ネタバレ?感想 フクダイクミ:カロル・ゼン 『明日の敵と今日の握手を』7巻

明日の敵と今日の握手を【電子単行本】 7 (ヤングチャンピオン・コミックス)
明日の敵と今日の握手を【電子単行本】 7 (ヤングチャンピオン・コミックス)

 大体の内容「この艦隊行動、気を張るとこが多すぎィ!」。いろいろあって呉越同舟な中で色んな問題が噴出! アメリアさんの明日はどっちだ! などと、その気になっていたわしの姿はお笑いだったぜ。
 ということで、いろいろ事案が勃発する中で、アメリアさんが大変頑張るシークエンスでした。というか、なんでこんなに事案が。というレベルであれこれ起こりまくる為、アメリアさんの心労がいかばかりか。でしたが、今回で片鱗が顕わになります。
 何の片鱗かというと、ハラルドの片鱗です。
 朱に交われば赤くなる、というのはわりと初期の段階でも染まり始めていたアメリアさんですが、今回とうとうハラルドの影を幻視されるまでになりました。親友の人が感染した、という表現してましたが、言い得て妙。感化されたではなく感染した、というのが本当にハラルドの厄介さを如実に表しています。あくまで罹患した扱いだから元がヤバイのがよくわかる表し方です。
 ということで、ハラルド流を身に着け始めたアメリアさん。あまりにもハラルドがやりそうな、というのをやっていきます。責任問題をちらつかせることで要求を通す辺りは真骨頂。相手としては沈没や撃破されたらどうしても自分たちに責任問題が降りかかる。なので飲むしかない。というのをお膳立ても含めてしていく様は、まさしくハラルド流でした。
 この巻で最大のわちゃわちゃは独断専行で船列をはぐれた艦船をどうにかするところ。同盟と協商と皇国の間で取り交わされている中立についての要綱の隙をつき、同盟のこっちも独断専行しているやつらをだまくらかして、逃げた艦船の人達を救いつつこれ見よがしに観戦を破壊! ストレスを相手側にシュート! 超! エキサイティン! というよく決まったなこの話、というくらいになんとか薄氷を渡り切っていました。
 しかし、帰国するとどうにもやっぱりやばかった模様。それでもハラルドは食いつぶす予定でいるので、こういう時は本当に頼りになる上司なんだよなあ、ってなりました。とはいえ、この回のわちゃわちゃの原因の一つがあまりに人の心が分からず理詰め過ぎるハラルドの性質から、だったのでなかなかこみいっています。締結したことを守っていれば恐れることはない、というのはハラルドだから言えるのであって、なんか庇護がないとこんな薄氷踏めねえ! というある種当然の心理に到達してなかったのが問題を大きくしちゃったんですよ。ハラルドの精神性がいかなるものか、というのがよく分かるミスでした。それでアメリアさんは四苦八苦するし薄氷もわたるんで堪ったもんじゃないよなあ。そのわちゃわちゃの過程でハラルドの色に染められたおっかないのが生まれている……。ってなりました。地味に仕事に対する能力とか人間力()は高まっているよな、アメリアさん。方向がハラルドなのでお前それでいいのか? おいぃ?
 さておき。
 今回はハラルドがほぼ出ない巻という、それでこの漫画持つのか!? というギリギリラインでありましたが、全然持つ。むしろアメリアさんがハラルド色になっていてハラルドいなくても何とかなっている。次巻ではハラルドが快刀乱麻、とはならずにアメリアさんは軍法会議もののよう。そこからハラルドがどう立ち回るのか。アメリアさんは一応条約の隙間は付いたが隙間付いたらそれはそれで問題にはなるよな……。グレーゾーンを明確にしたらそりゃグレーじゃなくなるからね……。ここでハラルドが弁護するのか、アメリアさんが頑張るのかが気になります。……てかアメリアさん頑張り過ぎじゃねえか?
 とかなんとか。