感想 みずしな孝之 『いとしのムーコ』4巻

 大体の内容「やっぱりムーコが好き」。毎度の通り季節は巡り、こまつさんとムーコの日々も巡っていく。そんないつも通りの内容が『いとしのムーコ』4巻なのです!
 あまりにいつも通りに順繰りに季節が巡り、その中でムーコとこまつさんとその他の人達が適宜交流するというだけの話で、ここまで持っているというのはとんでもない事なのは論を待ちませんが、その屋台骨を支えるのは、やはりムーコの行動。それも、賢い行動と馬鹿な行動の二面であります。何度も書いてますが、それでも特記したくなるのが、ムーコの賢さと馬鹿さの魅力です。今回で特にそれが顕著なのは、カラーでの雪だるまうしこうさんをうしこうさんと誤認して困惑する所です。うしこうさんグラサンをした雪だるまの後ろから、うしこうさんが話しかけて困惑させてるんですが、グラサンとか装備したらそれでうしこうさんが雪だるまに!? って考えれるというのはそれだけで大層な知性の輝きを見せていますが、それだけに後ろにいる事に気がつかない辺りは馬鹿だなー、と見えるのが面白い。無垢というより馬鹿で、そしてそう見えるだけの知性がある、という事ですけれども、それゆえに賢いも馬鹿もどちらも可愛いなあ、と見えるのがムーコの得な所であります。動物が人間的な思考をするタイプの漫画だと、その動物が妙に知性的になりやすいですが、そこに至るようで至りきらない、あるいはそれゆえにどうしても抜けている部分が見える、というのは大変素晴らしい事なのではと思います。
 さておき。
 今回は季節は冬から春へ至っていく、の話ですが、前の冬、前の春とはまた違うネタがきっちりとしております。雪が消えていくのは何故? という聡い部分を見せたかと思ったらゆきたべむしが! とか言い出してやっぱり賢いけど馬鹿だなー、というのや、加湿器の湯気を自分が外で吐く息と同じだ! と気付くけどそれが何故加湿器の前では出来ないのか分からないというネタも。しかし、やっぱり注目は初夢回。前の初夢回とまた違うアプローチでうしこうさんがちょっとの間嫌われるのには爆笑。なんでや! うしこうさんなんも悪い事してないやろ! むしろ乗っけたこまつさんを! と思ったけど、こまつさんを嫌いになるムーコは存在しませんから、仕方ないね。
 春ネタは定番の定期健診で定番の「はかりましたねこまつさん……」もありましたが、大きく動けるよ! という事でフリスビーが登場してましたが、ここでもうしこうさん……。って感じに。こまつさんの行動なら何でも肯定するし、何でも食いつくんだけども……。うしこうさんが何か悪い事をしているのか、というと特にムーコは嫌いではないけど、興味もそう無いだけなんだよなあ。流石の動物的感性! いやまあ、名前覚えられてるだけでマシだろうか。
 さておき。
 今回のトピックは、ムーコがぐるぐるしてしまうあの女性がこまつさんの工房に来訪する、というのに際して、更にその人がうしこうさんと知り合いだ、というのが都度都度提示されてて、更にどうにもうしこうさんは、というのもあって、新たな方向性が生まれたか、という見方も出来るかと思いますが、まあ、浮いた話に展開していくとはとても思えないので、都度都度出てきてムーコがぐるぐるする要因となるんだろうなあ、と思っておきます。いや、ガチでラブの世界が発動したらどうなるんだろう、この漫画。
 とかなんとか。