感想 火ノ鹿たもん 『花の任侠物語しずか』2巻

花の任侠物語しずか (2) (まんがタイムコミックス)

花の任侠物語しずか (2) (まんがタイムコミックス)

 大体の内容「由神静香、参ります!(やっぱり学校に)」。お嬢の学園物語に、家の関係も絡まってきておりますが、それよりも静花さんの可愛いと凛々しいが紅葉(くれは/もみじ)によってしっかり見せられているのが『花の任侠物語しずか』2巻なのです。
 この漫画は基本として893の娘で抗争の関係で小中と学校に行けなかった静花さんが、その箱入りゆえの893ボケと男衆としか触れあってなかったがゆえの女の子に対する免疫の無さが絡まっている漫画でありましたが、女の子同士でキャッキャウフフよりも893ボケが主体、せっかくの女の子にくらくらとくる感じが少なめだったのが1巻のトーンでした。しかし、1巻終盤で静花さんの学校が裏で敵対893の組の傘下に、という事態に突入。その警護の為として、若頭の息子、紅葉が警護として投入されるます。しかし、組長以下の悪い虫が付いたら、という思考が紅葉という存在にまで波及し、特に女子校でもないのに女装して潜入、名も“もみじ”ではなく“くれは”とする事になってしまいました。それからどうなるか、という回答のがこの2巻であります。
 実際の所、紅葉の行動は全然女の子らしくないとこが散見されるんですが、それでも周りも特に不審がらないし、静花さんはそもそも女性に対しての免疫の無さから対面するとちょっとドキドキしちゃってそれどころじゃないし、というので何故か女生徒としてきっちり認知されております。結構頻繁に組内で女装させられそうになったりするし、対立893の親分の五光(静花さんにメロメロで、ゆえに学校買収したりしてる人)にも女の子だと思われてるしで、何気に女装男子としてレベルが高いのでは、という見方も可能ですが、ここまで女の子してない女装男子というのもそれはそれで中々の逸材であります。女装男子はここまできた! と言う事でしょうが、この漫画の主軸はそこではないので単におざなりという見方も可能です。その辺は好きに解釈するといい部類でしょう。
 さておき。
 静花さんは紅葉に対してはもみじ時は時に凛々しく、でも大体特段の注意を払わない気安い感じで接しますが、くれは時(女装時)は変な妄想が出て照れ照れしてしまったりします。静花さんの女の子に対しての行動、そこがこの漫画の軸線の一つですが、反対に回って紅葉の方は静花をどう感じているのか、というのもきっちりぶっこまれます。表裏、というと語弊がありますが、一人の人間に対して色んな顔をミせる静花さん、というのは893とは言え基本的に多感な年頃であろう(具体的な年来は出てないけど)紅葉には結構去来する物がある模様。職務として静花さんを守っている、というのであんまり表に出ませんが、それでもそこここで静花さんに対して気持ちが入っていってるのが見受けられます。そりゃそうだよね。可愛い女の子の色んな側面を見ちゃったら、気持ち入っちゃうよね。特に鍋の話とか、ついつい深入りしてしまいたくなる部分だし。気持ち入っちゃたそのせいで喧嘩めいた事もしたりしてしまってますから、紅葉の方は相当です。静花さんは今の所もみじには全然そういうのないっぽいですけども(くれはには若干ある、というので更にこの漫画が濃いんですけども)。でも、この気持ちの行く先の道は険しいにも程があります。よりにもよって構成員が親分の娘と、ってねえ。悲恋の良くある形ですよね……。その辺がどうなっていくのか、というのも、関東と京都との組と組との関係と共に見所になってくると思われます。本当に、どうなっちゃうのかなあ。
 好きな回というのを上げると、やっぱり祭り回はいいですね。静花さんの可愛らしさ、凛々しさ、そして女の子らしさもきっちり出ているし、紅葉もどっちでもいいとこ持って行くし、と、この漫画の良さというのがきっちり詰め込まれた回であります。ちょっと今後に影響のある部分もあるのかなあ、と思ったら特にないっぽいでしたので、キャラの魅力を見る回と見るべきでしょうけれども。そこがいいんだ……。
 とかなんとか。