開幕から面白い!ワオ!ゼン!
ということで、『ハイパーインフレーション』で知っているお友達の多いであろう住吉九先生の新作、『サンキューピッチ』が9月3日付でジャンププラスにて1話公開になりました。まだ見てないなんてすくたれものはいないでしょうが、とりあえず基本情報としては夜中に練習している野球部員の前に現れるか怪人物が、なんやかんや言いつつ3球勝負を野球部員に挑む、という導入から、その怪人物が野球部に入るまでで1話使う感じです。
どうしてそんな怪人物になっていたのか、そしてその正体は? というのは1話目中盤で即明かされますが、何故3球勝負なのか、というのとそれゆえに夢を断念していた怪人物が、夢をまた見てもいいのか! となるのが1話目の大体のところです。
この開幕から既に面白いのですが、それはさておきこっから先はネタバレ含みのものになりますので、まだ読んでない人はいないでしょうけど一応『サンキューピッチ』を履修してから読み進めてください。警告はしたぞ!
ぶっちゃけ「アフリカ!」可能性すら考慮してた
わたくし、「アフリカ!」つまり『アストロ球団』くらいのリアリティレベルまで覚悟して『サンキューピッチ』読んでました。『ハイパーインフレーション』という前例がありますから。ですが結果としてはさすがに「アフリカ!」は覚悟決めすぎだったと反省しました。
とはいえ、「アフリカ!」の方も中盤からギアを三段階くらい上げた作品なので、『サンキューピッチ』も最終的に「アフリカ!」になる可能性はあるので、油断せずにいこう。
戯言はさておき。
最初のシークエンスで怪人物とどっかの高校の主将が勝負するんですが、1話全部読んで再度最初から読むと、おそらくこの回以外では 2度と出てこないだろう3球勝負の具体性を結構きっちり定義付けしてるので、この配分! ってなります。これを見ると『ジャンケットバンク』の勝負って本当にピンと来ねえの偶にあるのなんなの。まであります。とばっちりです。
とはいえ、この最初のシークエンスはこの回後半で明かされる怪人物の実像と、以後この『サンキューピッチ』で展開するであろう投球模様の前哨戦であるので、そういう意味では情報がしっかり出ているので油断が出来ません。
そこから、この漫画のメイン面子がじわじわ出てきます。本当にじわじわで、野球部キャプテンの小堀とキャッチャー広瀬に、怪人物がその正体を出してきますが、名前のあるのはその3人までしかでません。一応、野球部のエースもいるんですが名前は出ません。次回以降でしょう。じっくりですね?
スポーツ漫画のキャラ物としての長所と短所
このキャラをじわじわ出すのは現代漫画としてはエサクタ(正解)! です。スポーツ漫画のキャラクターものとしての長所と短所というのは基本的に一点に集約されており、それはそのスポーツの必要人数分キャラが出せてしまうことです。キャラクターを増やしやすいのが長所ですが、相手チームのキャラクターも考えだすと野放図に増えてしまうのが短所です。
その辺の弱点を、昔の野球漫画は主人公周辺に登場する人物に絞っていました。『巨人の星』で星飛雄馬の相手になるのが知り合いの打者数人+αだったり、『ドカベン』では山田太郎が打者なので相手のチームとはそこのエース投手戦が中心としてスポット当たっていたり。
閑話休題。
野球ならキャラクター人数は最低9人なのですが、怪人物はかなり特殊ながら一応クローザーなので普通の投手としてはカウントしない。となるとまだ名前の出ていないエースを含め後最低7人はキャラを出してくる、ということになります。これを初っ端から全部出さない。大変理性的です。一気に出されても覚えられないのだから!
とはいえ、ここの他のメンバーをどう扱うか、というのはまだ全然分からないので、ここの扱い方でこの漫画の今後が分かるかと思います。全員出すのか、モブに近い扱いにするのか。どっちにしろこの漫画が正統派野球漫画になるかは悩ましいところです。
正統派野球漫画の皮を被るのか破り捨てるのか
という出だしをしましたが、怪人物の縛り、つまりイップスで3球しか投げられないことの使い方次第でこの漫画がド級の正統派になるか、とんでもないおポンチになるかになります。そもそも怪人物の制限が実際の試合ではどう転ぶか全くわからないからです。どうあがいてもその縛りでは、最もよくて三者どれも一球目で打たせて取ってスリーアウトですが、最悪ストライクが一球でも入らないとほぼ詰みというので、マジでここがこの漫画の肝になってくるところです。この縛りだけでかなりの話ができるんで、マジでこの縛り考えついた時点で住吉九先生はYHEAAAAAA!! ってなったと思います。(邪推)
それとキャラクターをどう出すかも、その辺に絡んできます。キャラクターがどうしても多くなる野球漫画で、メインのチームすらモブがあるのか、それとも相手チームも全員個性出してくるまでやるのか。この辺のやり方でもこの漫画が正統派かおポンチかに分かれるところです。
とりあえず、個人的には自軍はきっちり出してくると予想しています。それがキャラクターを求める現代漫画として正答ですから。そして、怪人物の3球制限について皆には知らされないと予想しています。敵を欺くにはまず味方からです。
制限が相手にバレるのはマジでまずい、相手がカットするだけで速攻破綻するので、それなら味方であっても知らない方がバレにくくなる。その手を使ってくると見ました。もうこの段階で正統派? な気はしますし、そもそも怪人物の出番重点で展開しそうなので、試合の方も結構飛ばしていく可能性がある。
やはりこの設定で正統派は無理か? となりますが、意外と新感覚の正統派となるかもしれない、と逃げ口上しておきます。
個人的にあんまり見ないなって思ったとこ
野球漫画で甲子園出場を目指す、というのは結構珍しい気がするな、とも思っています。甲子園に行くのが目的で、甲子園制覇は目的ではない。出場なのが肝。高校生のテッペンを取るのではなく、出場できたら御の字、というのはあんまり見かけた記憶がありません。出場したうえで頂点を狙う、というのが主です。
この辺に連なるところで、今回登場した面々はプロを目指していないというのも上げられます。大体野球漫画はプロを目指していくものですが、それは無理だなと、キャプテンの小堀は考えていて、なのでその辺も怪人物によって変わってくるのか、それともやはりプロは目指さない方向になるのか。この辺の変遷も気になるところです。
長々書いてきたけど
とにかく怪人物の制限がこの漫画でどのようになっていくのか。その出番がクローズアップされる場面が多くなるとは思いますが、それまででちゃんと野球の試合を描写するのか、それともやっぱり「アフリカ!」になってしまうのか。「アフリカ!」の『アストロ球団』も一応ちゃんと試合はしてたので、それ以上に場面ピックアップで展開するとかなのか。中々読めません。
なので、とにかく早く二話目見せてくれよお! ってなっています。そういう風に私を狂わすには十分なポテンシャルがあるのが、住吉九『サンキューピッチ』なのです。