またMAXがいかれ始めた
2年近く前に、「2022年中盤になって明らかになったまんがタイムきららMAXのやばさについて」というのを書きました。あれからMAXはイカれた作品群は2巻乙となっていき、誌面に平和が訪れましたなどと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。
イカれた作品が減って、まともなのが増えると誰が決めたんだ? というくらいにイカれ漫画が再び台頭し始めているきららMAXの現状について今回は緊急レポートしていきます。
御託はいい。始めよう。
1:きららMAX新世代のイカれ『へるしーへありーすけありー』
まず最初に紹介するのは、O仮名だも『へるしーへありーすけありー』、通称へるへすです。ヘルペスと音が近似しているのがテクいです。なので以後はへるへすと表記します。
へるへすのあらすじは、美大生七草さんはある日ひょんなことから吸血系妖怪のぶすまのヨモギさんと出会い、とある事情で血液を提供することになります。しかし、七草さんは相当の不健康児で血が死ぬほどまずい為、七草さんを健康にしなくては! となっていく話です。
へるへすがイカれている点は、美大の暗部を特に暴くとかなく平素としてお出ししてくる点と、美大生七草さんのイカれ具合いも併せてお出ししてくる点にあります。
今まできららでは美術系高校の話は多かったものの、その先である美大の話はあまり聞きませんでした。
そんな中でその美大を扱うのがへるへすな訳ですが、この漫画の性質上自動的に美大の暗部がクローズアップされることになります。そもそもその暗部の煮凝りみたいなのが、七草さんなのです。青白い幽霊がでる、の幽霊が七草さんだというレベルです。
生活時間が昼夜逆転しており、飯もひどい。卒業できるか怪しいし、普段動かないから健康を目指して散歩しだしても速攻で体力作りする体力がないとかいいだします。不健康が服を着て歩いているレベルです。
これが、ゆのっち(蒼樹うめ『ひだまりスケッチ』)の行き着く先だというのか!? というくらいに、美大の暗部として七草さんがあります。
ちなみに七草さん以外でも生活習慣が終わっている人が七草さんの周りにはゴロゴロいて、美大こえー。となること請け合いです。
とはいえ話が進むにつれて七草さんとヨモギさんのユウジョウ! な面とかじわじわ出てきて、特にヨモギさんの出生秘話が語られる回はガチの異種婚礼譚でありつついい家族だなーってなる話ですが、その出生の話が聞けるくらいには結構ちゃんと友情が育まれとるんやな、となります。そういう意味では話自体はちゃんとしています。
ただ、美大要素がイカれてるだけでイカれ漫画になっているのです。美大こえー。
これはまだ単行本出てませんが、9月に出るのでみんな買いましょう。(ダイマ)
ニコニコ静画とかでも読めるよ! 試してみて! とぶぞ!
2:百合のMAXとイカれのMAXの超ハイブリッド『プロジェクト・ユリフォーミング!』
次に紹介するのは、御家かえる『プロジェクト・ユリフォーミング!』、勝手に通称をつけるならプロユリです。以後これを使います。
プロユリのあらすじは、地球の百合に狂った宇宙人であるリリーさんが、真面目委員系イオリさんとややアウトロー系ルナさんとの素直になれない系百合を猛烈にプッシュして百合関係を完成させようとする、イカれ漫画且つ百合漫画です。
リリーさんが宇宙人特有の科学力でイオリさんとルナさんを様々な百合シチュエーションに持っていき、そこでお互いが好き! とはならないけどお互い素直になれないという百合関係性に萌えるという、どう転んでも百合でリリーさん得で無敵過ぎる展開がされている漫画です。というかリリーさんが百合にイカれ過ぎてて、それだけでイカれ漫画扱いできます。
とはいえプロユリはまだ始まったばかり。というか8月発売号の段階ではまだゲスト。9月発売号で新連載になるので、このリリーさん無敵状態が続くのか、それともずらしてくるのかは不透明です。しかし、グレートですよこいつは……。なイカれ具合をゲスト時点でもしています。お互い素直にならないと手が離れない! というのから、なんかいきなり離れた! となって互いに気持ちが!? とドギマギするイオリさんとルナさん。でもそれ自然と離れるようになる時間制限があったんですよー! とかぬかしてきます。もちろん、その部分はイオリさんとルナさんには話されせん。イカれてる!
こんななので、MAXのイカれ漫画カテゴリーが分厚くなるのは避けられないのです。
さておき。
昔のきららMAXは百合漫画の聖地でした。様々な百合が蔓延る百合魍魎の巷だったのです。
現在では、残滓はあるもののダイレクトで百合な漫画はご無沙汰でしたが、私が来た! レベルでプロユリが来てしまいました。きららMAX新世代の百合且つイカれとして。いいことなのか悪いことなのか判別が付きづらいとこですが、今までのきららMAXの延長線上の帰結として、プロユリは存在すると言っていいでしょう。どういうとこに行きついてるんだよ、でもありますが。
3:きららフォーマットから漏れ出すサウナへの狂気『さうのあっ!』
3つ目に紹介するのは、原作・笠間裕之:作画・宮月もそこ『さうのあっ!』。さうのあと呼んでいきます。
さうのあの大体のあらすじは、風呂嫌い系女子こかげさんが、ある日銭湯を通りかかると薪割りしている北欧女子リューディアさんと遭遇。そこから、風呂及びサウナに入る日々が待ち受ける、というものです。
その後サウナ知識勢芹香さんとサウナ経営勢槇さんの4人でサウナに入ったりサウナに入ったりしていきます。
この漫画、建て付けとしてはきららフォーマットと呼べる形をしています。女の子達4人が何かに打ち込む、というフォーマットです。それがサウナになのがさうのあなのですが。
この漫画はサウナに対する知識及び好奇心が際立って高く、そういう建て付けだからという範疇を越えてサウナに耽溺する人の生態漫画みたいになっています。おっさんがしてても問題ないのを女の子が! というのがきららフォーマットとはいえ、ここまで生態出されると……。
そもそも風呂嫌いのこかげさんがいるから、サウナ関係の情報をこかげさんに教える形で我々に開陳しめくるのですが、その情熱をきらら漫画に注ぎ込むのはイカれてませんこと!? というレベルでしっかりした味付けがなされています。
それでいてこかげさんという素人目線があるから素人置いてけぼりにしないテクもあり、サウナにかける情熱をしっかり飼い慣らして世の中にお出しする気概もある。
本当にサウナが好きなのがわかるけど、それをここまで昇華できるのは殆ど狂気です。ガチ勢がガチでやるとこうなるの見本と言えましょう。怖えよガチ勢。とはいえ、きららフォーマットをしっかり使って描かれた逸品です。情熱のベクトルが正しいんだけど、怖えのよ、ですが逸品です。
現在単行本1巻が出ているので、気になる方は手にしてみてください。ニコニコ静画でも読めるので、お試ししてもよしです。
+α:きららMAXイカれ期の大きすぎる残滓『SAN値直葬! 闇バイト』
3年ほど前のきららMAXはイカれ漫画に愛された誌面をしていました。こいつ頭がおかしいぜ、という漫画が一度に乱立したのです。本当に新連載がこぞって頭おかしい時期でした。それらが所謂に2巻乙していくまで、きららMAXはイカれの世代と言える時期にあったのです。
そんな中で、唯一2巻乙でなかったのが、ムクロメ『SAN値直葬! 闇バイト』です。以後SAN 直とします。
SAN直のあらすじは路頭に迷う直前だった高校生のあかりさんが、超金になるアルバイトを見つけたけど、そこはクトゥルフ世界の入り口で……。という女の子×クトゥルフ神話ものです。
連載開始辺りの他のイカれ漫画面子も相応にイカれていましたが、SAN直は普段ぶつけない女の子とクトゥルフを何故かぶつけてしまい、異常な作品として存在が他の面子の中でも際立っていました。
とはいえ。ただ組み合わせがおかしいだけではこの漫画が生き残っている理由にはなりません。当然、SAN直は内容もだいぶイカれてます。
特に、メインのあかりさんのバイタリティがクトゥルフ物としては際立って高く、またSAN値も際立って高い為、狂乱タヒみたいなことにならないというクトゥルフ物としては異質な生命力と精神力となって話の中に鎮座しています。
この異質さによりクトゥルフ物でギャグめいた展開をしている、というのがこの漫画を際立たせるところになっています。
一応、そのあかりさんでもタヒぬことはあるんですが、最終的にやっぱりバイタリティでなんとかしたりするので殆ど超人です。そりゃギャグになるよ。
とはいえ、ギャグめいたとこが多いですがきちんとクトゥルフ系の恐怖も内在しており、その辺のモブはあっさりあっち側へ囚われたりします。メインキャラも死にかけたり、そもそもあかりさんもタヒんだりしている段で相当イカれた漫画です。
それが現在2巻まで出ております。さすがに3巻までかもですが、それでも後一年近くは連載されるので、どうなっていくのか楽しみです。皆さんも楽しもう。な?