感想 ハトポポコ 『平成生まれ』2巻

平成生まれ (2) (まんがタイムKRコミックス)

　大体の内容。「やっぱり決め手は、みんな平成生まれ」。女の子が楽しいが楽しい！というのが現段階におけるきらら4コマのテーゼではあろうかと思いますが、そんな中にあってお前それでいいのか？　という漠然とした不安をもよおす漫画、それが『平成生まれ』なのです！
　前にも書いた気がしますが、基本的にこの漫画は三組、佐藤四村組、中川原田組、藤井吉村組が、仲が良かったり悪かったり、可愛かったり不思議だったり、バカだったり馬鹿だったり、というのをゆとりを持って繰り広げる漫画だったわけですが、その内容が徐々に混じりあっていくのが最終巻であるこの巻の特徴と言えるでしょう。1巻終盤段階から絡み合う形は出てきましたが、それを押し進めた形が見て取れます。特に佐藤さんが中川原田組にカチコミ掛ける場面が目立った形。でも、そうなると中川さんが出てこないと原田さんの不思議が鳴りを潜めるのが中々興味深い。そこまで突っ込んだ会話、というか原田さんの不思議部分が出るのはやはり中川さんとだけ、というのに「愛だな！」「愛だね！」という物を感じずにいられません。まあ、原田さんがそういうユウジョウ！で動いての事なのかというとちょっと視線があらぬ方向に向かわずにもいられないんですが。
　さておき。
　この漫画のメインはたぶん佐藤四村ペアですが、佐藤さんは意外と社交的というか、リア充というか、物怖じしないというか、ぶっちゃけふざけ過ぎの部分がそこそこで発揮されてたのが印象に残っております。上記中川原田ペアにちょっかい掛けるのもそうだし、四村さんに友達少ないーなどと失礼な事を言うのもそう。藤井さんと絡もうとするのもそう。意外とチャレンジャーというか、まあふざけ過ぎです。でも。なんのかんので四村さんと友達めいている所、特に進路に迷って四村さんと同じ大学、って書いちゃう辺りはなんだか心温まります。勿論お前ちょっとは考えろ？　な局面でしたが、そういう気持ちも分かるといえば分かるので、なんとも曰く言い難いものが。
　中川原田ペアは原田さんの不可思議さがやはりこの巻でも強く、そして最後まで不可思議を貫き通し過ぎて逆に何この子…感満載だったのは良かったのか悪かったのか。それに虐げられる、と言うとちょっと違いますな。振り回されるですね。そう振り回される中川さんが可愛いでいい子で良かったというか、これでタイプが佐藤さんだったらたぶん仲が成立しないですからね。佐藤さん、振り回されるの苦手なタイプっぽいと思えますし。だからって中川さんなら振り回していいというわけでもないですが、まあ仲良き事ということで、いいんではないでしょうか…。
　藤井吉村ペアはこちらも最後まで馬鹿を貫き通してくれて良かったです。欲求不満で抱いて欲しい発言、オッケーイ！　意味が良く分かってないのにそんな事言っちゃう藤井さんはマジモンの馬鹿ですね。基本的にグダグダとした中にからっとした馬鹿が混じる事で生まれる爽快感。ツッコミって、きもちいー！　感はこの漫画の重要なアクセントだったかと思います。この馬鹿さがもう見られないのは切ないですよ…。
　さておき。
　にしても、巻頭カラーで突如全く違う話、物語物が挿入された時には驚きました。これ、佐藤さんの昔の話ですか！？　と思ったら全く違うという無茶さ加減が特に。そして話の突飛さと展開も素晴らしいので、作者天才やな。とかなんとか思ったりも。こういう引き出しをここで使うかー。