感想 中村九郎 『曲矢さんのエア彼氏 2 木村君の裏設定』

曲矢さんのエア彼氏 2 (ガガガ文庫)

曲矢さんのエア彼氏 2 (ガガガ文庫)

 内容を要約すると、「歪みねえ曲矢サンノ」。したたかという言葉がここまで似合わないしたたかさってレアだよなー。
 ということで、やってきました「曲矢」2巻。
 今回はあのエア騎兵との戦いの直後からだと思ったか? 甘ぇ! と言う中九先生の言葉が聞こえそうなくらい、あれがなんだったのか良く分からんまま話が始まります。
 今回も重点はエア。それも曲矢さんが巽(エア彼氏)を発現できないという事態と木村君が杏子を見失っているのが、曲矢さんの独断先行つか電波によってミックスされて杏子誘拐と言う話にうやむやの内になり、そこにエア部やら杏子の真似をする小沢が乱入。それさえ自分のエア復活の為の贄にする曲矢さんの歪みねえエアプレイによって話が進みます。
 一応、巽がいなくなった辺りの理由やらがなんとなく木村君の勘によって導き出されますが、あまりに曲矢さんが歪みねえので、それは単なる勘違いだったんじゃないか、と折に触れて思わされるのには参りました。よくよく考えるとかなり無茶な話になってたなー、と思うわけですが、まあ曲矢さんがアレなので、これは仕方ないです。その辺が許容できないと全く読めない小説にすらなっている節がありますが。遠きにありて思うもの理論を駆使すれば、曲矢さんに翻弄される木村君は見ていて楽しいものがありました。本人溜まったもんじゃないと思いますけれども。
 で、前回の重要なツッコミ役且つキーパーソンの杏子がいない、ならどうなる? と思ったらツッコミ役は木村君が全て請け負う形になりました。この小説においてはツッコミ役がいないとどうにもならないだろうなあ、というのがわかるくらいの八面六臂でした。が、それでもあまりのフリーダム曲矢のフリーダム攻撃に木村君もたじたじでした。おかげで木村君の方は変な事ほとんどない、という事に。彼もエアリアルなのになー。
 で、これ次の巻でるの? なんとなくでない、ってのは無しですよ? 後に引いちゃうオチだったんだし。「樹海人魚」みたいな美しさのあるエンドとかに比べると、どうにも続かせるのにくりょしてるなー、って思っちゃいましたが、それでも続きが出るのは大きいよなー。