ネタバレ?感想 宮脇ビリー 『今日も吹部は!』1巻

今日も吹部は!(1) (サンデーうぇぶりコミックス)
今日も吹部は!(1) (サンデーうぇぶりコミックス)

 大体の内容「今日も吹部は変人窟」。野球に人生をささげていた汐見草太朗は、それを断念しなくてはならなくなった。それゆえに黄昏ていた時に、小松原ルーシーに吹奏楽部に勧誘される。それにほいほいついていったものの、その吹奏楽部は今、荒れに荒れており……。その中でなんとかしようとする汐見の頑張りと、キャラクターが濃すぎる吹奏楽部の面々の掛け合いを楽しむのが、『今日も吹部は!』なのです。
 普段吹奏楽部と聞い想像するのはどういうものでしょうか。皆が均整の取れた操演で音を魅せるものでしょうか。
 しかし、この漫画の吹部は荒れています。開幕から、部上層部は殴り合いの対立になっており、また汐見のパートであるトランペットパートも喧嘩状態であるので、吹部こんな荒れるん!? ってなりました。
 とはいえ、人間同士で合わせてやる題目である以上、人間関係はダイレクトアタックするのはむしろ当然かもしれないと思い直しました。直しましたが、そこを飲み込むとこの吹部、濃いやつが多いな? というのが立ち上がってきます。
 そもそも、見に行ったらいきなり殴り合いになっている部長日高さんと副部長倉見さんという絵面が終わっている。どちらも女子なくせに顔面にパンチがめり込んでいる絵が飛び込んでくるので、なん!? でした。
 で、倉見さんが眼鏡で真面目そうなのにバカ、日高さんがギャル系なのに成績優秀、というギャップをかましてきます。それだけでキャラクターとして立ちまくっていますが、その上で、倉見さんはダラダラした部活が青春だろ、で、日高さんは高みを目指すのも青春だろ、というので、明確に思想が違う。ついでに倉見さんと大学一緒のとこ行きたいと日高さんは考えていたりとか、そこを倉見さんは空気読んで言ったけど本当は勉強もういいから就職する、とかその辺でも思想の違いがくっきりしていて、むしろなんで日高さんはそんなに倉見さんと一緒にいたいんだ、まであります。百合なのか!? ここからしてもうかなり濃い。
 この辺のネームドのキャラの濃さはこの漫画の最大の特徴とも言えて、出てくる人出てくる人一々キャラ濃く、まだキャラ薄いのは一年生三人トリオくらい。それ以外のネームドは強烈な癖をもっており、その癖に対して汐見がどう対処していくか、という話となっています。
 一応、吹部の大会に出る為に一致団結、少なくとも大会に出る派が多数派にならないと、という方向で動いていて少しずつ地盤が固められてはいるんですが、癖キャラの団結なのでいつ破綻するか分からない。わりと薄氷の上を歩いているという感じなのです。
 そんな癖キャラで固められたこの漫画ですが、そこに対して汐見がかなりちゃんとまともです。真っ当なやつなのです。真っ当過ぎて逆に浮いているまであります。ですが、その真っ当さゆえにこの混沌とした吹部に光をもたらす可能性があります。その真っ当の星の元に、癖がいつ発動するか分からんものの、一部の面々が団結はし始めているので、真っ当って大事だな……。って思わされるところです。
 さておき。
 この漫画で最も癖があるのは、実は汐見を吹部に勧誘した小松原さんです。ハーフで可愛い子案件なのですが、意外と大体のことに無関心な子で、でも汐見に対して当然ラブがある。だけならよかったのですが、意外とストーカー気質で、汐見が危ないことしていたのを見咎めたのも常日頃からこっそり見てたからだったり、汐見の使ったトランペットをぺろぺろしたり吹いたり、とちょっと危ない子であるのが伺える部分が沢山あります。
 特にトランペットぺろぺろは擁護のしようがなく、行動がほとんど増田こうすけ増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和』の名物キャラ、クマ吉くんのそれであり、それをメインヒロインにさせるという手管には慄かされます。清純派がこういうタイプ、という中でトランペットぺろぺろは癖球としての力が強すぎますよ。
 とはいえ、だからこそこの子が今後どうなるのかというのが気にはなるところではあります。いつか咎められるのか、それともなんとなくその辺がフェードアウトするのか。咎められる方が楽しいことになりそうなので、そっちだったらいいな、とは思います。清純派に隠された秘密が暴かれる! ってのはいいですね。さつじんじけんの動機になるレベルで隠したいことだろうとは思いますが。
 さておき。
 汐見が癖キャラ多数でいつ瓦解するか分からないものの、一応多数派工作に成功しかけていた矢先、吹部の大会に欠場する、という話を倉見さんと顧問がしている、という場面に遭遇。そこでどうなる!? で1巻が終わります。 こで、そうか、大会に出ないといけないんだ! と、今までこの漫画の何を読んでいたんだ? という感想がもろっと出てしまいました。そこが目標だったのだから、当然やろ! なんですが、癖キャラとくんずほぐれつする様が楽しかったので、そこをいつの間にか大会がないこととして、このまま人間関係がぱやぱやしている様をみる漫画だと思っていたのです。大会出場がマクガフィンみたいなとりあえずの据えものと捉えていたんですよ。それがちゃんとやっていく方向をみせられてね。なので本当にびっくりしてしまいました。
 ということで、癖キャラが多数の吹部は無事大会に出場できるのか。でも、部の人間関係がぱやぱやしているだけでもこのメンツの濃さなら全然美味いしいくらでも食えるな……。となるのが、『今日も吹部は!』1巻なのです。