ネタバレ?感想 浜弓場双『魔女の花屋さん』1巻

魔女の花屋さん(1) (アフタヌーンコミックス)
魔女の花屋さん(1) (アフタヌーンコミックス)

 大体の内容「へえ、綺麗なとこ(漫画)じゃないの」。今現在、まんがタイムきららキャラットで大絶賛汚れ役中の浜弓場双先生の綺麗な漫画。それが『魔女の花屋さん』なのです。
 というか、至近の『おちこぼれフルーツタルト』があまりにも汚れ仕事。なのに浜弓場双先生が活き活きしまくっているようにみえるせいで、絶賛汚れ漫画家のアトモスフィアをまとっているのが現状です。
 そんな中で、この『魔女の花屋さん』が登場だ! したので、浜弓場双先生ファンとしては警戒心をもってしまうところです。アフタヌーンで悪さしてたりしないよね? となるのです。
 この考えは杞憂でした。とりあえず1巻範囲内でいかれた展開にはなっていません。
 話としては、魔女になるべく街にきたマリーさんが、花の魔女ヨシノさんに師事して街で奮闘する姿を描いたものです。設定面もいかれてないし、話の方向性もいかれてない。非常に素直に楽しめる漫画になっています。
 この漫画の表面であるマリーさんが小気味いいというか、非常に打てば響くタイプのキャラであり、対して裏面である花の魔女であるヨシノさんがそれにどう反響していくか、みたいな雰囲気で話は進行します。何年も停滞していたっぽいヨシノさんが、動き出すことになるのか。それはどうやってか。というのが見所になってくるのだと思います。
 しかし、繰り返しになりますが非常に綺麗な漫画です。浜弓場双先生の独特ながらもふつくしい……。絵にいかれた精神性のキャラがわちゃわちゃするのが『おちこぼれフルーツタルト』で、ちゃんとした子たちがわちゃわちゃするのが『魔女の花屋さん』だと言えます。裏表です。
 魔女花の方はまだ登場人物は多くはないですが、それがマリーさんの行動半径がまだ狭い、というのと絡まっており、キャラをバシバシ出しまくる! といかないよう上手く制御しているという印象です。1巻最後の方でヨシノさんの知り合いの魔女っぽい人が特に説明もなく出てきましたが、そこはまたいずれ、という感じでコントロールしている感じです。
 そんなにじっくり行って大丈夫か? ですが、大丈夫だ、問題ない! って感じなのもいい。
 マリーさんが街に来たのは、魔女になる為、なんだけどもう魔法は効率が悪いし、機械文明も発達してきたから魔女学校辞めたのよ、と言われる辺りで、この世界の魔法というのがどういう立ち位置かささっと分かります。
 が、その上で、それでも魔女がいるし、なんかとんでもない力もってるっぽいし、というのを見せることで、単純に効率だけの問題でもないのでは? というのを匂わせてきます。ヨシノさんは結構上位の魔女ぽく、更に不老長生な模様ですが、その人生の中で魔法が廃れていくのをどう見ているのか。あるいはそれでもやってきたマリーさんをどうするつもりなのか。その辺がこの漫画のキーになってくるかと思います。端的に言うとできそうなこと多くて展開が読めないです。
 それにしても可愛い女の子が次々出てくる、という仕様なのに、また女の子ばかり出して―、ってならない辺りが特筆すべきいい塩梅です。基本的に一つの話に一人女の子出るくらいの出現率ですが、その出現率がいいッ! その出現率がベストッ!! ってくらいにいい具合です。話のメインになる部分と、見映えのメインになる部分をきっちり出しつつ、話を回している感じ。
 特にオリビアさんとの話は、マリーさんが仲良くなりたい! と力強くいう辺りでこの子いい子やな。ってなるので大変良いものでした。その後の回で対話の中で、花について感じることとは? というヨシノさんのお題が解決します。こういうキャラが増えることが大変ポジティブに、仲良くなっていくことで解決することも増えていく、というのが見える。そこからこの漫画どうなるのか、が仄かに見える気がしてきました。
 これはとても大変な道な気もしますが、そうであってもこのノリできっちり魅せてくれそうな漫画となっています。マジで『おちこぼれフルーツタルト』の異端性が浮き彫りにもなりますが、それはさておき、末永く続いてほしいところです。
 とかなんとか。