『サンキューピッチ』は前回と今回で草加露木ペアの秘策、夢幻ジャイロの秘密に迫る感じでした。露木が微妙に動いてミートを外すのかと思っていたら、ド直球に現代の魔球であるジャイロボール、それも草加バージョンで出してきやがったので思わず「やるっ!!」ってなりました。ちゃんと草加バージョンなのでちょっと普通のとは違ってもご愛敬! としてくるのもまたうまい。ちゃんとした逃げ道を確保している!
この相手の魔球の正体は分かった! の件からの怒涛のジャイロボール解説が本当に怒涛でした。回転の仕方についての説明からそこからのどういう球種かというこの部分だけでも漫画で分かるジャイロボールとしてハイスコアです。
成程! 分からん! となっても分かりました? 難しいですよね。でもまあ分からなくても内容としては問題ないから安心してね! メインの奴らでも三馬とか分かってないのいるから分からなくてもよいですよ! というフォローがちゃんとしているにも程があります。これはフォローなのか?
それに加えて伊能の回転する方向についてのひとくさりをそんなの覚えられるか! からの覚えたんだなあ、これが! してくるので上手い。読者の目が泳いだだろうとこを見て分かったする奴がでてくることでこいつ凄え! を自然に産むテクさよ。やってくれました、たった今!(”渚の『・・・・』”)
ここでも既にそれをやったやつすげえ! なんですが、それ以前にこの核心についてたった二言貰っただけで相手のジャイロボールのストレートの迂闊なコース待ちと釣られたフリできる広瀬が凄えしかない。いやマジでこれで広瀬本当にプロ行かんの? うせやろ? これだけできてよ? そんなにサンピ世界のプロはハードル高えのか? 『ドカベン』世界ならプロあっさり入りそうなレベルなんだけど。むしろ『ドカベン』のラインが良く分らないけど。
ここの、魔球の魔術が切れて、その魔球の真価を発揮しだす展開は熱い。実際まっすぐにしか見えないのにバッターの手元で変化するジャイロボール。こんなの打てるか! ですがしかし体力に懸念のある草加にはカットが効く! で、やってやろうじゃん! する対戦相手側が熱い絆を見せています。対してハマソウ側は伊能という頭脳担当が皆優秀だ、手駒として! とかいっててさすがだなと思いました。どっちが主人公なんだよなこの辺のずらし美味えにも程がある。まあ、住吉九先生の中では皆主人公なんだろうな、という気はします。皆主人公だからこそ、それが勝つ負けるするのにカタルシスが生まれるんだよねえ! という住吉九先生のキマった顔が勝手に頭の中にまろび出ます。おっかねー。(妄想)
あと、露木がカット戦法に外道がああああああああああ! って吠えてたコマで不覚にも大笑いしてしまいました。散々流れの為に色々工作していた奴の台詞じゃねえんだけど、気持ちはわかるので笑いどころです。言うに事欠くとはまさにこのこと。でも、草加はまっすぐにジャイロ投げてるので、その辛さが分からんかー! ってなってるの分かるんだよなあ。明らかにお前が言うなだからこそ、三馬のツッコミが活きてくる。いいボケと魂の入った咆哮でした。
さておき。
思った以上に草加露木ペアとの戦いが濃いものになって、個人的には嬉しいんですがそろそろ決着しちゃうんだよなあ。というのでちょっと寂しかったり。ここで主人公側が負けるとかはないのでハマソウが勝つんだろうけど、あの夢幻ジャイロをどう攻略しきるのか。もう下位打線っぽいしなあ。もう一回広瀬に打順が回らないと勝てそうにない。これで勝てたらやっぱり広瀬はプロ行けるって! になるんだけど、どうするんだろここ。