感想 増田英二 『実は私は』1巻

 大体の内容「俺の気になる女の子の人外率高過ぎぃ!」。黒峰朝陽は恋をした。同じクラスで、儚げな雰囲気をかもし出している、白峰葉子さんに。その想いを伝えに行ったその先で、黒峰君は白峰さんの驚愕の事実を知ってしまう。そう、彼女は吸血鬼だったのだ。その秘密を知られてしまうと人里にいられない、という白峰さん。さっぱりとした笑顔でそういう白峰さんに対し、恋する人の苦悩を感じた黒峰君は、秘密を黙っていると誓う。しかし、そこには問題がありました。黒峰君は思っている事、隠している事が顔に行動にすぐ出る、アナザル(穴の開いたザル)なるあだ名の持ち主だったのです! そんな訳で自分一人隠しただけでどうにかなるの? と思わされる導入ぶっぱされる漫画。それが『実は私は』なのです。
 そんな訳で、白峰さんの秘密をなんとか守っていこう、という話が展開されるのですが、それによって開陳された白峰さんの真実が、一々可愛いのでどうにかなります。普段は標準語的なものを話すけど、話し過ぎると牙が見えるから最小限の動きで話すからそうなるだけで、基本は関西弁を使う人だったり、秘密を今まで守れたのが奇跡なんじゃねえのか、と言うくらい結構迂闊だったり。その上で更に強いのが、アナザルの穴っぷりを気づかない辺り。どう見ても、ラブの光線出しまくってる黒峰君の行動に対して全然気付いてなかった、と言うんだから、どんだけ鈍いんだよって思わされます。これで人並みに鋭かったら成立しないからしょうがない部分だし、だからこそ黒峰君も友達とはいえ付き合えているんですが。でもね、もっと気をつけるべきですよ!
 さておき。
 大体の内容で気になるのが人外ばっか! と書きましたが、その理由としては、白神さんの前に告白していた藍澤さんが宇宙人だったという驚愕の事実が陳列されます。先に軽くされた、告白したけどそういう気持ちがあるのがアナザルだったせいですっかりバレバレで振られた、という程度の小話だったのが、いきなり人外その2として藍澤さんが浮上するという謎展開となっております。しかも、藍澤さんがどうにも告白されて振った後になって、黒峰君の事がなんだか気になる、というかあれだけ執心してたのにころっと心変わりかよおめでてーな! という謎の状態異常になってしまっており、ここに奇妙な三角関係の構図が浮かび上がってきます。ついでに、白神さんと藍澤さん、お互いに秘密があるというのがお互い分かってしまう展開も盛り込まれ、えーと一体どうなるんですかね、この漫画。着地点が全く不明になってきております。収拾つくのかなあ。幼馴染パパラッチ、みかんさんにしたら最高の題材が目の前にある状況。一気にバレて大変な事になるのでは? ってもバカだから気付いてないしなあ。そこから守るのが今後の基本なんだろうか。
 とかなんとか。