ネタバレ?感想 磨伸映一郎 『アナゲ超特急サザンクロス』

アナゲ超特急サザンクロス (コミックウォーロック)
アナゲ超特急サザンクロス (コミックウォーロック)

 大体の内容「世の中にアナゲはまだあるぜーっ!」。と砕けた石を投げるテリー・ボガード仕草はさておき、まだまだアナゲはございますよ! とばかりに名作から怪作まで幅広く取り揃えてやってくるのが、『アナゲ超特急サザンクロス』なのです。
 名作方面は、その名も高き『枯山水』。ワオ! ゼン! な内容の中にも徳ロンダリングなどのパワーワードも見え隠れ、というのを短い中でささっとこなす作劇はワオ! ゼン! であります。
 その後は『枯山水』同作者の『IKI 江戸職人物語』をしっかりプレゼンする如才なさで、ついでに内容もパワーがあるのも見せつけてきます。江戸の花だからって火事を固定イベントにすな。
 怪作の方面はやはりクルクルパーな神経衰弱群。昔からある絵合わせゆえに、どこまでネタに走れるか、というよくわからんチキンレースを作者さんたちは強いられているんだ! と思う以外にないネタぶりを見せています。
 とりあえず、一番イカれてると思ったのは『QR衰弱』。QRコードの神経衰弱という、何言ってんだ! ふざけるな! そいつは俺が! な代物。ちゃんとQRコードとして機能する、それで正解がわかる、というイカれてる中にも合理性はある一番嫌なイカれの所業です。
 とはいえネタとしての完成度も高い。そつもない。なんとかと天才は紙一重、という言葉が一番しっくりくる逸品でした。
 さておき。
 この漫画、トンチキアナゲの紹介がメインですが、どんなトンチキアナゲでも不平不満を言わずにちゃんとプレイして悶絶するというスタイルです。
 それが意外と稀有な空気なのかも、とは、第16夜でマナーを押し付けてくる人がちらりと出てくることで顕在化します。
 そうなんです。舞駒先生周り、楽しむものなのにマナーを押し付けたりしないし、逆に楽しむのが先なのにトンチキなのだからと敬遠もしない。
 非常に民度高い、というか面白がり方が上手い。変なゲームだからと無碍にしないし、遊ぶ時は真剣に遊んで悶絶するから、漫画見ていて楽しそう、面白そうという空気を醸成している。トンチキなのだからやるしかないぜ! みたいなノリというかなんというか。
 そこが、この漫画の良いところで、且つ沼なとこでしょう。一緒にやる相手いないのにアナゲ欲しくなる魔性ですらあります。
 というか、本当に面白そうに遊んでますよね、舞駒先生達。あれだけ頓狂なアナゲがモリモリある中で、ちゃんと楽しそう。偶にキテレツなので悶絶してたりもしますけど、そこを含めて魅力なのだ。という提示をしてきてます。なんとなく、一度やってみたい、と思わせるものがてんこ盛りです。アナゲ、今のとこは買うつもりはないけど、一度は熊になって釣られそうです。それくらい沼力ありますよ。
 さておき。
 個人的に好きな回は『将太の寿司「あ・・・・」神経衰弱』回。編集さんがいつも頓狂なの食うけど、今回は食らわせる方だ! としたとこで面子が悉く『将太の寿司』ガチ勢だった、というわりとよくわからない内容で最高でした。違いが分かるのはいいとして出典が分かるのはマジでイカれてる。
 そのイカれ具合と、制作側が実際に「あ・・・・」の数を調べたら無茶苦茶多くて(200コマだとか)範囲を絞ったというTIPSが腹筋に来ました。そんなにあったのか……。よく見たやつだとは思ってたけど、そこまでとは……。
 そんな感じでアナゲの深淵が見られる漫画として唯一無二な漫画であります。類を見ないというより類を見てたまるか、まであるのが、やはりよい。狭いとこは熱量溜まりますからね。
 まだアナゲのネタはありそうなので、GMウォーロックともども長く続くといいや! と寿いで、感想終了。