感想 成田良悟 『デュラララ!!×8』

デュラララ!!×8 (電撃文庫)

デュラララ!!×8 (電撃文庫)

 内容を要約すると「三人の明日は本当にどっちだ!」。そんなわけで帝人、正臣、杏里の道が微妙にニアミスして、話自体は更に別の方向へと加速していき、まさしく明日はどっちだ! という展開に。それ以上に『デュラララ!!』シリーズの明日、着地点がどこなのか、という気もしてきますが。あとがき読んだら、まだしばらくは続くんじゃぞい、と言わんばかりに今後の展開の指針が書かれており、人気シリーズ…っ! と唸らざるを得ません。これ、話ちゃんと畳めるんですかね。どんどんキャラが増えて、話がそこにスポット。自然、別キャラも出さないと、になりまたキャラが増え、話がそこにスポット。で、エンドレス。永遠に終わらないんじゃなかろうか…。というか永遠に『デュラララ!!』キャラだけで食ってけるんじゃないか…。そんな危惧とも羨望とも取れない思いを抱いてしまいます。
 実際問題、成田良悟作品、長編シリーズは今の所一つ(越佐人工島シリーズ)しか完結していないわけで、且つ終わったそれも地味に事後談が続いていたりするので終わった感じがなく、よってどこまでシリーズが伸びるのか、あるいは伸びきった話を終わらせれるのか、という点については全く未知の世界に飛び込んでいて、きっちり終わるのかな、と心配な事この上なかったり。まあ、杞憂であるかもしれないんですけれども。
 さておき。
 そういうわけで、三人の道の迷走度が酷く高い話となり、その影響からなのか、話自体のカタルシス、というか落とし所が、もやもやした淡いに突っ込んでしまい、非常にもやっとした物が残り、すっきりとはしない読後感となってしまっております。不気味な胎動を見せているというべきでしょうけれども、もうちょい晴れた気持ちになれる部分も見たかったかも。最近の『デュラララ!!』は特にカタルシスがでかくない傾向があるからなあ、とかなんとか。