感想 鳥取砂丘 『G専ラフスケッチ』2巻

 大体の内容「『スキ』を仕事にするってなんだろう・・・?」。背表紙からの抜粋ですが、この巻ではこの言葉は非常に意味を持っているのであります。ミヤホン(宮本さん)達の前に立ちはだかる魔手! それに対してミヤホンは如何な手段で立ち向かうのか! と書くと一大スペクタクルめいていますが、基本的にプレゼンの授業なだけです。とはいえ、ミヤホン達にはちょっと骨の折れる、心も折れる授業となりました。ミヤホン達は駄目駄目プレゼンしてしまっていましたが、上手く出来なくて、でもいいよね、まだまだで、と思ったら、湯川さんがしっかりしたプレゼンを見せて、力の差を身に染みてしまったりしておりました。やれるだけの事を、したのか? 最善だったのか? という問いをするミヤホンの姿が、一巻でのちょっと調子くれてる感じからしたら大変な成長であるなあ、とか思ったりも。まあ、作のノリが2巻突入辺りから確実に変化してたのもありますが。
 そんな風に思うのは当然勘ではなく、実際に就職に動こうとしている人、横井さんの存在があります。横井さんは都合二回しか登場しないという、ある意味瞬間最大風速めいたお方でしたが、その二回共に、ここから巣立っていくのだ。というのをきっちり見せる姿としてありました。一回目は堀井さんに、二回目はミヤホンに、示唆を与える重要な役割となっていました。ここら辺りで、作の終了の形を考え始めたのかなあ、とも邪推ったり。実際問題、二巻終了の形へ持っていく為に、プレゼン回はきっちりと組み立てられていて、そこに成長もあり、涙もあり、悩みもあり、でも心地よいものもあり、という風に持っていかれていて、この辺の帳尻合わせは素直にいいなあ、とも。
 とはいえ正直の所を申せば、もうちょいミヤホン達の未満な学校生活を見ていたかったというのもあります。何時かは巣立っていくのは分かっているし、その未満な期間も長くないのは分かっていますが、でも、だからこそ、そういう時間が大事だったんだ、なんでもないような事が幸せだったとと思う時間が欲しかったというか。真剣に課題に向き合ってるこの巻のノリも好きですし、そういうネタもじっくりやって欲しかったのもあります。もうちょい、見ていたかったなあ。
 そんな感想を持つので、この巻では当然中野回と最後の東京タワー回が好きです。目的も無く、この地に来てはいけなかったんだ……。とか思ってしまう堀井さんが、目的を来てから決めてもいいんじゃない? と言う態度の湯川さんの姿にそうかー、ってなるのなんて最高でしたし、東京タワーの絵馬に痛絵馬描いてしまって恥ずかしがる小島さんの隣で思う様描けてほっくりする遠藤たんも最高でした。こういうの、もうちょい見たかったなあ。そう思わずにはいられません。
 さておき。
 キャラ数という観点からすると、5キャラを同時にさばくというのは結構難度が上がる物ですが(断定)、その点、この漫画は結構上手く扱っていた、という見方は出来るかと思います。堀井さんがいまいち影が、という感じも無くはないですが、場面場面ではしっかりと特にゲーム好きじゃないのに、というのとかが出ていて、そのアイデンティティ部分はミヤホン達とはいい対象性であったかと思います。一方、最後発の湯川さんなどは、この巻では端々で存在感を見せ付けておりました。いいお姉さん役、というのがしっかり板に付いたと言いますか、作の展開に必須な部分として見せ付けてくれていたかと思います。前の巻でも動物に触れ合えない遠藤たんに、と言う部分で出していたものが、今回は大変有用になっていたなあ、とか言えばいいでしょうか。他三人も、キャラクター性がしっかり地に着いていて、話に筋を通していたなあ、とか。こういうキャラ繰り、これもまたもうちょい長く見ていたかったです。と書いて、終わりの言葉とさせていただきます。