて、更に運用とキャラ対も覚えないといけないというのは、格ゲー限界オタなワタクシでも確かに無茶だな、と思ってしまいます。

積み重ねの問題

 しかし、何故格ゲーマーはそんな無茶な情報量を処理できるのか、というと、それは積み重ねがあったからだ、というのが解になります。
 単純にスト2、『ストリートファイター2』からの蓄積があるから、見た目簡単に対応できているのです。なにせ格ゲー、30年近い歴史があります。それを昔からやっていて蓄積のある所謂格ゲーおじが新しい格ゲーでももりもり遊べるのは理の当然というところでしょう。
 それも最初は対戦をしていた訳ではなく、主にCPU戦をやるゲームとして、スト2はありました。つまり初期の対戦が念頭に置かれていなかったころでキャラクターを触ってその技に対する知悉を高めていた状態から、格ゲーとして対戦が行われるようになった。スト2ではそういうある程度の蓄積があったから、爆発した、だった訳です。
 ただ、それがゆえに格ゲーは今までの蓄積の流れから逸脱できない、という部分もあったりはします。
 蓄積のいいところはあればすぐ対応できるのと、過去作からのほう、経験が生きたなが出来る点。昔のゲームからやっても大枠の経験がそのまま活かせる部分です。
 逆に言うと、蓄積のある人とない人で大きく経験の差が出てしまうのですが、そこをどうするか、というのは格ゲーの積年の課題でした。
 最近の格ゲーでは、その辺の練り直しというのが結構念頭に置かれています。ちょっと前ながら『サムライスピリッツ』の原点回帰、一撃の重さを志向した『SAMURAI SPIRITS』。今までのシリーズの要素を換骨堕胎し新たな方向性を見せた『GUILTY GEAR -STRIVE』などがあります。
 そして、至近に発売するストシリーズ最新作『ストリートファイター6』はこの辺にもう一段メスを入れた形のモダンモードがあることになります。

新しい解答となるか、モダンモード

 スト6のモダンモードは、上記の難しさに対する一つのやり方となっています。通常技を6ボタンから3ボタンに絞ることや、必殺技のコマンドをレバー入れに収れんさせたところなどが、ポイントとなっています。
 更にコンボもある程度連打でなんとかなる形になっており、今までの格ゲーの難しさに対する一つのエポックになるかもしれません。
 ただ、こういう施策は他の格ゲーでも色々見られたことではあります。一つ例を挙げると、P4U、『ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ』はその辺の施策をやっていた格ゲーの最右翼です。
 ボタン連打から超必殺技までつなげる基礎コンボと、ボタン同時押しだけで無敵技が出る、というタイプで、どちらの施策も敷居の低さに貢献はしていました。
 しかし、やはりやりこまれるにつれ、その両施策が上級者に多大に貢献する形になっていった、というものでした。
 この辺の、上手い人により初心者用施策が貢献する、というのはどうしても避けられない点でしたが、そこをスト6のは通常技が絞ってあるから逆に出せない技があったり、モダンのダメージが元の入力のクラシックより下げられているという調整がかけられている模様です。この辺がどのようにゲームに影響するのか、というのが見ものではあります。

段階を踏む

 格ゲーは操作に慣れるのがまず壁で、そこから更に色々な知識と行動を覚えていかないといけないのが壁になります。
 しかし、最初の操作に慣れる壁さえ越えれば、次の壁に対する意欲も変わってくるので、まず操作に慣れるという壁をモダンモードで越えさせて、というスト6の施策は効果はあるのでは、というのが個人的楽観的憶測です。
 実際問題、格ゲーに段階的に操作を覚える、という軸で攻めていくのは手段としては正しい解ではあるかもしれないと思います。それが本当に正しくなるか、というのは蓋を開けてみないと分かりません。しかし、全くその辺を志向しないで、というのは最近の格ゲーとしては悪手、特にストシリーズのナンバリングなら当然なにか仕掛けないといけないレベルです。大変だなあ。
 さておき。
 この段階を踏ませる為に色々絞る、というのは個人的にはいい手だと思っているのは上記通りですが、それで段階を踏むことになるのか、踏んで越えていくことが出来る人がいるか、というのはまた別問題です。段階を踏んでいく人が本当に出るのか、ですが、まあモダンモードでもずっと対戦出来るし、むしろそっちのが強いキャラもいそうです。そこであえてモダンからクラシックに段階を越えようとしなくてもいい、という設計思想かもしれません。それはそれで全然ありなんでしょう。あるいは、このモダンの方向に、格ゲーが収れんしていくかもしれない。
 この辺がどう転ぶか、というのがスト6の、あるいは今後の格ゲーにとっての試金石になる。そう思ったりします。いい意味で話題になるといいなあ。

長くなりすぎるので一回〆

 書いていたら結構長くなりました。他に書けそうな項がふたつくらいありますが、これ以上やると長くなりすぎると判断しましたので、また項を改めて続きをやります。
 とりあえず、スト6楽しみですね、で今回のオチとします。
 したらな!