感想 市川和馬 『鉄仮面のイブキさん』2巻

鉄仮面のイブキさん 2 (まんがタイムコミックス)

鉄仮面のイブキさん 2 (まんがタイムコミックス)

 大体の内容「あの子のパパも鉄仮面!」。相変わらず表情を作るのが苦手というか無理筋なイブキさん。でもお茶目で可愛い女の子なんですよ! という推しが熱い、そんな『鉄仮面のイブキさん』なのです。
 今巻もイブキさんは表情が堅いとか堅くないとかの次元ではなく能面でありますが、それで色々とお茶目するのが可愛く見える、というこの漫画の基本はブレてはいません。基本的には能面な女の子なイブキさんの、その表情が分からないので喜多君が困惑したり、幻惑させたりする。その中で逆説的にイブキサンの可愛さが、表情が無いがゆえにそれ以外の部分で可愛く見える、という仕手で迫ってくるのです。それは1巻から変わっていないのであります。
 さておき、そうは言っても年頃のイブキさんなので、実は喜多君に気があるのか? という場面が所々に。喜多君自体は鈍感+あの無表情+相楽さんのインターセプトが絡まって気付けてないのが惜しいい所です。喜多君自体はイブキさんのこと好きなんだろうなあ、とは前から思わされてましたが、ここでイブキさんも、となると今後の二人の動向、そしてイブキさんの表情を喜多君が読みきれるようになるか、という辺りが楽しみになってきます。
 その表情を読めるようになるのか、という部分では先人の相楽さんがいるので可能であるのは間違いないし、今回登場したイブキさんのお父さんも同じ表情が固定しているタイプなんですが、つまり奥さんがいる訳であり、その奥さんがイブキさんのもお父さんのも表情が分かる、相楽さんでもお父さんの表情は分からないというので愛があるならなんとかなるのか、と思わされます。そしてお父さんの馴れ初めも聞いてみたいですし、そもそも奥さんにもお目通りしたい所です。あの全く表情が固定した二人の中でどういう表情でいるのか、とか気になります。喜多君みたいに表情豊かなのかしら。
 さておき。
 喜多君が頑張っていかないと、この漫画は百合漫画になってしまうのでは、というくらいに相楽さんとイブキさんの仲は宜しゅうございます。遊園地回の友達繋ぎじゃない手の繋ぎ方見ると、マジその線もありなんじゃないか、とか勘違いをしてしまいます。それくらい二人の仲は良好だと思っていただきたい。それに加えてイブキさんの表情が分かるのが大きなアドバンテージですし、相楽さんのスペックも高い。いや、本当にちゃんとしないと喜多君がイブキさんと昵懇になるの難しいんじゃないだろうか。そんな勘違いをしてしまいますよ。それだけ相楽さんのハードル高く見えますし。
 冗談はさておき。
 この巻終盤で出てきた鬼怒川さんは可愛いですね。イブキさんでは封印している表情を、むしろ使いたくないのに出てしまうから無表情になりたい! という逆説の仕手でこれまた可愛いを演出しております。無表情を通そうとして失敗して恥ずかしがる子って素敵やん? にしても表情という部分の使い方の出し入れが自由自在か! と言いたくなる見事さです。これからこの子達、どうなっていくんだろう。そして、イブキさんの表情が出るのか、あるいは喜多君がその無表情から表情を理解するのか。どっちに転ぶとしても、安心してみていられる漫画であります。