漫画を選ぶにはどうしたらいいのか。という、お話。弐

まずからどうぞ。
見たなら次だ!

本屋選び 阿

情報を得、自己分析を終え、そうしたら自分と合う可能性のある漫画が、そこにリストできている、という状態まで達したら、次はどうするか。当然、リスト通りに買うのですが、だがちょっと待って欲しい。そのリストの作品、本屋にありますか?
これが中々面倒なところです。自分が様々調べ、自己分析もかける程精査したその漫画が、本屋さんに置いていないということは? その辺もちゃんと調べる必要があります。
昨今、本屋さんは減少傾向なんてものではなく、衰退傾向と言えるレベルで減っております。一応、全体の延べ面積は微増だったと記憶していますが、数の方はどんどんと、なのです。これが、漫画買いには大変面倒を及ぼします。
延べ面積が微増、というのは大型店舗が少し増えているのが影響していますが、しかし本屋の数は減少しています。つまり、自分の生活圏に本屋がない、という事態がかなり高い確度で顕現している訳です。そして、多少残ってい書店の品ぞろえの方も、確実である安定パイばかりになってしまっています。これはすなわち、大メジャーな漫画以外、手に入る可能性が低いということです。よしんば中規模店があっても、売り場面積的な問題もあって、メジャーなの以外、欲しいシリーズが全巻揃うという可能性が大変低くなっています。虫食い的に、あるいは後半があれば、いい方なのです。
この点が、前回書いた初心者はドメジャーから入るべきである、と言ったことの側面的な部分です。ドメジャーなのは、大規模書店ならもれなく、中規模店でも安定してあり、小規模書店ですらそこそこ入っている可能性が高く、というので、本屋の規模と漫画の品揃えの両面を計るのに適しているのです。この指標を活用して、まず自分の家の近くの本屋が漫画を買うのにどれくらいの信用を置けるか、というのを見るのが良いでしょう。

本屋選び 吽

家の近くの本屋さんが信用における、ならいいのですが、昨今の出版衰退の憂き目で全然駄目です、な場合や、本屋、全く無いんだが? な場合はどうするか。
これは大体三種の手があります。一つずつ見ていきましょう。

  1. Amazonなどのネット書店
    • ネット通販は、田舎というか限界集落のような雰囲気があるところでも来てくれるので安心。すぐに手に入らないとか、konozamaとか、なんか普通売りなやつなのに高騰しているとか、偶に難点はありますが。
  2. 電子書籍
    • そもそも物体である必要すらないのよ! というならネット回線があればどこでも素早く手に入る電子書籍はいい案でしょう。クレジットで買いだすとお金が湯水のように溶けていくとか、そもそも電子書籍配信してないとか、稀に問題点がありますが。
  3. 大型書店に無理にでも行く
    • 紙の本を実際に見て触ることができるという利点が代えがたいという場合は、無茶遠くても行く、という選択肢もあります。本当に遠いと県境を越えてという一大旅行みたいになってしまうとか、行ったからには買わないと、義務的になってしまうとかがややネックですが。

どの選択肢も、大きいところで、というのが共通項です。特にAmazonは巨大ですから、狙いの漫画なら速攻見つけられますし、それに電子書籍版、つまりKindle版があれば超速攻で手に入ります。そう言う意味においては、今の世の中としてはネット書店を活用するのが、漫画買いの一つの手管であります。

が、それからのことは?

しかし、それで満足、したぜ……。と完遂満足鬼柳京介出来るのは、初級者と言ったところです。ドメジャーだけでは満足できねえぜ! と再び不満足鬼柳京介になってしまっている場合は、もう中級者の足音です。情報を集め、自己分析も済ませた。が、それからのことは?
ぶっちゃけますと、ドメジャー中心の段階の情報収集では、真に自分を満足させてくれる漫画には届いていません。自己分析も同様。浅瀬でパチャパチャやっているだけのものです。
それでも、それで満足出来るならその段階で止まっていいのです。それだけでも、十二分に楽しめますから。
が、そうではない、もっと漫画を楽しみたい。自分好みの漫画を! となる段階になってしまう人もいます。そうなれば、実は更に情報収集と自己分析のレベルを上げられる状態になっているのです。
そうなった時の情報収集の仕方は、かなり積極性が必要なものです。その方法も色々ですが、軽く書くと漫画雑誌を積極的にたくさん買って、あるいは立ち読みできる本屋やコンビニで読むとか、古本屋で買いたいと思う作者ものなどを読んでみるとか、ネット書店や漫画のサイトの試し読みを読んでみるとか、とにかく読んでみるのが手管としては有効です。漫画買いとして中級に差し掛かっていれば、漫画を読んで選定する能力も自然ついてきているはずなので、探して読んでいいと思う、というのは機能するようになっているかと思います。そして、その情報のアタリの為に、濃い自己分析が必要になってきます。
自己分析の方も、前回書いたようにこのシチュエーションが好きとか、こういうキャラクターがこうなってこう! という細かいオーダーが出来るというのも中級者のそれ。細かくなってきたら、それだけ自分好みの漫画を絞り込めるようになりますが、細かいだけに目当ての漫画を探るにも情報が必要になります。
この情報と分析がドウメグリマグラミしていると気づくのが、中級者の今後をジャッジするところです。

漫画を持とう。本屋に出よう。

上記の通り、ある程度大きな本屋が近隣に無い場合、どうしてもネット書店に頼りがちになります。だが、ちょっと待って欲しい。ネット書店に独自の利点と欠点があるように、本屋にも利点と欠点があります。欠点は先に述べた通りの、品ぞろえの安定感の無さ、それと再入荷を頼んでも来るまでの時間がネット書店よりかかる点でしょうか。遠い場合は遠いという距離的な所も欠点でしょう。
しかし、利点は当然あります。一番は、その本という実体を生で、俺に生の実感をくれ! ってくらい、存在をひしひしと感じられ所です。ネット書店でも大きさなどの情報はありますが、所詮は数値。そこからダイレクトに大きさと重さと太さを感じられる人はそう多くないでしょう。
それが味わえるのが、本屋さんの利点の一番なのです。大したことはない? まあいいじゃん。それが実感出来るのって案外大事ですよ?
さておき、もうちょっとちゃんと話すなら、多種多様な漫画があることを肌で感じられるところも書店のいい所ですが、それは大型書店でないとあんまり味わえないというまたしても欠点があります。しかし、これは結構デカい。
見知らぬ漫画がある、というのを理解する事は重要です。自分の検索範囲の限界、それが目の前に広がるというのは、漫画買いの意識を引き締める効果があるのです。如何に情報を仕入れていても、まだ届かない範囲。これを常に意識するのが、中級漫画買い時期以降、大変重要なのです。

ネームド漁りの術 古本屋を添えて

まずは大メジャーから買えという初級漫画買いから、情報と分析を駆使してややマイナーな漫画を買うのも楽にできるような中級漫画買いへと向かっていきますが、中級漫画買いの段階は情報収集と自己分析の両面を練れば欲しい漫画が手に入るランクです。意気揚々と食指が伸ばせやすい時期とも言えます。情報を追えば追う程、深みにはまれる、というべきでしょうけれど。
この辺りに来ると、情報の内容だけでなく、作者さんの名前買い、あるいはシリーズの名前買いも横行する頃だと思います。そうなれば、ぜひ使いたいのが古本屋。作者さんにダイレクトに金が入らない、という絶大な欠点はありますが、市況にもう出回っていない漫画を買うにはやはり生命線と言える部分です。特に名前買いの場合、ある程度年月を経ている漫画家さんのそれを通常の書店で手に入れようとするのは大変難しい、ぶっちゃけ不可能なのが現状です。ちょっと前のでも、大型書店ですら見かけない、なんてザラです。ネット書店、Amazonマーケットプレイスも手ですが、こちらも品切れている場合もあり、また妙な値上がりをしている場合もあるのが難点です。そう言う部分を懸念するなら、そして近くに古本屋があるなら、それを活用するのが手っ取り早いかと思います。
古本屋漁りの利点は、やはり割安に買えるところです。急激な値段のブレも少ないので、マーケットプレイスみたいに突如値が跳ね上がる、ということもあまりありません。その点を活用して、名前買いを進めるといいでしょう。
古本屋の選び方は、ぶっちゃけ多岐にわたり過ぎるのでこれ! というのがないので近所にそれなりの大きさのがあればそこを使う、くらいアバウトでいいかと思います。ただ、その古本屋の買い取りの値段は見ておくと、色々と情報を知れるのでお勧めです。何故かというと、今、どんな漫画が循環しているのか、というのが露骨に出るのが、古本屋の買取値段だからです。ここで知っていくのもまた一つの情報収集と言えるでしょう。
また、買取値段の基礎値が高いところ、あるいは発売日から何か月なら何割で買うなどをしている店かどうかも、古本屋を選ぶときにチェックするべき項目です。そういう場所は、持ち込まれる漫画が多い場合が多く、つまり循環が大きい分、目当ての漫画を見つけられる可能性が高いのです。新刊出てすぐの奴を中古で買う、というのをどう評価するかという問題もありますが、目をつけておくということをするのは問題ないかと思います。

ということで、待て次回!