感想 ざら 『ウチはおおきい』

ウチはおおきい (KCデラックス アフタヌーン)

ウチはおおきい (KCデラックス アフタヌーン)

 大体の内容。「ウチはたのしい」。最終話のタイトルをそのまま活用出来る位、ウチ最高! という漫画です。うん、やや虚偽が混じった言葉言ってしまいました。すまない…。(アベル顔で)
 内容を正確に記述すると、基本的にインドア派というか単なるひきこもり、単なるアルバイター、単なる大学留年生、の三人の女子が、住処であるウチワ荘を基点にガチャガチャと楽しく生活していくと言うアパート物です。この類には名作が多いという下馬評がありますが、この作品もその評に違わぬ、いい味わいの物となっております。三人娘にはそれぞれその状況にある事情が当然のようにあり、でもそれが重要な部分になるのは一流のスキルを持つのに何の因果かアルバイターのリョウさんくらいで、後は大学多重留年生で優雅に家を満喫してるメイさんと、色々あってヒキコだったのが、周りのおかげで自然と学校に行ってる、というか、学校が来いになってるカナエちゃん、と言った塩梅で、そのせいなのか最後に畳み掛けるようにネタになったからなのかどうなのか、とにかくリョウさんが最終的に目立つ形になっていたように思います。リョウさん超結婚しよう! あるいは敏腕社長と結婚してくれ! 百合で夫婦なんて最高じゃないか!←本人の意思丸無視過ぎる。
 キャラ的な話をすると、後半の展開からリョウさんがどうしても中心になりやすいんですが、そうは言ってもカナエちゃんはまだ学校が来いネタがあるからそれなりに目立つ場面はあります。中盤は彼女のターン! ではあったので、それもむべなるかな。しかし、もう一人のメインパーソナリティであるメイさんは、人を困らす行動以外、ストーリー、流れ的な部分で目立つ場所がなかったと言う印象。まあ、トリックスターの役割だから、それがあんまり食い込むととっ散らかる、と思えば、それも無理からぬだろうとは思いますが、もうちょい大学絡みがあればなあ…。
 話ではやはり酔いリョウさんとリョウさん大スキー社長がエロい、第9話『みんなのそれから』が白眉。社長は片鱗はあるものの、正直最後の辺りで凄いパワーを出してくるキャラになるとは思わなかったんですよ。一過性なキャラだなあとか。なのに……。その分、メイさんの話が減ったのではないか、と危惧というか邪推してしまうくらいパワフルなキャラですよ、社長。そう考えると、なんとも痛し痒しなキャラだったんじゃないか、とかなんとか。
 さておき。
 この漫画はあの『ふおんコネクト!』を描いたざらさんの漫画なので、どうしてもパロっぽいネタを探して奔走してしまいがちですが、今回はその辺は自重の節が。たまにそれっぽいのがあるんですが、全体としては少なめ。でも、ざら漫画のもう一つの味わい、社会に対するややシニカルなトコは相変わらず、9話はその辺りも含めていい回ですよ、なので、全体としてああ、ざら漫画だなあ、という感慨に浸れる漫画と成っております。正直、1巻で簡潔に完結するよりは、もうちょっと見てたい、と言う意識に囚われますが、その点は現在きらら連載中の『しかくいシカク』でフォローしてもらいたい所です。というか、自動でそうします。させてくれ!
 とかなんとか。